成長過程の17歳

  • ロータス エリーゼS 走り|ニューモデル試乗
  • ロータス エリーゼS リアスタイル|ニューモデル試乗
手動で着脱可能なソフトトップを標準に、ハードルーフもオプションで選択可能。アーチ型の大型リアスポイラーが装着される
思い出せば17年前にエリーゼは生を受けた。以来、総アルミ応力担体で軽量小型を実現したこのミッドシップスポーツカーは、当時マクラーレンF1やフェラーリF50などの超高性能スポーツカーが世間の耳目を集める一方で、人馬一体の境地を理想とするストイックなスポーツカー愛好家に大歓迎された。

その後、エリーゼはクローズドトップのエクシージや辛口仕様をバリエーションに加え、存在感を確固たるものにしていく。ただし、そのレイアウトはFF実用車用の横置きパワートレイン(当初ローバー製、後にトヨタ製)をそのままミッドに置き直したもので、明白なリアヘビー傾向とリアサスペンションの制約というネガを内包するものであった。

それでもエリーゼやその兄弟たちが手練れドライバーを納得させる走りを実現していたのは、絶対的な軽さとロータスならではのセッティングの妙ゆえだったと言っていい。

注釈抜きの世界へ

  •  ロータス エリーゼS インパネ|ニューモデル試乗
  • ロータス エリーゼS シート|ニューモデル試乗
スポーツバケットシートが備わる、アルミパーツを用いたシンプルなインテリア。オプション(ツーリングパック)でレザーインテリアも選択可能
そのトータルパッケージの妙は、エンジンが220psに、車重が極初期よりも200kg以上増えてしまった現在も依然として健在だ。フェイズ2で前175/55ZR16+後225/45ZR17というリア優勢に変更された前後タイヤ能力のバランスは、さらに意匠に手が加えられたフェイズ3でも引き継がれており、リアの安定を軸としつつ、その範囲内で軽快な旋回性を楽しませるという後期エリーゼの味付けは変わっていない。

大づかみの話ではそうなるのだが、減衰力が引き上げられたダンパーやアルミ鍛造ホイールやバケットシートを装備するスポーツパックでは、先述のような操安性上の一種の保険がかかっていることを忘れさせる鮮烈な旋回レベルを提供してこちらを瞠目させてくれる。

もはや十分以上といえる加速力ともども、エリーゼは、ライトウェイトという注釈抜きのスポーツカーの中核エリアにすでに切り込んでいっている。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード ELISE S
全長×全幅×全高(mm) 3800×1720×1130
車両重量(kg) 950
エンジン種類 直4DOHCスーパーチャージャー
総排気量(cc) 1798
最高出力[ps/rpm] 220/6800
最大トルク[Nm/rpm] 250/4600
車両本体価格 610万円
Tester/沢村慎太郎  Photo/尾形和美