コーナリングは安定志向。パワーがもう少し欲しいところ

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コンセプト

サスペンションを主にかなりのチューニング

立体駐車場に入るハイトワゴンとして登場したアヴァンシアだが、デビュー当時のコンセプトはいま一つ意味不明だった。そこでマイナーチェンジを機に、スポーティさが売りの上級モデルが加えられた。

「ヌーベルバーグ」と名づけられたこのニューバージョンは、サスペンションを中心にかなりのチューニングが施されている。具体的には、車高をノーマルより15mm下げたローダウンサスペンションを装着。ストラットタワーバーやリアのパフォーマンスロッドなどで、ボディ剛性も向上させている。タイヤも205/55R16の大径タイヤを採用した。

エンジンは直4の2.3Lを搭載。FF車専用とはいえ、アヴァンシアはこのヌーベルバーグによって、新境地を切り開いたといえる。
室内&荷室空間

フロントよりもリアシートが快適

インテリアでは、ヌーベルバーグ専用のメタル調センターパネル/ドアパネル/シフトノブを採用している。しかし、インストルメントパネル左右のモケット調のインテリア内張りは、ホコリや糸クズなどのゴミがつきやすい。これはぜひ改めてもらいたい。

フロントシートは形状、素材ともに見直されたスポーツシートだが、コーナリング時にはもう少し背もたれのホールド性が欲しかったこともつけ加えておこう。

室内空間はフロントよりもリアシートが広く、フラットフロアで余裕の足元は快適。フロントとのウォークスルーもできるし、リア専用のナビ/TV画面も15万円のオプションで設定されている。エアコン吹き出し口は両サイドピラーだ。ラゲージスペースも合格点。
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ドライブフィール

ファミリィカーとしても扱いやすいセッティング

スポーティにチューニングされたサスペンションでのコーナリングは実に安定しており、気持ちがよかった。ホディのロールは車速に合わせてしなやかに傾き不安はない。高速道路でのレーンチェンジもロールは小さく、しかも1回でピタリと収まるのだ。

ハンドルの重さは、普段はやや重めの操舵力をキープしつつ、スポーツドライビングではやや軽めになるというセッティング。ファミリィカーとしても扱いやすいセッティングといえよう。

不満なのは、エンジンパワー。2.3Lでこのボディサイズは明らかにアンダーパワーではないか。完全にエンジンよりも、サスペンションのほうが勝っている。

いうならば、V6・3Lの「ヌーベルバーグ」が欲しいところだ。
こんな人にオススメ
もともとアヴァンシアは荷物ではなく、人を中心としたスタイリッシュなワゴン。だからこそ、リアシートもフロントシートに負けず劣らずの快適性をもっている。よってスポーティさが増したヌーベルバーグは、走りも楽しみたいが車中でのコミュニケーションも求めるユーザーに勧める。
SPECIFICATIONS
グレード ヌーベルバーグ
駆動方式 FF
トランスミッション 4AT
全長×全幅×全高(mm) 4700 x 1790 x 1485
ホイールベース(mm) 2765
車両重量(kg) 1510
乗車定員 5人
エンジン種類 直列4気筒SOHC
総排気量(cc) 2253
最高出力 110kW(150ps)/5800rpm
最大トルク 206N・m(21.0kg-m)/4800rpm
車両本体価格 215万円
写真:桜井健雄 文:石川真禧照