イージーに代わる2ペダルMT。その名はクイックシフト5

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コンセプト

セレスピードを思わせるシーケンシャル式に

1993年に発売されたルノートゥインゴが、またもマイナーチェンジを受けた。この形としてはおそらく最後のマイチェンとなるだろう今回(2001年1月)の目玉は「クイックシフト5」。

従来のイージーに代わる2ペダル式のMTだ。クラッチ操作を油圧にしただけのイージーとは違い、こちらはアルファロメオのセレスピードに似たシーケンシャルタイプの5速で、オートマチックモードも付く。クラッチは電磁式に改められた。

それ以外ではインテリアとシャーシが手直しを受けた。後者はフロントサスペンションにスタビライザーが入り、電動パワーステアリングの制御を見直したもの。ホイールは13インチから14インチになって、その分ブレーキ径も拡大。フロントのディスクはベンチレーテッドに見直された。
室内&荷室空間

今度のスイッチはスケルトンのレッド

全長3.4mとは思えない広さをもつ室内は、マイナーチェンジごとに変わるスイッチの色がスケルトン風のレッドに。同色でお化粧されたクイックシフト5のレバーの奥には、カップホルダーが設けられた。オーディオもカセットチューナーからCDチューナーに変わり、ダッシュ上に加えドア部にもスピーカーが付いた。おかげで音質は、このクラスとしては最高レベルだ。

座った瞬間になぜかホッとするシートはモケット張り。ボディカラーに合わせてシートのカラーもレッドとグレーが用意されている。新型ではこのモケットが、リデザインされたドアトリムにもおごられるようになった。前後方向のスライドとリクライニングができるリアシートによるミニバン顔負けの多用途性は、変わらずそのままだ。
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ドライブフィール

ペースを上げるほどレスポンスがクイックに

この種のトランスミッションはどうしてもシフトアップのときの減速感が気になるが、クイックシフト5はこれがあまりない。その代わり流れに乗るレベルでは、動作がゆっくりに感じる。「どこがクイックなの?」という声が聞こえてきそう。でも深くアクセルを踏むと、一転してスピーディに操作してくれる。“コンパクトカーは元気に走らせよう”というメッセージが伝わってくるのだ。

乗り心地はルノーの一つ上のクラスの小型車、ルーテシアを思わせるもので、今までより少し硬め。フランス車らしいフンワリ感は薄れたが、速度を上げれば独特のしなやかさが味わえる。ステアリングのフィーリングが自然になり、ブレーキの利きが良くなった点も特徴。積極的に走る人には、うれしい変化といえるだろう。
こんな人にオススメ
トゥインゴオーナーとしては“全員”といいたいところだけど、なかでも予算は少ないが乗るたびに笑顔になれる車が欲しい人にピッタリ。小型車一台ですべてをこなすことに快感を覚える合理主義者にも向く。クイックシフト5は普通のMTやATに飽きた人にオススメ。新鮮なドライビングが味わえるよ。
SPECIFICATIONS
グレード クイックシフト5
駆動方式 FF
トランスミッション 5AT
全長×全幅×全高(mm) 3425 x 1630 x 1435
ホイールベース(mm) 2345
車両重量(kg) 880
乗車定員 4人
エンジン種類 水冷直列4気筒SOHC
総排気量(cc) 1148
最高出力 43kW(58ps)/5250rpm
最大トルク 91N・m(9.3kg-m)/2500rpm
車両本体価格 149万円
写真:芳賀元昌 文:森口将之