メルセデス・ベンツ Eクラス|海外試乗

欧州ではビジネスセダンと位置づけられるEクラスは、本来、実用性や快適性に重きを置いた車ですが、新型は見た目も走りもグンと向上した感アリ。若きビジネスエリートが乗るようになると落ち着いた今のイメージが変わるかも? AMGは特に

大胆なスタイルの裏に目を見張る進化が

本当の見所は新エンジン

まずは大胆な顔つき、特にスターマーク内蔵のグリルに目を奪われてしまうが、新しいEクラスの本当の見所は、その中身。とりわけ新しいエンジンだ。

E250が積む直列4気筒2L直噴ターボエンジンは、新たにリーンバーン化を実現した。つまり燃焼室にたくさんの空気を送り込み、薄い燃料で燃やすわけで、制御はきわめて高度なのだが、おかげで燃費は2割も向上したとうたう。

また、E350ブルーテックの3Lディーゼルエンジンも、低圧縮比化などの改良によって出力アップと同時に振動や騒音を低減。見違えるほどの上質感を堪能させてくれる。

スペックには表れない部分で乗り心地や静粛性にも磨きがかけられており、トータルで走りのクオリティを大幅に引き上げている。

安全装備も充実。特に、360度全方位を常に監視して事故を回避、または被害を低減するアクティブセーフティ性能は、クラスの水準を引き上げるものだ。

単なるマイナーチェンジと侮るなかれ

同時にE63AMGもマイナーチェンジを受けた。目玉は4輪駆動の導入で、セダンのベース車以外では前後33:67の固定トルク配分型システムが標準となった。最高出力も557psに向上。新設定のSモデルでは実に585psを叩き出す。

正直、新しい顔つきは若干唐突な印象で、直線基調の後半部分と合っていない感じもしなくはない。けれど、この進化、刷新ぶりを味わった後には、これぐらい「変わったぞ!」という主張が強くてもいいかも、なんて思うに至った。

とにかく新しいEクラス、単なるマイナーチェンジと侮るなかれ、である。

E63AMGも大幅に改良。4WDの採用に加え、さらにハイパフォーマンスなSも加わった

E63AMGも大幅に改良。4WDの採用に加え、さらにハイパフォーマンスなSも加わった

フロントマスクを一新。パーシャルLEDライトが特徴的な、全機能を一つのカバーに収めたライトが備わった

フロントマスクを一新。パーシャルLEDライトが特徴的な、全機能を一つのカバーに収めたライトが備わった

インテリアもベーシックに加えエレガンスとアバンギャルドを用意。幅広いオプションは組み合わせ自由に

インテリアもベーシックに加えエレガンスとアバンギャルドを用意。幅広いオプションは組み合わせ自由に

SPECIFICATIONS

グレード Estate E350 BlueTEC
駆動方式 FR
トランスミッション 7AT
全長×全幅×全高(mm) 4905×1854×1507
ホイールベース(mm) 2874
車両重量(kg) 1955
乗車定員(人) 5
エンジン種類 V6DOHCターボ
総排気量(cc) 2987
最高出力[ps/rpm] 252/3600
最大トルク[N・m/rpm] 620/1600-2400
Tester/島下泰久 Photo/メルセデス・ベンツ日本