レクサス LSの「前期型」は後期型より300万円以上安く狙えるが、“買い”なのか? 中古車で狙うときのオススメな価格帯・選び方を解説!
2024/12/31

後期型より300万円以上安い「前期型」LSは「賢い選択」なのか?
レクサスのフラッグシップセダンである現行型レクサス LS。現在、レクサス車の中ではSUVタイプのモデルが売れ筋ですが、「フラッグシップセダン」にはレクサスの威信と技術の粋がフルに投入されていますので、現行型LSはやはり相当素晴らしいセダンです。雲上のごとき乗り味と、スムーズなれど超絶なパワー感。そして快適きわまりない各種装備類がもたらす喜びは、レクサス LSだけが与えてくれるものかもしれません。
そんな現行型レクサス LSは、新車やマイナーチェンジ後の中古車を買おうと思うとまだまだ高額ですが、マイチェン前の前期型中古車であれば、総額300万円台という比較的手頃な予算で狙うことも可能です。
しかし、それって本当に賢い選択なのでしょうか?
以下、現行型LSのモデル概要ふりかえりを交えつつ、検討してみることにしましょう。

▼検索条件
レクサス LS(2代目・現行型) × 全国モデル概要:日本を代表するラグジュアリー&ハイパフォーマンスセダン
レクサス LSは、もともとはトヨタが北米で販売していたレクサスブランドのフラッグシップセダン。初代から3代目までのモデルは、日本では「トヨタ セルシオ」として販売されていました。2006年にレクサスブランドが日本へ上陸した際に登場したのが通算4代目の(日本では初代)レクサス LSで、その後のフルモデルチェンジにより2017年に登場したのが、今回検討する現行型レクサス LSです。


プラットフォームは新世代FR用車台である「GA-L」で、ボンネットやトランクリッド、フロントフェンダーや前後ドアなどにアルミを使用したボディは、ボディやドアフレームとドアガラスの段差を極限までなくしたことで、Cd値0.29という優れた空力性能を実現しています。
ボディサイズは全長5235mm×全幅1900mm×全高1450mm。パワーユニットは、ガソリン車である「LS500」は最高出力422psの3.5L V6直噴ツインターボエンジンを搭載。ハイブリッド車である「LS500h」は、最高出力299psの3.5L V6エンジンに2つのモーターを組み合わせ、システム最高出力は359psをマークします。駆動方式は、いずれもFRまたはフルタイム4WDです。


新時代のフラッグシップだけあって、現行型LSには最先端の予防安全技術も惜しみなく投入されました。歩行者検知機能付きプリクラッシュセーフティシステムやレーダークルーズコントロール、レーンキーピングアシスト等々からなる「Lexus Safety System+」を標準車に装備し、それ以外のグレードには、歩行者注意喚起・アクティブ操舵回避支援機能を備えたプリクラッシュセーフティシステムなど、さらに高度な先進安全機能を加えた「Lexus Safety System+A」が搭載されました。
その後、2018年と2019年に一部改良を行ったうえで、2020年11月にはマイナーチェンジを実施。フロントまわりなどのデザインを小変更するとともに、静粛性と乗り心地、そして運転支援システムの内容を大幅に向上させています。

前期型と後期型の差異は? 相場状況から考える「前期型の狙い目」は?
比較的手頃な予算で狙える前期型LSは気になる存在ですが、そのとき同時に気になるのは「とはいえ前期型と後期型は、どこがどう異なるのか?」ということでしょう。そのため以下、前期型と後期型の相違点を端的に整理いたします。
●ボディサイズ
ボディサイズは前期型も後期型も同一で、両者とも全長5235mm×全幅1900mm×全高1450mmです。

●エクステリアデザイン
後期型はヘッドランプユニットの形状を変更。新デザインとなった小型3眼ランプユニットとL字型クリアランスランプの下にブレードスキャンAHS(高速回転するブレードミラーにLEDの光を反射させ、その残像効果によって滑らかに前方を照らす装置)を搭載し、サブラジエターグリルはスクエア形状になりました。またスピンドルグリルのメッシュカラーはダークメタリックに、リアコンビランプ内のメッキモールはピアノブラックに変更されています。


●インテリア
後期型はマルチメディアシステムにタッチディスプレイを採用するとともに、「SmartDeviceLink」「Apple CarPlay」「Android Auto」に対応。また、ハンドルとセンターコンソールのスイッチ類を黒で統一した他、シートヒーターとステアリングヒーターの操作画面を表示するスイッチをセンターコンソールに追加しています。


●先進安全装備
後期型では、前期型から搭載されている「Lexus Safety System+」をさらにブラッシュアップするとともに、最新の高度運転支援技術「Lexus Teammate(レクサスチームメイト)」を採用。これはディープラーニングを中心としたAI技術も取り入れ、運転中に遭遇しうる様々な状況を予測するというもの。
その目玉となるのは、自動車専用道路での周辺認識と自車位置推定、走行車線・位置選択、速度調整をしながら出口まで運転を支援する「アドバンストドライブ」。またその他、カメラと超音波センサーからのデータをもとにアクセルとブレーキ、ギアチェンジのすべてを自動制御する駐車支援システム「アドバンストパーク」や、大型化したデジタルインナーミラーなども採用されています。

●パワートレイン
搭載されるエンジンおよびハイブリッドシステムの最高出力などは、前期型も後期型も同一です。しかしガソリン車の「LS500」では、後期型は使用頻度の高い走行領域におけるエンジントルクの立ち上がりが最適化され、加速レスポンスが向上しています。またシフトスケジュールを見直し、各ギアでの加速可能な領域を拡大することで、シフトダウン頻度の低減も図られています。
ハイブリッド車である「LS500h」では、使用頻度の高い走行領域における加速時のバッテリーアシスト量を増加させた他、発進加速時のエンジン最高回転数を低下。より余裕のある加速と静粛性の向上が実現しています。

というわけで、後期型は細かな部分でことごとく前期型を上回っています。しかしそれはある意味当然のことであり、逆に「前期型の方が後期型よりも優れている!」などというケースは、世の中にはほとんどありません。
しかし、そこは理解したうえで冷静に考えてみますと、「パワーユニットもデザインも運転支援システムも“基本的な部分”は、前期型も後期型もおおむね同様である。そしてレクサス LSは、前期型の時点でも大いに優秀なサルーンだった」ということは言えるはずです。
ということはつまり、「そりゃ後期型の方がイイのは当たり前だけど、前期型だってぜんぜん悪くはない」ということです。
であるならば、冒頭付近で軽くご紹介した「総額300万円台で狙える前期型中古車」でもいいのではないか――と思えるわけですが、実際はなかなかそう簡単にはいきません。
なぜならば、前期型LSの中古車が総額300万円台から狙えるのは事実ですが、多くの総額300万円物件は「走行20万km近く」だったりもします。走行距離が多い=中古車として良くないという単純な話ではないのですが、過走行車には、やはりいささかの不安も感じてしまうのが人情というものでしょう。
つまり総額300万円台で狙える前期型中古車はグッドな選択とは言いづらく、となるともう少し予算を上げる必要がありそうです。
以上を踏まえて次章以降、「具体的なオススメグレード」について考えてみることにしましょう。
中古車のオススメ①|「価格重視」で選ぶなら総額400万円台の前期型Iパッケージ
先ほど後期型より300万円以上安く狙える総額300万円台の前期型中古車の流通物件の傾向からもう少し予算を上げる必要があると言及しましたが、では、比較的お安く入手したいと考えるのであれば、狙い目はどこになるのでしょうか?
具体的には、後期型よりも200万円ほど安く狙える「総額400万円台のIパッケージ前期型」がオススメとなります。ちなみにIパッケージというのは、前期型レクサス LSにおける事実上のベースグレードです。

Iパッケージよりも「バージョンL」や「Fスポーツ」の方が装備などは充実しているのですが、それらのグレードには以下2つの問題点があります。
●総額400万円台で狙える物件数は極端に少ない
●高額な予算を拠出して前期型バージョンLまたはFスポーツを狙ってもいいのだが、そこまでの金額を出すのであれば、前期型ではなく後期型を狙いたくなる
それゆえ「比較的安価に現行型LSを狙いたい」と考える場合には、総額400万円台のLS500 Iパッケージまたは500h Iパッケージがベストバランスとなるわけです。エンジン車にするかハイブリッド車にするかは「お好み次第」で決めればいいでしょう。中古車となった今では、両者の価格差はさほどありません。
▼検索条件
レクサス LS(2代目・現行型) × 前期型 × 総額400万~500万円程度 × Iパッケージ × 全国中古車のオススメ②|予算をちょい足しできるなら「バージョンL」または「Fスポーツ」
現行型レクサス LSの中古車を比較的安価な予算で狙いたい場合、ベストバランスと思われるのは、前述のとおり総額400万円台のIパッケージです。
とはいえ「いや、せっかくLSを買うならもっと豪華なやつがいい!」と考える人も少なくはないでしょう。その気持ちは、筆者も人としてよくわかるつもりです。
であるならば、やはりIパッケージのことは無視して「ゴージャスなバージョンL」か、「スポーティかつゴージャスなFスポーツ」を狙うしかありません。




その場合は先ほど申し上げたとおり、あまりにも高額な予算を拠出してしまうと「……よく考えたら、自分は後期型を買った方が良かったのではないか?」という後悔に襲われる可能性が大となります。
そのため、おおむね下記ぐらいの予算感でバージョンLまたはFスポーツを探すのが得策となるでしょう。
●LS500 バージョンL|総額480万~590万円
●LS500h バージョンL|総額450万~560万円
●LS500 Fスポーツ|総額450万~540万円
●LS500h Fスポーツ|総額460万~540万円
Iパッケージのところで申し上げたのと同様に、エンジン車にするかハイブリッド車にするかは「お好み次第」でよろしいでしょう。ただ、ハイブリッド車の方が流通量が多めな分だけ価格もこなれており、相対的にはお安く入手できる傾向があります。
そこも含めてご検討いただき、ぜひ何らかの「手頃で素敵なレクサス LS」を手に入れていただけましたならば幸いです。
▼検索条件
レクサス LS(2代目・現行型) × 前期型 × バージョンL × 全国▼検索条件
レクサス LS(2代目・現行型) × 前期型 × Fスポーツ × 全国▼検索条件
レクサス LS(2代目・現行型) × 全国
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。