メルセデス・ベンツ Eクラス|ニューモデル試乗

あらゆる面で進化した新型Eクラスは、きっと誰をも満足させるはず。まさにどんな大人の要望にも応える究極の1台なのかも。いろいろな車を乗りつくして最後に到達するには最高。でも、まだ達観には早い若い方は、暴れ馬な後輪駆動のE63AMG Sをどうぞ

隙なしの超絶進化を実現!

大胆に変化した顔つきにビックリ

大胆に変化した顔つきに、まずはビックリの新型Eクラス。4灯式ヘッドライトの雰囲気を残しつつ、より躍動的になったフェイスは、直線基調のままのキャビンから後ろとビミョーに合っていない気もするが、若返った感じは確かに強い。

1グレード以外すべてがアバンギャルドで、しかもスターマーク内蔵のスポーツラジエターグリルが採用されても、きっと多くの人に受け入れられるのだろう。

個人的には、本来あるべきものがない寂しさを感じてしまったけれども。

Eクラスがここまで育ったか…

しかし実は今回のフェイスリフト、注目すべきは中身だ。例えばE250が積む2L直噴ターボは世界初のリーンバーン+ターボにより燃費を2割以上も向上させている。しかも走らせれば、スペック上は変更のないシャシーは熟成がさらに進んで、極上の乗り心地と懐深さを味わわせてくれる。

今回から電動化されたパワーステアリングの手応えも絶品。登場当初は「これで大丈夫なのか?」と思わせたEクラスがここまで育ったか…と、感慨深い気持ちになってしまった。

人気のE350ブルーテックも出力が大幅に向上。余裕を増した走りは、静けさと滑らかさにもがぜん磨きがかかって、従来ちょっと物足りなかった上質感がグンと増している。「これなら!」という出来になっているのだ。

他にもハイブリッドの登場、E63AMGへのSモデル、4MATICの追加などトピックは盛りだくさん。次期Sクラスに搭載予定の先進安全装備を出し惜しみせずに盛り込んできたのも大いに評価したい。

最初は違和感アリだった顔も、この跳躍ぶりを味わった後には、まあいいかと思えてしまった。このぐらい変えたくなる気持ち、よくわかる。個人的にはそれでもノーズマスコットは省いてほしくなかったけれども、ね。

E63AMGにはさらにパフォーマンスを高めたSや、トラクション性能を高める4WDなどのバリエーションが用意されている

E63AMGにはさらにパフォーマンスを高めたSや、トラクション性能を高める4WDなどのバリエーションが用意されている

ダッシュボードに上質な風合いのシボ加工を施したり、ステッチ回りなどにシャドウシルバーを用いるなど質感を向上させた

ダッシュボードに上質な風合いのシボ加工を施したり、ステッチ回りなどにシャドウシルバーを用いるなど質感を向上させた

AMGモデルにはナッパレザーのスポーツシートを標準装備。内外装の色や素材を多彩に組み合わせるデジーノも選べる

AMGモデルにはナッパレザーのスポーツシートを標準装備。内外装の色や素材を多彩に組み合わせるデジーノも選べる

SPECIFICATIONS

グレード E63AMG S 4MATIC
駆動方式 4WD
トランスミッション 7AT
全長×全幅×全高(mm) 4900×1873×1466
ホイールベース(mm) 2875
車両重量(kg)
乗車定員(人) 5
エンジン種類 V8DOHCターボ
総排気量(cc) 5461
最高出力[ps/rpm] 585/5500
最大トルク[N・m/rpm] 800/1750-5000
車両本体価格(万円) 1780
Tester/島下泰久 Photo/向後一宏