ハイブリッド化により従来のフリードが抱えていたネガを払拭

  • ホンダ フリード ハイブリッド/フリードスパイク ハイブリッド 走り|ニューモデル試乗
  • ホンダ フリード ハイブリッド/フリードスパイク ハイブリッド インパネ|ニューモデル試乗
今回のマイナーチェンジで待望のハイブリッド仕様が追加されたフリード/フリードスパイク。“待望”と書いたのは、この車の弱点が実は燃費だったからだ。

初登場の際の10・15モード燃費は16.4km/L。その後、エンジンやCVTの改良に加えエアコンなどを燃費優先に制御する“ECON(イーコン)”を搭載することで17.0km/Lを達成した。しかしホンダには30.0km/Lを実現しているフィットシャトルハイブリッドがあるため、フリードにもハイブリッドの搭載が早期に望まれていたわけだ。

1.5Lエンジン+ホンダ独自のIMAと呼ばれるハイブリッドシステムは、先行して同システムを積んだCR-Zとエンジン型式は同じ。しかしフリード系は減速時に全気筒を停止させるVCAの採用や出力を抑えた燃費重視のセッティングとなっている。これらによりエンジンのみのモデルより約3割燃費が向上した。
  • ホンダ フリード ハイブリッド/フリードスパイク ハイブリッド リアシート|ニューモデル試乗
  • ホンダ フリード ハイブリッド/フリードスパイク ハイブリッド 外観|ニューモデル試乗
ガソリン車ではやや出足が鈍かった加速だが、モーターアシストによりまるで排気量が増えたようなフィーリングに大きく変わった。さらに4名&機材という乗車状態でも低速から最大トルクを発生するモーターの特性がうまく生かされ、重量増をものともせず加速する。

アクセルを多く踏み込まなくてもイメージする速度までスピードを上げられることも低燃費につながっている。車載の燃費計で標準車とハイブリッド車を比較したが、カタログ通りハイブリッドのほうが3割以上燃費が良かった。

また静粛性も専用の遮音ガラスをフロントウインドウに採用したことで、加速時に特有の“こもり音”がかなり抑えられている。ハイブリッドの採用で、従来のフリードが抱えていたネガティブな部分がほぼ一掃された印象を受けた。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード フリードハイブリッド
駆動方式 FF
トランスミッション CVT
全長×全幅×全高(mm) 4215×1695×1715
ホイールベース(mm) 2740
車両重量(kg) 1390
乗車定員 6人
エンジン種類 4SOHC+電気モーター
最高出力[ps/rpm] 65kW(88ps)/5400rpm
+10kW(14ps)/1500rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 132N・m(13.5kg-m)/4200rpm
+78N・m(8.0kg-m)/1000rpm
車両本体価格 214万9000~232万6500円

RATING走行性能だけでは車は語れない。そこで快適装備の充実度や安全性の高さ、環境性能、燃費、バリューの5つのポイントで評価する(※点数は標準車のものです)

総合評価20/ 25
EQUIPMENT(装備)2/ 5
オーディオは2スピーカーのみ標準装備で、ナビ&オーディオはオプション。リア左側電動スライドドア、フルオートエアコン、チルト&テレスコピックステアリングはG以外の全グレードに標準装備。
SAFETY(安全性)4/ 5
VSA(車両安定デバイス)、全席ヘッドレスト&3点式シートベルトのセット、坂道での発進を容易にするヒルスタートアシスト機能を全グレードに標準装備。前期型に比べ充実度がアップした。
ECO(環境性能)5/ 5
全グレード平成17年排出ガス基準75%低減レベルで4つ星に適合。平成22年度燃費基準はハイブリッドを含むFF車全グレードで+25%、4WD車は+5%を達成。CO2排出量はフリードに比べ3割近く減少。
MILEAGE(燃費)4/ 5
10・15モード燃費は24.0km/L、より実走に近いJC08モードでも21.6km/Lとフリード(FF)に比べ3割近く燃費が向上。エンジン再始動時のショックが少ないアイドリングストップ機構も装備する。
VALUE(バリュー)5/ 5
ハイブリッド化や細かい仕様変更により「コンパクトミニバンではほぼ敵無し」と言えるほど商品力がアップした。強力なライバルが出現するまでは中古車になってもその魅力は衰えないだろう。
写真:篠原晃一 文:高山正寛