デビューから2年半。すべてが軽いタッチに洗練された

  • ホンダ S2000 走り|ニューモデル試乗
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コンセプト

どっちに進むのだろう?わかりにくくなった方向性

マイナーチェンジの主な変更点は4つ。まず外装13、内装5、幌2色とカラーバリエーションを充実させ、それぞれの組み合わせで好みのカスタムカラーを作れることになった点。リアウインドウへの熱線入りガラスの採用。出力増が図られたオーディオ。それにリアサスペンションを中心とするハンドリングのレベルアップである。

一見したところそんなに変わったという印象はない。もちろん内外装の新色はわかるが、細かい意匠面での変更は注意して見ないと見逃しそうだ。しかし、色使いにしてもオーディオやリアガラスなどの変更にしても、市場からの要求に反応しすぎの感があるのは、気になるところだ。ホンダ流スポーツカーの外観的方向性は、硬派か軟派、どっちなのだろうか。
室内&荷室空間

妙にソフトタッチ化したインターフェイス

試乗したのはモンツァレッドパールという深い赤に黒のレザー内装の組み合わせ。比較的地味なパターンだが、少し前に見たホワイトパールに赤の内装はすごかった。インパネまで真っ赤なのだ。他に内装色では、ブルーとレッド&ブラックが追加されている。

ステアリングの革の素材が少しドライタッチに変わり、シフトノブも革巻きのコンビに。AM/FMラジオ付きCD/MDオーディオには時計が付き、ドアにはスピーカーと小物入れが追加された。

幌を立てた際の後方視界は予想外に悪くなかった。ビニール製からガラス化によって開口部は狭まっているのだが、ウインドディフレクターの高さに合わせたそれは、ルームミラー越しの視界をほとんど妨げない。
  • ホンダ S2000 インパネ|ニューモデル試乗
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ドライブフィール

洗練されたが薄れた個性。走りの質は確実に向上

初期型オーナーの立場から言わせてもらうと、操作系はすべてが軽いタッチとなる方向で洗練された感じがする。ステアリングは最初の硬質感のある革巻きのほうが雰囲気はあるが、今度のややドライタッチの革質のほうが、より軽快感を増したステアフィールやハンドリングバランスには合っていると言えなくもない。

定評のあったシフトフィールも確実に向上したし、ギアの精度やリンケージの剛性感にも熟成を感じた。しかしなかでも印象的だったのは、リアサスペンションを中心としたシャーシのまとまりだ。ステアリングとのバランスを考えながらしなやかにストロークさせる乗り味は、ちょっとロードスター風に寄りすぎだが、コントロール性が高くなったのは事実だろう。
こんな人にオススメ
今回S2000は間違いなく洗練熟成された。以前から指摘のあった時計の装備やガラスのリアウインドウなど、使ってみて初めてわかる不都合を改善するのは悪いことではない。けれど、それによって普通の車になっていくのは何だか惜しい。スポーツカーに求めるのは非日常だ。
SPECIFICATIONS
グレード ベースグレード
駆動方式 FR
トランスミッション 6MT
全長×全幅×全高(mm) 4135 x 1750 x 1285
ホイールベース(mm) 2400
車両重量(kg) 1240
乗車定員 2人
エンジン種類 直列4気筒DOHC
総排気量(cc) 1997
最高出力 184kW(250ps)/8300rpm
最大トルク 218N・m(22.2kg-m)/7500rpm
車両本体価格 343万円
写真:桜井健雄 文:伏木悦郎