▲この車は日本人の感覚に合ったモデルだ。柔らかさを感じるボルボらしいデザインで、しかも経済的。ブランド性よりも良質さを重視する人にぴったりで、世代を超えて提案できるモデルだ ▲この車は日本人の感覚に合ったモデルだ。柔らかさを感じるボルボらしいデザインで、しかも経済的。ブランド性よりも良質さを重視する人にぴったりで、世代を超えて提案できるモデルだ

Cセグメントで最もスポーティなディーゼルモデル

軽井沢で行われたボルボの試乗会は、V40、V60、XC60に用意されるディーゼルモデルのフルラインナップという待望の内容であった。なかでも激戦区であるCセグメントに追加された“V40”はすべての面で最も印象的だった。

まずは振動を確かめる。今回搭載されたのは4気筒2Lのターボディーゼルユニットだ。キャビンへの静粛性は極めて高く、振動も上手く吸収している。いざ試乗してアクセルを軽く踏み込むと最大400Nmの高トルクで、滑らかに滑り出す。アイシンAWが専用に作ったこのATは、エンジン回転数が1500を越えるか越えないあたりで気持ち良くシフトアップを繰り返す。

また、エンジン重量が重くなっている分フロントが持ち上がりにくくなってトルクステアも抑えられている。今回の試乗は、急でタイトなコーナーが続く“白糸ハイランドウェイ”で行われたが、その特徴が顕著に感じられた。ディーゼルエンジンは低回転域に強い分、高回転域では上げ止まりを感じることも多いが、そういったストレスも感じさせない。

そしてスポーティなテイストもきちんと感じさせる。FFのモデルはフロントのロードホールディングが難しいものだが、V40はそんなことをまったく感じさせなかった。ディーゼルモデルを追加したことにより、シャシーとエンジン、サスペンションのハーモニーがさらに際立ったように感じる。

細かいところでは、車線内にとどまるようステアリングを自動修正する装置(LKA)も他社より穏やかに働き、私の体にジャストフィットしたファブリックシートの出来も大変気に入った。

V40はこの大きさのハッチバックで、燃費、走り、乗り心地、作りの良さ、そしてデザインと、競合ひしめくカテゴリーにあっても、かなり優位に立ったのではないかと思う。

▲サイクリスト検知機能といった安全装置やデザイン、質感など内装からもらしさを十分に感じさせる ▲サイクリスト検知機能といった安全装置やデザイン、質感など内装からもらしさを十分に感じさせる
▲新開発の2L 4気筒のクリーンディーゼルエンジン。1.5Lエンジン並みの燃費や高い環境性能を誇る ▲新開発の2L 4気筒のクリーンディーゼルエンジン。1.5Lエンジン並みの燃費や高い環境性能を誇る

【SPECIFICATIONS】
■グレード:V40 D4 SE ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直4DOHCターボ ■総排気量:1968cc
■最高出力:190/4250[ps/rpm]
■最大トルク:400/1750-2500[n・m/rpm]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:8AT
■全長×全幅×全高:4370×1800×1440(mm) ■ホイールベース:2645mm
■車両重量:1540kg
■車両本体価格:399万円(税込)

text/松本英雄 photo/向後一宏