▲ユーザーの期待を裏切らないように力を注入し、価格も最高で700万円を超える。最上グレードのインテリアの質感などはもはや高級車の域に ▲ユーザーの期待を裏切らないように力を注入し、価格も最高で700万円を超える。最上グレードのインテリアの質感などはもはや高級車の域に

「いつかはクラウン」から「いつかはアルファード」へ

6年8ヵ月ぶりに登場したトヨタのアルファード/ヴェルファイア。高級ミニバンの代名詞的存在であり、かつての名キャッチフレーズ「いつかはクラウン」から「いつかはアルファード」へと変遷したかと思うほどの人気モデルでもある。

すべてのモデルに共通する特筆すべき点は、リアに採用されたサスペンションである。先代よりも設計の自由度が増し、より細かな設定が可能になった。アルファード/ヴェルファイアは意匠が違うが中身は同様ということを前提に、今回は4タイプに試乗した。

まずハイブリッド車に乗った。走り出しにハイブリッド特有の音は感じられるが静粛性は向上している。試乗コースは風が強く大型コンテナ車が行き交うが、横風の影響が少なくサスペンションと空力の最適化が効果的であった。

次に3.5Lガソリンタイプに乗り込む。燃費を気にしなければ、静粛性、乗り心地ともにアルファード/ヴェルファイアの真骨頂とも言える。6ATのトランスミッションはこれ以上の完成度はないのではないかという制御で、滑らかそのものだ。

一番購入しやすい価格帯の2.5LのガソリンモデルはCVTとのマッチングも良く、十分なトルク感がある。ステアリングの操作感は一番良い。最もバランスが取れている1台だ。

最後に最も高価なハイブリッドモデルの車である“Executive Lounge”を試乗した。セミアニリンのシートは心地よく、静粛性も向上していて1台目に試乗したハイブリッド車よりもコンフォートだ。サスペンションのセッティングを変更して乗り心地を向上させたことで静粛性まで変わってくるのだ。広い室内空間を持つ車では、インテリア、エンジン、そしてサスペンションが効率的に働くことで心地よい移動が可能なのだ。

▲こちらがヴェルファイア。フロント、リアの意匠が違う兄弟車 ▲こちらがヴェルファイア。フロント、リアの意匠が違う兄弟車
▲最上級グレード“Executive Lounge”にはカップホルダーや折りたたみ式サイドテーブルなどが装備され、ラウンジのような空間を演出している ▲最上級グレード“Executive Lounge”にはカップホルダーや折りたたみ式サイドテーブルなどが装備され、ラウンジのような空間を演出している
▲一部グレードにはロングスライドレールが装備され、助手席を最大1160mmスライドさせることができる ▲一部グレードにはロングスライドレールが装備され、助手席を最大1160mmスライドさせることができる
▲全グレードで脱着折りたたみ式のデッキボードを採用しサードシートの床下にも収納スペースを確保 ▲全グレードで脱着折りたたみ式のデッキボードを採用しサードシートの床下にも収納スペースを確保

【SPECIFICATIONS】
■車種名:アルファード
■グレード: HYBRID G“Fパッケージ” ■乗車定員:7名
■エンジン種類:直列4気筒DOHC ■総排気量:2493cc
■最高出力:112(152)/5700[kW(ps)/rpm]+フロント105(143)+リア50(68)[kW(ps)]
■最大トルク:206(21)/4400~4800[N・m(kgf・m)/rpm]+フロント270(27.5)+リア139(14.2)[N・m(kgf・m)]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:CVT
■全長×全幅×全高:4915×1850×1895(mm) ■ホイールベース:3000mm
■車両重量:2180kg
■JC08モード燃費:18.4km/L
■車両本体価格:535万6800円(税込)

■車種名:ヴェルファイア
■グレード:Executive Lounge ■乗車定員:7名
■エンジン種類:V型6気筒DOHC ■総排気量:3456cc
■最高出力:206(280)/6200[kW(ps)/rpm]
■最大トルク:344(35.1)/4700[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:CVT
■全長×全幅×全高:4930×1850×1935(mm) ■ホイールベース:3000mm
■車両重量:2100kg
■JC08モード燃費:9.5km/L
■車両本体価格:652万2218円(税込)

text/松本英雄 photo/篠原晃一