しなやかな身のこなしをもつ、スポーツワゴン

(Tester/島崎七生人 Photo/尾形和美)

コンセプト
車名をヴァリアントに統一 デザインは上質な仕上がり

VW ゴルフヴァリアント フロント|ニューモデル試乗 VW ゴルフヴァリアント リア|ニューモデル試乗 VW ゴルフヴァリアント エンブレム|ニューモデル試乗
 「ヴァリアント」に呼称が改まった(VW的には“戻した”)ワゴン版ゴルフは、今回のモデルで通算3代目。初代、先代ともゴルフの名に恥じぬ、手頃なボディサイズの超実用的なワゴンとして多くのユーザーに愛された。
 では今度の3代目はどうか? 少なくとも外観を見た第一印象は「あら!?」だった。ゴルフというより、ペタンコに見える現行ジェッタのワゴン版とも言うべきか。窓にはメッキの縁取りが入り、高級を意識したのだろうが国籍不明感も少々…。最近のVW車のデザインは色気を出そうとするあまり迷走気味に思えるが、ゴルフヴァリアントにもその傾向あり。よく言えば上級のパサートと見まごうほどの高級感を醸し出したルックス…と言えなくもない。

室内&荷室空間
ワゴンを知り尽くした欧州車ならではのラゲージ

VW ゴルフヴァリアント インパネ|ニューモデル試乗 VW ゴルフヴァリアント リアシート|ニューモデル試乗 VW ゴルフヴァリアント ラゲージ|ニューモデル試乗
 インテリアは見慣れたゴルフのそれだ。いいのは後席の頭上空間に余裕ができた点(国産セダンの後部座席のようなジェッタとは反し)。全席ともシートがしっかりした作りで疲れ知らずなのも嬉しい。
 ここ最近のEクラスワゴンのようにスカしてバックドアのガラスを傾斜させた外観だが、ラゲージスペースが犠牲になっていないのでひと安心。スペースは四角く無駄がなく、トノカバー下の容量もたっぷり。バックドア開口部も後方から眺めると、すっきりと四角い形状になっているのがわかる。大きな荷物でも入れ方を工夫する必要がなく、サッと積み込める。オプションのパノラマルーフは1360×870mmの大開口が自慢。前側がチルト&アウタースライドしメッシュの電動サンシェード付きだ。

ドライブフィール
ボディ延長分のネガは皆無1.4Lで動力性能は十分

VW ゴルフヴァリアント エンジン|ニューモデル試乗 VW ゴルフヴァリアント アルミホイール|ニューモデル試乗 VW ゴルフヴァリアント 走り|ニューモデル試乗
 営業妨害をするつもりは毛頭ないのだが、定評のVWの1.4L・TSIエンジンに試乗すると、「ゴルフはこのエンジンだけでも十分なのでは!?」と思ってしまう。例によって低速からスピードを上げるまで動力性能は十分だし、電光石火のシフトチェンジが自慢のDSGとの組み合わせで、まさに完全無欠状態。独特のエンジン音さえ気にならなければ申し分ない。
 もう一つの2.0L・TSIも、自然なパワーフィールが特徴。だがコチラは「Sportline」仕様で、足がやや硬め。荒れた路面などでは同乗者の理解が必要そうだ。ゴルフのハッチバックに対し全長が300mm程度長い割には、全車とも身のこなしはしなやかで、ワゴンならではのネガな印象はない。4輪の接地感の高さも印象的。

こんな人にオススメ

 クリーンでシンプルな“姿”だった先代の魅力はいまだ色あせていない。…と、行間から読み取っていただきたいが、ゴルフワゴンも、もはや時代のすう勢に合わせて高級志向になったということか。それがハナにつかなければ旧型からの代替も新規購入もオススメ。何といっても1.4L・TSIの走りのポテンシャルは絶大な説得力をもつ。

主要諸元のグレード TSI コンフォートライン
駆動方式 FF
トランスミッション 6速DSG
全長×全幅×全高(mm) 4565×1785×1530
ホイールベース(mm) 2575
車両重量(kg) 1470
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直4DOHC+SC+ターボ
総排気量(cc) 1389
最高出力[kW(ps)rpm] 125kW(170ps)/6000rpm
最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 240N・m(24.5kg-m)/1500~4750rpm
10・15モード燃費(km/L) 14.0
ガソリン種類/容量(L) 無鉛レギュラー/55
車両本体価格(万円) 296.0