広い室内や使い勝手など、ミニバンの良さを軽に凝縮

  • ホンダ N BOX 走り|ニューモデル試乗
  • ホンダ N BOX インパネ|ニューモデル試乗
「渾身の作」とはこういうことを言うのだろう。昔はさておき、現在は軽自動車市場で4位まで後退したホンダが満を持して投入したトールワゴン型軽自動車がN BOX。

シリーズは標準モデルとエアロパーツを搭載したカスタムの2種類を用意し、カスタムのみターボ車を設定する。駆動方式はFFと4WD。完全新規設計されたエンジンに組み合われるトランスミッションは、ホンダの軽初搭載となるCVTだ。
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車に乗り込むとすぐにその圧倒的な広さに驚く。前席はスイッチ類の適切配置、良好な視界が好印象。トールワゴンでネックとなる助手席側側面の視界確保に対し、新設計の「ピタ駐ミラー(ポケモンのピカチュウにひっかけたらしい)」を採用することで幅寄せ時などの不安を解消。後席はセンターピラーを前方に移動させたことで、スライドドアの開口部はフリードよりも広い640mmを確保。乗降性は良好だ。まさに軽自動車のミニバンと言えるほど、足元、頭上とも余裕がある。

ターボ車のほか、NA車にも一般道から高速まで広範囲に試乗したが、高速を使う機会が多いのであればターボ車がオススメ。一般的に重心が高くなるハイト系はレーンチェンジ時にボディの傾きが気になるが、このモデルはシャーシ自体の出来が良く不安になることは少ない。しかしNA車は13インチタイヤでスタビライザーが付かず、エンジンのパワーも車重に対して不足気味のため、街乗り向きだろう。ターボ車はパワステの軽さは気になるが、14~15インチタイヤによるしっかりとした接地感があるほか、静粛性も高い。開発陣は「ミニミニバン」を開発したと言っていたが、ファーストカーとして使うのであればターボ車がオススメだ。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード カスタム G ターボパッケージ
駆動方式 FF
トランスミッション CVT
全長×全幅×全高(mm) 3395×1475×1780
ホイールベース(mm) 2520
車両重量(kg) 980
乗車定員 4人
エンジン種類 直3DOHCターボ
総排気量(cc) 658
最高出力[ps/rpm] 47kW(64ps)/6000rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 104N・m(10.6kg-m)/2600rpm
車両本体価格 124万~178万円

RATING走行性能だけでは車は語れない。そこで快適装備の充実度や安全性の高さ、環境性能、燃費、バリューの5つのポイントで評価する(※点数は標準車のものです)

総合評価19/ 25
EQUIPMENT(装備)3/ 5
2スピーカーのみを標準装備し、ナビなどはすべてディーラーオプションとなる。カスタムG ターボパッケージはスマートキーシステム、15インチアルミホイール、クルーズコントロールなど人気装備が標準で付いている。
SAFETY(安全性)4/ 5
軽自動車では初となるVSA(車両安定デバイス)のほか、坂道発進時を楽にするヒルスタートアシストやイモビライザーを全グレードで標準装備。カスタムはディスチャージヘッドライトも標準で装備する。
ECO(環境性能)4/ 5
全グレードとも平成17年排出ガス規制75%低減レベルで星4つを達成。平成22年度燃費基準はNA(自然吸気)エンジン搭載車は+25%だが、ターボエンジンを搭載するカスタムG ターボパッケージのみ+15%となる。
MILEAGE(燃費)3/ 5
新エンジン&CVTの搭載で燃費性能を向上。ターボ車にはアイドリングストップが付かないのでやや数値は下がるが、10・15モードで22.0km/L、より実走に近いJC08モードでは18.8km/Lを達成した。
VALUE(バリュー)5/ 5
パワーユニットをはじめすべてが新しくなったホンダの軽自動車は、今後“台風の目”となるに違いない。隙のない完成度の高さはライバルの軽自動車だけでなく、コンパクトカーの中古車相場への影響も考えられる。
写真:尾形和美 文:高山正寛