※この記事はカーセンサー関東版17号2000年5月4日・5月11日発売号に掲載されていたものをWEB用に再構成したものです
(Tester/岡崎 五郎 Photo/渡邉 英昭)

感動的な走りを生むエンジンと足回りを魅力的なプライスで

  • シトロエン サクソ VTS 走り|ニューモデル試乗
  • シトロエン サクソ VTS リアスタイル|ニューモデル試乗
↑106 S16に対し足回りは若干マイルドだが、走りの楽しさは掛け値なしに最高(左)プジョー106と同じコンポーネントを使いつつ独自のスタイルを実現している(右)
サクソとプジョー106は多くのメカニカルコンポーネントを共用する兄弟車だ。しかし、サクソがシャンソンと呼ばれていたデビュー当初、両車は巧みにバッティングを避けていた。日本で販売されている106は3ドアボディに1.6L DOHC+5速MTを組み合わせたスポーツバーションのS16のみ。一方のシャンソンは、5ドアやAT、SOHCエンジンを用意するなどして、よりフレンドリーな路線を歩んでいたのだ。

ところが1999年、シトロエンはシャンソンのネーミングを本国名のサクソへと変更。同時にATや5ドアを廃止して、106 S16と同じエンジン/ミッションを積むVTSというスポーツバージョンを投入してきたのである。

価格の引き下げでブランドイメージの違いを吹き飛ばす

  • シトロエン サクソ VTS インパネ|ニューモデル試乗
  • シトロエン サクソ VTS エンジン|ニューモデル試乗
↑インテリアパーツの中でもっとも大物であるインパネもサクソ専用のデザイン(左)4気筒ながらも他社のV6モデルに匹敵するスムーズさと静粛性を誇る(右)
と言うわけで、VTSの中身は限りなく106 S16に近い。つまり、走りの楽しさは掛け値なしに最高である。しかし、内容が近くなればなるほど、ブランドイメージで優るプジョーが有利になるのは明らかだ。商品そのものの魅力は向上したのかもしれないが、106 S16ではなくサクソを選ぶ理由は逆に希薄になってしまっていた。

2000年モデルのサクソVTSは、そんな劣性を一気に挽回する可能性を秘めた大きな話題とともに登場した。価格を229万円から一気に198万円に引き下げてきたのだ。これで106 S16との価格差は6万円から37万円に一気に拡大した。この価格差には、ブランドイメージの違いなど吹き飛ばしてしまうほどのインパクトがある。なお、すでに229万円を出して買ってしまっていたユーザーには差額が返還された。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード VTS
駆動方式 2WD(FF)
トランスミッション 5MT
全長×全幅×全高(mm) 3735×1620×1360
ホイールベース(mm) 2385
車両重量(kg) 960
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直4DOHC
総排気量(cc) 1587
最高出力[ps/rpm] 120ps/6600rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 14.7kg-m/5200rpm
10・15モード燃費(km/L)
ガソリン種類/容量(L) 無鉛プレミアム/45
車両本体価格 198.0万円

岡崎五郎の責任採点

コンセプト 2点 取り回し 4点 加速性能 4点 ブレーキ性能 4点
フィニッシュ 3点 操作系の使い勝手 3点 乗り心地 4点 環境対策 3点
前席居住性 4点 ラゲージルーム 2点 操縦安定性 5点 燃費 3点
後席居住性 3点 パワー感 5点 高速安定性 4点 ステータス 2点
内装の質感 2点 トルク感 4点 しっかり感 4点 コストパフォーマンス 5点
得点合計 70/100