ゆったりとした室内空間を手に入れた夢のミニバン

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コンセプト

夢のミニバンは安心感のあるスタイル

「夢のミニバンを作りました」と開発責任者が胸を張る新型イプサム。とにかくイイと思ったのは、ミニバンとして安心感の伝わるスタイルだということだ。3ナンバーサイズだからできたデザインの自由度、ヴィッツと同じ欧州発のデザイン……など、最近のトヨタ車のヒット作と同じ条件が整ったのは大きい。

が、上から手でパン!と叩いても潰れそうにない“高剛性デザイン”や、キャビンフォワードながらタイヤを四隅に踏ん張らせたフォルムは、ミニバンとして実にカッコいい。

3ナンバーなので全幅にデザイン代(しろ)の余裕から、ボディサイドの肩口に厚み感が増したのも、安心なカタチの一つ。サイドウインドウがスーッ!と後方に伸び、リアクォーターでキュッと前に折れ曲がるグラフィックは、先代のモチーフの継承だ。
室内&荷室空間

細かい部分まで配慮された作り

あまりにも“カタチ”が饒舌に基本の良さを物語るので、コンセプトの部分をまんまデザインの話に費やした次第。

けれどもちろん、室内と使い勝手に関してもデキは上々。担当デザイナーが開口一番「植毛です」と教えてくれたとおり、前から後ろまですべてのピラーの内側トリムやグローブBOX内部は樹脂ムキ出しではなく植毛処理してある。ほかにもメッキの空調ダイヤル、木目調パネルなど、見える/触る/操作する各部位の仕上げには、細心の注意が払われている。フロントアームレストにもクリックが付いた。灰皿、カップホルダーにはダンパーが付き、スウーッ!とスムーズに開閉する。各席頭上のアシストグリップは、グリップ部がソフトな素材で、未使用時は畳まれる仕組みを採用。

先代より10mm着座位置の高い1列目シートは、ステアリングポストが32度から30度に起こされ、さらに自然なセダン感覚の着座姿勢に。横幅の広がり感の増した2列目(シートは1列目と同サイズ)、足元スペース、シートサイズが大人にも実用的な3列目と、居住スペースも拡大したのは実感できる。ただし2列目は、6人乗り(キャプテンシート)より、7人乗り(ベンチシート)のほうが、実際はゆったり座れる。

2列目スライド、3列目ワンタッチ折り畳みなど、使い勝手大前提のシートアレンジ&機構もなかなかの充実ぶりだ。ラゲージスペースは床がグンと深く掘り込んであり、2WD車ならこの深さを利用して大型スーツケースを立てて2個並べられ、なおかつその状態で視界を妨げない。フロントにAC電源用コンセントとVTR用端子を装備するので大勢で出かけるときはビデオ鑑賞も楽しめる。
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ドライブフィール

シャンとしたハンドリングそしてフラットな乗り心地

搭載エンジンは全車2.4L、あとはミニバン初装着で最近のマークII、クラウンロイヤルにも採用された4段階調整が可能な電子制御式サスペンションのH∞(インフィニティ)TEMSが標準かどうか……といった違いでグレードが構成される。

そのなかで各車乗り比べた結果、とくに好感がもてたのは240s(2WD)。装着タイヤが16インチ(205/60)となるが、例のTEMSを全4段中2段目にし、1名乗車で試乗中の状態での、シャン!としたステアフィール、心地よくフラットな乗り心地がいいと思った。ブレーキの制動力も十分。

エンジンパワーも不満はまったくなし。加速中、高速巡航中など、いかなる場面でも音/振動ともに十分に抑えられている。ステアリングの操作性は380mm径の太さをもっているだけで十分で、ステアマチックの必要性は感じなかった。
こんな人にオススメ
3ナンバーボディ化したことによる運転のしにくさはまったく感じない。なので、現行イプサム・オーナーも、その進化ぶりをお試しあれ。またごく普通に乗るのであれば、実用上は240iでもいい。輸入車のようなセンスのいいボディカラーは全部で9色も揃う。
SPECIFICATIONS
グレード 240s
駆動方式 FF
トランスミッション 4AT
全長×全幅×全高(mm) 4760 x 1760 x 1660
ホイールベース(mm) 2825
車両重量(kg) 1480
乗車定員 7人
エンジン種類 水冷直列4気筒DOHC
総排気量(cc) 2362
最高出力 118kW(160ps)/5600rpm
最大トルク 221N・m(22.5kg-m)/4000rpm
車両本体価格 238万円
写真:黒田明 文:島崎七生人