ホンダ ストリーム 【プレイバック試乗記】
カテゴリー: ホンダの試乗レポート
2009/06/24
※この記事はカーセンサー関東版45号(2000年11月30日発売)に掲載されていたものをWEB用に再構成したものです
従来のミニバンにないスポーティなデザイン
↑応答性の高さとリアの踏ん張りでスポーツクーペ志向のミニバンになったホンダ ストリーム iS(左)衝突時に発生するGをコントロールする衝突安全技術Gコントロールに基づいた、新・衝突安全設計ボディを採用する(右)
6人乗りボブスレーが描かれたイメージスケッチや「7シータークーペ」という初期の開発キーワードを見れば、ホンダがストリームに何を与えたかったのかは明らか。従来の3 列シートミニバンにはなかったスポーティさ……これがストリームのキモである。低めの全高や、クーペを思わせるティアドロップ型のウインドウグラフィックは、ミニバンというものに対して我々が思い描いているイメージとはかなり異なっている。つまり、その内部に合計7人分、3列のシートが収まっているようにはちょっと見えない、軽快な仕上がりなのだ。
しかし室内に乗り込むと、思いのほか快適な空間であることに驚かされる。とかく軽視されがちな3列目シートにも十分なスペースが割り振られているし、着座姿勢も自然。シートバックが短いのは少々残念な部分だが、2時間程度のドライブなら躊躇せずに乗り込む気になる。
“長いものを引きずる”操縦感覚を一掃した走り
↑クラス初の5速ATはシーケンシャルモード付き。切れ味のいい走りを楽しめる(左)2Lエンジンはリーンバーンと5速ATにより、1.7Lモデルとほぼ同等の燃費となる(右)
スポーティなミニバンというコンセプトは、ドライブフィールにもしっかりと反映されている。シートに収まってまず感じるのは、乗用車に限りなく近い地面との距離感。事実、ストリームのヒップポイントは、ミニバンと乗用車の中間的存在ともいうべきオデッセイよりさらに10cm以上低い。目隠しをしたまま乗り込んだら、ミニバンとはわからないのではないか。iL/iS のエンジンは、次期ステップワゴンをはじめとするホンダRVの主力エンジンとして新開発された2L直4リーンバーン。クリーンな排ガスと低燃費に加え、十分な動力性能、優れた静粛性を実現している。組み合わせる5速AT(FF)もまた素晴らしい出来映えである。
実際にiSに試乗してみると、その印象はさらに強くなる。重めのステアリングを切り込むと、ロールをほとんど感じさせないままノーズが気持ちよく反応。続いてリアがグッと踏ん張る感覚が伝わってくる。フロントの応答性の高さもさることながら、後輪の踏ん張り(=後輪の存在感)を強く感じさせてくれるのがストリームの特徴だ。これにより「後方に長いものを引きずっている」というミニバン特有の操縦感覚は見事に一掃された。
街中メインなら1.7L、スポーティな走りなら2L
↑フォグランプなどはオプションとなるが、ほぼ満足のいく装備をもちながら169.8万円という控えめなプライスが魅力のL。一番の量販グレードになりそうだ(左)セカンドシートは左右別々にロングスライド(240mm)が可能。座り心地も○(右)
2Lを搭載するiL/iSに対し、G/Lはシビックの上級グレードと同じ1.7Lを搭載する。装備の違いを考慮に入れれば、エンジン/ミッション(1.7Lは4速ATと組み合わせる)の違いによる価格差は約20万円。タイヤが2Lの15インチに対し14インチになる以外、外観に目立った違いがないこともあってお買い得感は高い。1.7L系のFFのみ、後席フロア中央に盛り上がりがなく、足元がスッキリしているのも大きな魅力ポイントだ。となると気になるのは2Lとの走りの違いだが、その差は小さくない。普通に走っている分には1.7Lでも不足を感じることはないが、フル乗車時や上り勾配といったエンジンの底力が試されるシーンでは、2Lとの違いが加速度的に大きくなる。
なかでも一番違うのが静粛性。エンジンの特性として2Lのほうが静かであることに加え、トルクに余裕がない1.7Lはエンジン回転数が高くなりがち。AT段数の違いもそれに輪をかけている。1人や2人乗車で街中メインに使うのなら1.7Lもいいが、ストリームらしいスポーティな走りを重視するなら2Lがおすすめ。
“乗用車志向” ではなく“スポーツクーペ志向”
↑サードシートの快適性は高い。片手で簡単に折り畳めるアイデアも秀逸だ(左)サードシートを畳むとワゴンライクな使い勝手のいいラゲージスペースが現れる(右)
ステップワゴンやオデッセイといったヒット作を次々に生み出してきたホンダだが、5ナンバーミニバンでは後発組。既存のライバルの間に割って入るには、独自の個性が求められるわけだが、ホンダはストリームに「スポーティ」というキーワードを与えてきた。走りを重視したミニバンはストリームが初めてではない。しかし、ストリームの凄さは、実際に眺め、乗ってみればすぐに理解できるだろう。要するに、スポーツ性の追求度がハンパではないのだ。
「乗用車志向」のミニバンではなく「スポーツクーペ志向」のミニバン。それがストリームの正体である。
SPECIFICATIONS
主要諸元のグレード | iS(FF) | L(FF) |
駆動方式 | FF | |
トランスミッション | 5AT(Sマチック) | 4AT |
全長×全幅×全高(mm) | 4550×1695×1590 | |
ホイールベース(mm) | 2720 | |
車両重量(kg) | 1420 | 1330 |
乗車定員(人) | 7 | |
エンジン種類 | 直 4DOHC | 直 4SOHC |
総排気量(cc) | 1998 | 1668 |
最高出力[ps/rpm] | 154ps/6500rpm | 130ps/6300rpm |
最大トルク[kg-m/rpm] | 19.0kg-m/4000rpm | 15.8kg-m/4800rpm |
10・15モード燃費(km/L) | 13.6 | 14.2 |
ガソリン種類/容量(L) | 無鉛レギュラー/55 | |
車両本体価格 | 170.0万円 | 210.0万円 |
岡崎五朗の責任採点
コンセプト | 4点 | 取り回し | 3点 | 加速性能 | 4点 | ブレーキ性能 | 4点 |
フィニッシュ | 4点 | 操作系の使い勝手 | 4点 | 乗り心地 | 3点 | 環境対策 | 5点 |
前席居住性 | 4点 | ラゲージルーム | 2点 | 操縦安定性 | 4点 | 燃費 | 4点 |
後席居住性 | 4点 | パワー感 | 4点 | 高速安定性 | 4点 | ステータス | 4点 |
内装の質感 | 3点 | トルク感 | 4点 | しっかり感 | 5点 | コストパフォーマンス | 4点 |
得点合計 | 77/100 |
ホンダ ストリーム 【プレイバック試乗記】/試乗レポート
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