フィット+200ccで、街中をキビキビ走れる7人乗り

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コンセプト

全長4mちょっとのコンパクトミニバン

ホンダの調査によると、ミニバンのようなユーティリティカーを所望する人の選択理由の第1要素は、スタイリングから室内の広さにシフトしているそうだ。

こうした状況を受けて開発されたのが、このモビリオ。フィットのプラットフォーム(フロアの基本骨格)を使って、コンパクトカーのキャビン容積をどこまで広げられるかにチャレンジした車である。

フィットも広さには定評があるが、モビリオは左右後部ドアがスライド式でシートは3列7人乗りと、全長4mちょっとにもかかわらずキチンとミニバンの体を成しているところが凄い。スタイリングも欧州の路面電車(トラム)をヒントに窓を極端に大きくしたユニークなもの。ちょっと型破りな小型車の新提案と言っていいだろう。
室内&荷室空間

3列目でも普通に着座床も低く足元が深い

ともかく注目はその居住性だろう。1列目と2列目シートのスライド位置には多少の譲り合いが必要だが、身長172cmの僕がドラポジを取っても2列目を中央位置にセットすれば、3列目にも普通に座れる空間が生まれた。床が低いため足元空間に深さがあり、着座姿勢は見ため以上に自然だ。

また、3列目シートは折り畳んで2列目下に収納することが可能で、この状態ではミドルクラスのステーションワゴン並みの荷室スペースも生まれる。さらに、そこで2列のスライドを最後位置(ロックを外す必要があるが)にすると、足が組めるほど広々とした5人乗りサルーンとなるのも凄い。

窓が広いので視界は良すぎるほどだし、インパネもメタル調の素材を使うなどお洒落だ。
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ドライブフィール

ダッシュが必要な際はSボタンを押せば可能

モビリオの心臓部は新開発の1500cc+CVT。さすがに、フィットの1300ccエンジンで多人数乗車はキツイのだろう。ただ、排気量を拡大しても味つけは実用性重視。わずか2700rpmで最大トルクを発生するため初速の乗りがシャープで、キビキビと街中を走れた。

そのままアクセルを踏むとタコメーターの針は4000rpmあたりに止まり、そこからジワジワと車速を伸ばすものの、このときの力感はあまりない。つまり高速域は苦手。首都高の合流などでダッシュ力が必要なときは心もとないが、そんなときはインパネシフトのノブにあるSボタンを押すとCVTがさらに高回転を使うため、若干速くなる。

サスペンションやステアリングの感触が締まっていて安定感があり、走りもおおむね好印象だった。
こんな人にオススメ
各席にこれだけの居住性が確保されれば、祖父母を誘って食事に行くくらいは十分にこなせる。つまり核家族のファミリィミニバンとしてもイケる。日頃の使い勝手を考えて車はなるべく小さいのがいい、だけど余裕の7人乗りというというワガママを叶えてくれる貴重な一台。
SPECIFICATIONS
グレード A
駆動方式 FF
トランスミッション CVT
全長×全幅×全高(mm) 4055 x 1685 x 1705
ホイールベース(mm) 2740
車両重量(kg) 1260
乗車定員 7人
エンジン種類 直4SOHC
総排気量(cc) 1496
最高出力 66kW(90ps)/5500rpm
最大トルク 131N・m(13.4kg-m)/2700rpm
車両本体価格 148.9万円
写真:桜井健雄 文:石川芳雄