アウディ RSQ3|海外試乗

同じアウディでいえば、RSモデルよりも一段マイルドなSモデルのほうがネーミングとしては似つかわしい気もするけれど、このハンドリング、乗り心地、そして動力性能のバランスは絶妙。コンパクトなボディながらスペースユーティリティが高い点も魅力的だ

RSモデル初のSUVはマイルドなテイストが売り物

扱いやすさ重視の設定

かわいらしいRSモデルの登場だ。これまではRS4にしてもRS6にしても、V8エンジンの大パワーを4輪駆動のクワトロで確実に路面に伝え、ぐいぐい走るイメージが濃厚だったアウディのRSモデルだが、新登場のRSQ3に搭載されるのは2.5L直5ターボ。つまりTTRSと基本的に同じエンジンで、その最高出力と最大トルクを310ps/420Nmに抑えて扱いやすさを重視した設定としている。

今回はヨーロッパ・アルプスの山並みでRSQ3に試乗するチャンスを得たが、最初に感じたのは取り回しの容易さ。そもそもボディがコンパクトなうえ、SUVゆえ視点が高くて見切りが良好なため、狭いワインディングロードでもまったく不自由を覚えない。

また、他のRSモデルに比べるとサスペンションがはるかにしなやかだから、家族と出かけても苦情が出る心配はないだろう。たとえフルスロットルにしても排気音が小さく抑えられている点も家族思いのお父さんとして歓迎されるはず。これなら平日は安心して奥さんにキーを預けられそうだ。

RSの血統はしっかり引き継がれている

それでもRSの血統はしっかり引き継がれている。

たとえばロール剛性と乗り心地のバランスが絶妙なため、ハードコーナリングを試してもボディがグラリと傾くことはない。扱いやすさ優先のエンジンも0→100km/h加速で5.2秒の瞬足ぶりを発揮。かすかに5気筒特有のビートが残るRSQ3の加速感は爽快そのものだ。

聞けば、RSモデルはアメリカや中国への本格進出を目指し、幅広いラインナップを構築中とか。RSQ3も新たな“RSファン”の獲得にひと役買いそうだ。

車高をベースより25mm低めたRSスポーツサスペンションを装着。バッテリーをラゲージに積むなど、前後重量配分をし適正化している

車高をベースより25mm低めたRSスポーツサスペンションを装着。バッテリーをラゲージに積むなど、前後重量配分をし適正化している

アルミやカーボンでスポーティに演出。シートにはアルカンターラ、レザーを使用し、スポーティな中にも高級感を持つ

アルミやカーボンでスポーティに演出。シートにはアルカンターラ、レザーを使用し、スポーティな中にも高級感を持つ

直噴技術やアイドリングストップ機構などの環境性能に注力し、高出力エンジンにも関わらず燃費は約11.4km/L(100kmあたり8.8L)となる

直噴技術やアイドリングストップ機構などの環境性能に注力し、高出力エンジンにも関わらず燃費は約11.4km/L(100kmあたり8.8L)となる

SPECIFICATIONS

グレード RS Q3
駆動方式 4WD
トランスミッション 7DCT
全長×全幅×全高(mm) 4410×1841×1580
ホイールベース(mm) 2603
車両重量(kg) 1655
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直5DOHCターボ
総排気量(cc) 2480
最高出力[ps/rpm] 310/5200-6700
最大トルク[N・m/rpm] 420/1500-5200
Tester/大谷達也 Photo/アウディ ジャパン