最新技術だけじゃない!高級サルーンを超える乗り心地HONDA CLARITY FUEL CELL
2016/06/24
満を持して登場したHONDA CLARITY FUEL CELL
第44回東京モーターショー(2015年10月末)で発表したホンダが放つ水素燃料電池車(FCV)“CLARITY”の市販モデルがついに発売された。モーターショーで見た瞬間にイノベーションを感じていた。ロングホイールベースに超空力的なフォルム、実用的でカッコイイ。未来的なパワープラントを搭載したモデルにはそれなりのデザインが不可欠であるが、申し分ない出来であった。今回、モーターショーで見たまんまのCLARITYを公道で試乗できる機会を得たのだ。
ホンダの開発担当者から説明を受けて60分の試乗だ。
CLARITYの革新は水素を酸素と反応させて電気を作るスタックと呼ばれる部分を小型化し、パワートレインのシステムをフロントボンネットに集約したところにある。大きさは3.5リッターV型6気筒と同程度である。それに適合した専用のプラットフォームも作れている。
高級感あるエクステリアのデザインに合わせたインテリアはコストをかけずに高級感ある雰囲気に作りあげられていた。ホンダは高級感のあるインテリアが本当に得意だ。
ダッシュパネル右にある赤いボタンを押せばパワーオン。システムの立ち上がりはとても速い。センターコンソールにあるDボタンを押し電子式パーキングを解除してアクセルをゆっくり踏む。リニアで優しいコントロールができる。
走りも室内空間も最高級!最新の技術が搭載させているだけでなく車として一級品のCLARITY
当日は天気が良く車内の温度も上がり気味であったがアメニティーの空気の流れも良いので、室内は快適であった。走り出しではステアリング操作が軽く頼りなさを感じたが、時速40キロまで一気に速度を上げるとステリングはビシッと重みを増して不安感はない。発進時や加速時のトラクションもとても良く、FFであることをあらためて考えると搭載位置と重量バランスが最適化されていることが分かる。これほどまでにボディ全体を低くする(全高はトヨタ ミライより55㎜低い)と乗り心地が気になるが、一般道では信じられないくらい心地よい。プラットフォームとサスペンション系の剛性がとても利いている。そうでないとここまで細かくサスペンションを動かすこともできない。
加速は一般的なモーターよりも若干ジェントルだが低重心とドライビングポジションの効果か、スポーティな印象だ。また、左折時にウインカーを出すとセンターモニターにカメラで状況を瞬時に知らせてくれる。これはとても便利な機能だ。
高速での加速はかなり良い。静粛性、乗り心地は高級なサルーンのレベルである。走行モードはノーマルとスポーツモードがあるが、ノーマルモードでも加速は十分である。首都高の中速S字も高級サルーンかそれ以上のコーナリングだ。このあたりのコンセプトがCLARITY作りに必要な要素としてではなく楽しみの一つとして作られているのが凄いところだ。つまり、未来的なパワープラントを搭載しているというだけでなく、車として一級品なのである。後部席も広いし、今のところ車として何一つ不満な点はみつからない。
補助金を考えれば500万円を少々超える価格であろう。かなりのお値打ちなモデルと言える。1点問題があるとすれば、航続距離がJC08モードで750kmといえど、水素を充填する場所が少なすぎることである。しかしこれも、電気同様、普及が進めば問題にならなくなるだろう。
【SPECIFICATIONS】
■乗車定員:5名
■エンジン種類:電動機(モーター)MCF4
■最高出力:130(177)/4501-9028[ kW(ps)/rpm](最高回転数:13000rpm)
■最大トルク:300(30.6)/0-3500[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:FF ■動力用主電池:リチウムイオン電池
■全長:4915mm;全幅:1875mm;全高:1480mm ■ホイールベース:2750mm
■車両重量:1890kg
■車両価格:766万円(税込)
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