メルセデス・ベンツ Eクラスクラス ▲実際はお手頃価格なのですが、見た目と雰囲気からは「その値段には見えない!(もっと高いかと思った!)」となる輸入セダンは多数存在しています。そんな「総額150万円で買える“高見え”輸入セダン」をピックアップしてみましょう!

「高見え輸入セダン」のお値段は、ホンダ N-BOXの中古車価格と似たようなもの

「せっかく輸入車を買うなら“高見え”するモデルが欲しい」

全員ではないかもしれませんが、多くの人は、心のどこかでそう思っているのではないでしょうか。

で、もしもそう思うのであれば「総額150万円以内の輸入セダン」がオススメとなります。

国産車のセダンは今や完全に下火となっていますが、輸入車のセダンはまだまだ大いに元気。そして総額150万円以内=現行型ホンダ N-BOXの中古車と同じぐらいの予算であっても、「完全にそれ以上の値段に見える!」という車種がたくさんあるからです。

ということでこの記事では、旧型モデルが中心にはなりますが、まだまだぜんぜん古くは見えず、逆に“高見え”する輸入セダン5モデル+番外編をご紹介します。
 

 

メルセデス・ベンツ Eクラス(4代目)

中古車平均価格:137.6万円
総額150万円以下の台数:72台(うち後期型:38台)

 

メルセデス・ベンツ Eクラス▲2016年まで販売された4代目メルセデス・ベンツ Eクラス。写真は2013年5月以降の後期型

Eクラスは、世界を代表するプレミアムブランド「メルセデス・ベンツ」の基幹となるアッパーミドルセダン。ここで紹介するW212型は4代目のEクラスにあたるモデルで、2009年から2016年まで販売されました。

ボディサイズは従来型以上となり、それに伴って居住空間も拡大。また居住性とともに衝突安全性も向上し、合計9つのエアバッグで乗員を保護するとともに、シートベルト装着後に、自動的に最適な位置までベルトを巻き上げる機構が標準装備されています。

そしてフロントガラスにはマルチファンクションカメラが設置され、このカメラが先行車や対向車の有無を検知し、ヘッドライトの照射範囲を自動的に調整する「アダプティブハイビームアシスト」も全車標準装備です。

当初用意されたパワーユニットは3Lおよび3.5L V6ガソリンと、5.5L V8ガソリンの3種類で、途中から1.8L直4ターボと3L V6ディーゼルターボを追加。その後、2011年11月にはエンジンを一新し、2013年5月にビッグマイナーチェンジを実施。内外装デザインは前期型と比べて著しくモダンなものに変更され、エンジンラインナップも再度一新されました。
 

メルセデス・ベンツ Eクラス▲アバンギャルド系のインテリアは、このようにスポーティな世界観となる
 

そんな4代目メルセデス・ベンツ Eクラスの「総額150万円で買える中古車」は2024年12月下旬現在、全部で約72台。とはいえ2013年4月までの前期型は、「高見えするか?」と問われたら、答えは「微妙」というものになります。

4代目Eクラスで“高見え”を目指すなら、狙うべきは絶対に2013年5月以降の後期型です。ヘッドライトなどのデザインが大幅に変更された後期型であれば、知らない人からは500万円、いや1000万円ぐらいに見られる可能性もあるでしょう。

総額150万円弱の価格帯で選べる後期型のグレードは、最高出力211psの2L直4ガソリンターボを搭載する「E250アバンギャルド」が中心です。
 

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メルセデス・ベンツ Eクラス(4代目) ×総額150万円以内× 全国
 

BMW 5シリーズ(6代目)

中古車平均価格:123.1万円
総額150万円以下の台数:117台(うち後期型51台)

 

BMW 5シリーズ▲こちらがF10こと6代目BMW 5シリーズ

BMW 5シリーズは、メルセデス・ベンツのEクラスとほぼ同じカテゴリーに属するBMWのアッパーミドルセダン。ここで紹介する「F10型」こと6代目5シリーズは、日本では2010年から2016年まで販売されました。

ボディサイズは従来型よりひと回り大きな全長4910mm×全幅1860mm×全高1475mmとなりましたが、「ドライバーズサルーン」としての資質やイメージは踏襲され、プレミアムでありながらもスポーティなセダンに仕上がっています。

当初のパワーユニットは3種種類で、トップグレードの「550i」には最高出力407psの4.4L V8ツインターボ、「535i」には同306psの3L直6ターボ、「528i」には同258psの3L直6自然吸気が、それぞれ搭載されました。トランスミッションはいずれも8速ATです。

その後2010年途中に最高出力204psの2.5L直6自然吸気を搭載する「523i」を追加し、翌2011年10月には523iのエンジンを2L直4ターボに変更。2012年には2L直4ディーゼルターボの「523d」も追加されています。

そして2013年9月にマイナーチェンジを実施し、エクステリアデザインを小変更するとともに、運転支援システム「ドライビング・アシスト・プラス」が全車標準装備になりました。
 

BMW 5シリーズ▲写真は「Mスポーツ」のインテリア
 

2024年12月下旬現在、「総額150万円で買える6代目5シリーズ」の物件数は約120台。何種類かのグレードから選ぶことができますが、流通の中心は2L直4ターボまたは2.5L直6自然吸気(※年式によって異なる)の523iと、2L直4ディーゼルターボを搭載する523dです。

6代目BMW 5シリーズの場合、先述した4代目メルセデス・ベンツ Eクラスと違って「高見えさせたいなら絶対後期型!」ということはありません。もちろん後期型の方が高見えしやすいのですが、4代目Eクラスほどの如実な差はありません。

しかし後期型は運転支援システムも充実しましたので、「できることなら後期型を選ぶべき」とはいえるでしょう。そしてスポーティなパッケージである「Mスポーツ」を選ぶようにすると、523iか523dであるかにかかわらず、より高見えしやすくなります。
 

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BMW 5シリーズ(6代目) ×総額150万円以内× 全国
 

アウディ A6(4代目)

中古車平均価格:134.5万円
総額150万円以下の台数:39台

 

アウディ A6▲アウディのアッパーミドルセダン「A6」の4代目モデル

アウディ A6は、メルセデス・ベンツ EクラスおよびBMW 5シリーズと合わせて「Dセグメント御三家」と呼ばれるグループの一角を占める、アッパーミドルサイズのプレミアムセダンです。

ここでご紹介するのはアウディ A6という車名になってから4代目にあたる、2011年から2019年まで販売された世代。ボディ全体の20%以上にアルミ素材を使用し、高強度スチールとのハイブリッド構造にすることで、従来型比で約15%の軽量化を実現しています。

インテリアはアウディ特有のスポーティかつエレガントな雰囲気で、従来から定評ある素材と仕上げのクオリティはさらに向上。8インチの液晶ディスプレイとタッチパッドを備えた「MMI(マルチメディアインターフェイス)」や「BOSEサラウンドサウンドシステム」も標準装備です。

当初のパワーユニットは最高出力204psの2.8L V6自然吸気と、同300psとなるスーパーチャージャー付き3L V6の2種類。トランスミッションは7速DCTで、基本となる駆動方式はフルタイム4WDです。

2012年9月には2Lエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッド版を追加し、2014年2月には2L直4ターボのFFモデル「2.0 TFSI」を追加。

2015年7月にはエンジンラインナップの入れ替えを行い、1.8L直4ターボと、よりパワフルな2L直4ターボを投入。そして2016年10月、エクステリアをリファインするマイナーチェンジが行われました。
 

アウディ A6▲いかにもアウディらしい「整然とした上質」といったニュアンスのコックピット

そんな4代目アウディ A6の中古車は、流通量が少なめなのがネックではありますが、2.8 FSIクワトロ(最高出力204psの2.8L V6自然吸気エンジン搭載グレード)を中心に検討することができます。

2.8 FSIクワトロはいわゆる「前期型」ですが、4代目アウディ A6のエクステリアデザインは、前期型も後期型もそう大幅には変わりません。そのため前期型2.8 FSIクワトロであっても、十分な“高見え効果”が期待できるでしょう。
 

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アウディ A6(4代目) ×総額150万円以内× 全国
 

BMW 3シリーズ(6代目)

中古車平均価格:136.0万円
総額150万円以下の台数:259台

 

BMW 3シリーズ▲先代(6代目)BMW 3シリーズ。写真は「Mスポーツ」

BMW 3シリーズは、同社の5シリーズよりもひと回り小さなコンパクトセダン。しかし3シリーズが「コンパクト」だったのは昔の話で、近年の3シリーズは、往年の5シリーズ並みのサイズになっていますので、もはや「アッパーミドルセダン」と呼ぶべき存在でしょう。

ここでご紹介するF30型は、現在新車として販売されている3シリーズの「先代」にあたるモデル。2012年から2019年まで販売されました。ボディサイズは全長4625mm×全幅1780mm×全高1400mmという立派なもので、インテリアにはプレミアムセダンにふさわしい高品質な素材を使用。室内空間の広さも上級クラスに迫っており、後席のレッグルームは従来型より15mm拡大しています。

当初用意されたパワーユニットは2L直4ターボで、トランスミッションは8速AT。その後2L直4ディーゼルターボを投入し、2015年9月にマイナーチェンジを実施。主にフロントまわりのデザインを変更するとともに、新世代のモジュラーエンジンに刷新。また運転支援システムの内容も向上しています。
 

BMW 3シリーズ▲先代3シリーズ Mスポーツのコックピット。運転支援システムは、年次が進むにつれて充実していった

「総額150万円で買える先代3シリーズ」の流通量は非常に豊富で、2L直4ガソリンターボの「320i」と2L直4ディーゼルターボの「320d」を中心に、様々な年式、様々なボディカラーの中から選ぶことができます。

ガソリンターボにするかディーゼルターボにするかはお好み次第ですが、力強さと経済性を重視したい場合は、ディーゼルターボの320dがいいでしょう。そして5シリーズの場合と同様に「Mスポーツ」の高見え性が高い傾向があります。

そして、Mスポーツであると同時に「後期型」であれば言うことなしですが、先代3シリーズの場合、デザインはマイナーチェンジの前後でさほど大きくは変わらないため、前期型でも高見え性に問題はありません。2014年8月以降の世代であれば、前期型であってもアダプティブ・クルーズコントロールは標準装備です。
 

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BMW 3シリーズ(6代目) ×総額150万円以内× 全国
 

アウディ A3セダン(初代)

中古車平均価格:182.0万円
総額150万円以下の台数:28台

 

アウディ A3セダン▲アウディのコンパクトセダンである「初代A3セダン」

アウディのA3シリーズは、日本では5ドアハッチバックの「A3スポーツバック」がラインナップの基本となっていますが、2014年1月以降は4ドアセダンである「A3セダン」も販売されています。

ここでご紹介するのはその初代モデルで、2021年まで販売された初代A3セダンのボディサイズは全長4465mm×全幅1795mm×全高1405mm。5ドアハッチバックである「A3スポーツバック」と比べて全長は140mm延長されており、容量425Lのトランクルームも用意されています。

パワーユニットは1.4Lと1.8Lの直4ガソリンターボで、「1.4 TFSI」は最高出力122psの、「1.4 TFSIシリンダーオンデマンド」は同140psの1.4Lを搭載。「1.8 TFSI」には同180psの1.8Lエンジンが搭載されます。トランスミッションはいずれも7速DCTで、駆動方式は1.4 TFSIがFF、1.8 TFSIはクワトロ(フルタイム4WD)です。

2017年1月にはマイナーチェンジを実施し、内外装デザインを変更。アウディの象徴である「シングルフレームグリル」の幅を広げるとともに、6角形を強調するデザインが採用され、ヘッドランプもシャープでスポーティなデザインに変更されました。そしてインテリアでは、フルデジタルメーターの「バーチャルコックピット」が選択可能に。パワーユニットに関しては、このタイミングで1.8Lターボがカタログから消え、代わりに最高出力190psの2L直4ターボを搭載する「2.0 TFSI」が登場しています。
 

アウディ A3セダン▲上質でありながら「スポーティな感じ」も強調されている初代アウディ A3セダンの運転席まわり

そんな初代アウディ A3セダンの中古車は、数は少なめですが、総額110万~150万円付近にて約30台が流通中。いずれも前期型であるため「強烈な高見え効果」までは期待できませんが、アウディのエンブレム力により、中古車事情に詳しくない人からは「400万円ぐらいで買った輸入車」に見られることでしょう。

ちなみに総額100万円台前半で買える初代アウディ A3セダンは、そのほどんとが「1.4 TFSI」です。
 

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アウディ A3セダン(初代) ×総額150万円以内× 全国
 

番外編:日産 スカイライン(現行型・V37型)

中古車平均価格:219.4万円
総額150万円以下の台数:103台

 

日産 スカイライン▲現行型日産 スカイラインの初期モデル

ここまでは輸入セダンに絞って紹介しましたが、「総額150万円で買える高見えセダン」といえば、コレを外すわけにはいかないでしょう。現行型日産 スカイラインです。

ご承知のとおりV37型こと現行型日産 スカイラインは、2013年11月に発売された通算13代目のスカイライン。

ボディサイズは全長4790mm×全幅1820mm×全高1440mmで、当初のパワーユニットは当時の日産 フーガ ハイブリッドのものと同じ、最高出力306psの3.5L V6エンジンに同68psのモーターと7速ATを連結させたハイブリッドシステム。のちに同211psの2L直4ターボや、さらにはマイナーチェンジ後に、最高出力400ps超の3L V6ツインターボも追加しています。
 

日産 スカイライン▲いわゆる「囲まれ感」が強い現行型スカイラインのコックピット

で、そんな日産 スカイラインは非常にプレミアムなスポーツセダンなわけですが、あいにく昨今「国産セダン」は大変に人気薄であるため、好条件な物件であっても破格の安値で流通しています。もちろん、さすがにマイナーチェンジ後の後期型は総額150万円では無理ですが、前期型であれば、走行5万km台までのフルノーマル車であっても総額120万~160万円付近で狙うことができるのです。

後期型の方が高見えするのは確かですが、失礼ながらそもそもの数が少ない車であるため、ほとんどの人は前期も後期も見分けがつきません。フルノーマル状態を保ち、内外装を常にきれいにさえしておけば、まさか総額150万円前後の車であるとは誰も思わないでしょう。

国産セダンが人気薄な今だからこそ、逆張り的な発想で現行型スカイラインに注目してみる価値はありそうです。
 

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日産 スカイライン(現行型・V37型)×総額150万円以内× 全国
 

【Q&A】総額150万円的輸入セダンにまつわるよくある質問

Q. この値段の輸入車ならではのチェックポイントは?

A. 車の基本的な構造というのは国籍によって変わるものではないため、「輸入車ならではのチェックポイント」というのは特にありません。輸入車でも国産車でも、主に下記のポイントをしっかりチェックするといいでしょう。

・内外装に荒れた雰囲気や、嫌なにおいなどはないか?
・整備点検記録簿は付帯しているか?
・エンジンを始動させた後、妙な異音は発生していないか?
・変速時、トランスミッションから大きなショックや異音は発生していないか?
・エアコンから冷風は出るか?(※冬場でも忘れずに確認しましょう)

Q. 総額150万円的輸入セダンの維持は大変?

A. 「モノによる」というのが正確な答えになります。総額150万円前後の輸入セダンであっても、しっかりメンテナンスされたものであれば、購入後の維持に苦労することはさほどないでしょう。

しかしまったくのノーメンテで、内外装だけキレイに仕上げたような物件を買ってしまうと、様々な消耗部品が順次交換タイミングを迎えてしまうこともあります。そのため購入時は、走行距離以上に「これまでにどのような整備(部品交換)が行われてきたか?」を確認することが重要です。
 

文/伊達軍曹 写真/向後一宏、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、日産

※記事内の情報は2024年12月24日時点のものです。

伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。