▲新車価格はおおむね400万円級となる現行ボルボ V40ですが、その比較的低走行な中古車は総額100万円台半ばぐらいから狙える状況に。でもそれって本当にお買い得なのか、いろいろ検討してみましょう ▲新車価格はおおむね400万円級となる現行ボルボ V40ですが、その比較的低走行な中古車は総額100万円台半ばぐらいから狙える状況に。でもそれって本当にお買い得なのか、いろいろ検討してみましょう

「しゃれてる高年式輸入車なのにお手頃」という虫のいい選択肢

「ちょっとプレミアムな感じでしゃれていて、安全装備も充実してて、走行性能もそれなり以上で……それでいてお手頃プライスな高年式輸入車が欲しい」などと虫のいいこと(?)を考えている人もいらっしゃるでしょう。

世の中、普通はそういった「虫のいい話」はないというのが定説ですが、よくよく探してみれば、決してないこともありません。

例えば、それは現行ボルボ V40の中古車です。

7月下旬に掲載されたV40 T2キネティック試乗記のなかでも詳述されましたが、現行ボルボ V40は13年2月に登場したボルボのプレミアムショートワゴン。サイズ的にはフォルクスワーゲン ゴルフやメルセデス・ベンツ Aクラスあたりとおおむね同じで、ボルボらしい確実な走りと上質な内外装、そして充実した安全装備が特徴です。現在の新車価格は299万~455万円。

で、これの中古車が今、総額140万~180万円ぐらいで探せてしまうのです。それも過走行のオンボロ中古車とかではなく、走行3万km台までのまずまず好条件な1台が、です。

新車のV40 T2キネティックは車両299万円という戦略的なお値段ですが、「支払総額」で考えると330万円ぐらいになるでしょうか? わかりませんが、おおむねそんなもんでしょう。それに対してこちらは「総額で140万~180万円ぐらい」。……中古車であるというデメリットは当然存在するわけですが、検討してみる価値はあるはずです。

「総額100万円台の中古V40」は本当に買いなのかどうか、次章から考えてみましょう。

▲こちらが現行ボルボ V40。いわゆるCセグメント(フォルクスワーゲン ゴルフぐらいのサイズ感)に属する5ドア車で、ボルボ自身はこれを「プレミアムショートワゴン」と呼んでいます ▲こちらが現行ボルボ V40。いわゆるCセグメント(フォルクスワーゲン ゴルフぐらいのサイズ感)に属する5ドア車で、ボルボ自身はこれを「プレミアムショートワゴン」と呼んでいます
▲リアまわりのデザインには、往年のボルボ車のエッセンスがちょっと入っています。荷室容量は335Lですが、最大拡大時は1032Lに。床下にも収納スペースが用意されています ▲リアまわりのデザインには、往年のボルボ車のエッセンスがちょっと入っています。荷室容量は335Lですが、最大拡大時は1032Lに。床下にも収納スペースが用意されています
▲いかにも北欧製らしいデザインがステキな現行V40の運転席まわり。写真は左ハンドルの本国仕様で、レザーシートやナビゲーションなどのオプション装着車 ▲いかにも北欧製らしいデザインがステキな現行V40の運転席まわり。写真は左ハンドルの本国仕様で、レザーシートやナビゲーションなどのオプション装着車

選べるのは初期のベーシックなグレードだが基本的には十分以上

今現在「総額140万~180万円ぐらい」で狙える現行ボルボ V40は13~14年式で、走行距離は1万~3.9万km付近。中心となっているのは2万~3.5万kmぐらいの個体です。

このぐらいの中古車というのは、歴代オーナーの扱い方次第で内外装のコンディションは大きく異なります。荒く扱われたものはくたびれて見えますが、丁寧に扱われた個体であれば、いわゆる使用感は「当然あるっちゃあるけど、騒ぐほどではない」ぐらいの場合が多いもの。もしも後者のような個体を見つけることができたなら、中古車特有の「くたびれ感」みたいなものはさほど気にならないはずです。

エンジンとトランスミッションについても考えてみましょう。

「総額140万~180万円ぐらい」の現行ボルボ V40は前述のとおり主に13~14年式で、グレード的には「T4」または「T4SE」がほとんどです。T4というのは1.6L直噴ターボを搭載するグレードで、T4 SEはそれに17インチホイールなどを組み合わせたやや上級のバージョン。変速器はどちらも6速デュアルクラッチ・トランスミッションとなっています。

これはつまり「同時期の2L直5ターボや後の1.5Lダウンサイジングターボ、2Lのクリーンディーゼルターボは選べない」ということを意味します。ちなみにこのあたりの新エンジンを搭載した年式の変速器は、6速デュアルクラッチ式ではなく6速ATまたは8速ATに替わっています。

これらの点についてどう考えるかですが、基本的には「でも十分じゃん」という考え方が適用できるはずです。

そりゃもちろん、燃費などを含む各種の性能は年次が新しければ新しいほど上ですが(当然です)、だからといって初期T4/T4 SEの「1.6L直噴ターボ+6速デュアルクラッチ・トランスミッション」に不満や問題があるわけでもありません。考え方や価値観は人それぞれでしょうが、もしも可能であれば一度前期T4に試乗してみると、「ぜんぜん十分じゃん!」ということがおわかりいただけるのではないかと思います。

▲何事も上を見ればキリがありませんが、初期の現行V40 T4系が採用した1.6L直噴ターボエンジンも「フツーに十分以上じゃない?」と感じる人が多いはずです ▲何事も上を見ればキリがありませんが、初期の現行V40 T4系が採用した1.6L直噴ターボエンジンも「フツーに十分以上じゃない?」と感じる人が多いはずです
▲現行V40のトランスミッションは途中から6速または8速のトルコン式AT(いわゆる普通のオートマ)に変更されましたが、この6速デュアルクラッチ・トランスミッションもダイレクト感があって非常に素敵です ▲現行V40のトランスミッションは途中から6速または8速のトルコン式AT(いわゆる普通のオートマ)に変更されましたが、この6速デュアルクラッチ・トランスミッションもダイレクト感があって非常に素敵です

「シティ・セーフティ」は初期モデルでも標準装備

あとはボルボのキモである「安全装備」の問題ですね。ここを、どう考えるか。

現行V40 T4/T4 SEは最初期型でも、50km/h以下で作動する自動ブレーキシステム「シティ・セーフティ」が全車標準装備。そしてプラス20万円だった「セーフティ・パッケージ」付きの個体であれば、歩行者検知機能付きブレーキシステムや車間警告機能、レーン・キープ機能や死角にある物体の警告システムなどなどなど、安全装備の全部盛り状態となります。

しかしV40の安全装備はその後も進化しました。

13年6月には「サイクリスト検知機能」が追加され、13年11月には、それまでオプションだったセーフティ・パッケージが全車標準に。さらに14年12月には、セーフティ・パッケージにリアビューカメラも追加した「インテリセーフ・テン」が全車標準装備となります。さらにさらに16年7月からの後期型は、それまでオプションだった「歩行者エアバッグ」が標準装備です。

……という具合に、後の世代になればなるほど充実した安全装備が全車標準で、つまりすべての中古車にも、それが付いてくるわけです。

そうなると「前期の中古車なんて買ってられない! せめて16年7月以降の後期型を買うしかない!」と叫び出す人もいるかもしれませんが、ちょっと待ってください。

▲もちろん、より充実した安全装備を求めたくなる気持ちはわかりますが ▲もちろん、より充実した安全装備を求めたくなる気持ちはわかりますが

先進安全装備の基本と言える機能は最初期モデルでも標準装備ですし、「セーフティ・パッケージ」付きの中古車ならほぼ全部盛りです。もちろん「安全」というのはいくらでも追求すべきものですから、より後期の「さらに全部盛り!」を選んだ方がより安心なのは間違いないでしょう。

しかし13年式でも「ある意味十分」とは言えるはずですし、13年11月以降のセーフティ・パッケージが標準化された個体であれば、「ぜんぜん十分」とすら感じられる可能性があります。

まぁこのあたりの装備についての考え方は人それぞれであるため、「絶対に前期の中古車がオススメですよ!」とは申し上げません。ただ、ここまで詳述したモロモロを考え合わせると、少なくとも「総額140万~180万円ぐらいで狙える現行ボルボ V40ってなかなか悪くない」と言えるはずです。

それを踏まえ、あとはご自身でさらなるご検討をしていただけましたら幸いです。

▼検索条件

ボルボ V40(現行型)×車両価格160万円以下×走行距離3.9万km以下×修復歴なし
text/編集部
photo/ボルボ