身のこなしはまるでセダン並み、新搭載V6が狙い目
(Tester/島崎七生人 Photo/尾形和美)

フォルクスワーゲン トゥアレグ 走り|ニューモデル試乗 フォルクスワーゲン トゥアレグ フロントスタイル|ニューモデル試乗 フォルクスワーゲン トゥアレグ リアスタイル|ニューモデル試乗
テスト車両:V6 549万円
V8 735万円
■主要諸元
●駆動方式:4WD
●トランスミッション:6AT
●全長4755×全幅1930×全高1730㎜
●ホイールベース:2855㎜
●車両重量:2260㎏
●乗車定員:5人
●エンジン種類:V6DOHC
●総排気量:3594㏄
●最高出力:206kW(280ps)/6200rpm
●最大トルク:360N・m(36.7kg-m)/2500~5000rpm
●使用燃料:無鉛プレミアム
●燃料タンク容量:100L
●10・15モード燃費:6.9㎞/L
●タイヤサイズ:255/55R18


コンセプト
エンジン、外観などを含め大幅にリフレッシュ!

フォルクスワーゲン トゥアレグ ワッペングリル|ニューモデル試乗 フォルクスワーゲン トゥアレグ エンブレム|ニューモデル試乗 フォルクスワーゲン トゥアレグ ラゲージ|ニューモデル試乗
 VWトゥアレグが日本市場にお目見えしたのは2003年秋。ポルシェカイエンはまさにサプライズだったが、トゥアレグは「まあ、あり得る」と、カイエンより冷静に受け止められたものだ。
 そのトゥアレグの3年半強にしてのリフレッシュもまた、順当な内容だ。最近のVW車のトレードマークである“ワッペングリル”も、新形状のヘッドランプともどもデザイン的に無理がなく、すんなりと移植に成功した感じ。
 エンジンも一新した。V8とV6の構成はこれまでどおりだが、ともに高効率と低燃費に貢献するFSI (直噴)を採用。V6は従来の3.2Lから3.6Lに排気量を拡大し、従来型に対しパワーで+39ps、トルクは実に+50N・mも上乗せ。V8もスペック&燃費を向上させた。

室内&荷室空間
プレーンかつ精緻な仕上げは大人のための上質な空間

フォルクスワーゲン トゥアレグ インパネ|ニューモデル試乗 フォルクスワーゲン トゥアレグ フロントシート|ニューモデル試乗 フォルクスワーゲン トゥアレグ リアシート|ニューモデル試乗
 室内に乗り込んでもトゥアレグは期待を裏切らない。「この車を選んでよかった」とオーナーに実感させてくれる、仕上げレベル、質感の高さだからだ。とくに車にとって超重要なインパネは、有機的な曲線がウネウネしていないプレーンな意匠に好感がもてる。安心感が高く大人びているし、木目パネルなど加飾の使用面積の抑えの効かせ方なども絶妙。斜めから見るとカメラのレンズのコーティングのような虹色に見えるガラスを採用した、メーター回りの精緻感も相変わらずだ。
 車の基本でしょう!とばかりに、シートは前後ともしっかりと座らせてくれ、姿勢の崩れもなく快適。床が低く平らで四角い形状のラゲージスペースも、大量の荷室を楽に飲み込む。

ドライブフィール
車重の軽さが利いているV6のしなやかさに感動

フォルクスワーゲン トゥアレグ エンジン|ニューモデル試乗 フォルクスワーゲン トゥアレグ アルミホイール|ニューモデル試乗 フォルクスワーゲン トゥアレグ エンジンスタートボタン|ニューモデル試乗
 キーフォブを持っていれば、グリップを引くだけでドアロックが解除。スマートな所作を実現させてくれるのがいい。
 走りは、V6エンジン搭載車(エアサス非装着車)の冴えの良さが気に入った。V8モデルより車重が70km軽いこともあり、身のこなしが軽快。まるでスポーツセダンのようなフットワークを披露する一方、流すような速度でも、しなやかな乗り心地を味わわせてくれる。エンジンのパフォーマンスも十分で、低速でも柔軟だし、アクセルを踏めばストレスなくエンジン回転(速度)を上げる。
 V8搭載車はV6モデルとはまた異なるキャラクターの持ち主。より悠然とした走りっぷり、乗り味がポイントとなる。エンジン性能のゆとりの大きさも特徴だ。

こんな人にオススメ

 ポルシェカイエンのほうがアグレッシブなキャラクターなのは確か。かつて“国民車”の王道だったVWも今や高級志向ではあるが、その度合いが決して過剰でなく、知的で見識のある…と形容可能な点が特徴。高級SUVは時代の潮流。だが、見栄や流行でなく、「いいツールを選びたい」と思う、わきまえのあるオーナーに似合う。