マツダ MAZDA2▲このクラスで国産唯一のディーゼルエンジンを搭載しているMAZDA2。輸入車のディーゼルエンジンがよく使う、尿素水による後処理システムが不要なため、購入後も手間がかからず、ランニングコストも抑えやすい

【悲報】MAZDA2のディーゼルが生産終了。今後貴重になりそうなディーゼルを今こそ狙おう

マツダのコンパクトカー「MAZDA 2(旧デミオ)」のディーゼルモデルが、今年9月で生産を終えるという情報が入ってきた。

全長約4mというコンパクトなサイズのディーゼルエンジン搭載車なんて国産車唯一だし、日本に入ってくる輸入車にもほとんどない希少なモデルだ。

ディーゼルは給油などのランニングコスト面でのメリットが大きい。例えば、原稿執筆時点でのレギュラーガソリン平均価格は175.4円/L、軽油が155.0円/L(資源エネルギー庁7/24価格調査)。50L入れたら1000円も違う。

また、低速からトルクフルで力強い走りを楽しむことができるのも、大きなメリットと言えるだろう。

そんな魅力たっぷりのディーゼルエンジンを積んだMAZDA2を、間もなく新車で買えなくなってしまうわけだが……安心してほしい。「中古車」という選択肢があるではないか。

そこで、この記事ではMAZDA2およびその前身にあたる4代目デミオのモデル概要を振り返るとともに、最新の中古車状況やオススメの買い方・選び方を解説しよう。
 

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マツダ デミオ(4代目)×ディーゼル×全国

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モデル概要:貴重な国産ディーゼルコンパクトカー

稀代のコンパクトディーゼル車、MAZDA2&デミオ。その中のどの年代・どんな仕様を狙えばいいかをおさえるためにも、まずはモデル変遷をおさらいしておこう。

■4代目デミオ(2014年9月~2019年9月)

2014年9月に登場した4代目デミオ。「価格の安い小さな車は性能もそれなり」という、これまでの常識を打ち破る新しいコンパクトカーとして誕生した。
 

デミオ(4代目)▲一部グレードを除き、LEDヘッドライトが標準で備わる。デビュー時点ではハイ/ロービーム自動切替機能はオプション設定で、オートライトシステムは一部グレードを除き標準装備された
デミオ(4代目)▲ラゲージ容量は280Lとこのクラスでは標準。一般的な大きさのベビーカー1台を収納できる

内外装の高い品質もさることながら、このクラスでは現在でも国産唯一となる1.5Lディーゼルターボエンジンを搭載したことも、既成概念を打ち破った要因のひとつだろう。

この1.5Lディーゼルターボエンジンには6速ATまたは6速MTが組み合わされ、JC08モード燃費は26.4~30.0km/L。同クラスのハイブリッドカーにはさすがに及ばないものの、それでもガソリン車より低燃費だし、何より燃料費が安いのが大きな魅力だ。

しかも、加速感を左右する最大トルクは、1.5Lという排気量ながら250N・m(6速AT・2WD)と、2.5Lガソリンエンジン並み。

そのため、その他のスカイアクティブ・テクノロジーとともに、同社の掲げる「人馬一体」感も味わえることが、デミオの価値を高めていた。

さらにオプションで、減速時の運動エネルギーを利用して発電するシステム「i-ELOOP(アイ・イーループ)」が用意されていた。同システムを搭載すると6速ATのJC08モード燃費は26.4km/Lから26.6km/Lへと向上する。

一方、先述の「内外装の高い質感」は、ドアを開けてインテリアを眺めるだけでもすぐわかる。用いられる金属パーツは削り出したような精緻な仕上がりだし、樹脂パネルのシボは上級車と変わらない。また、このクラスとしては珍しく、シートを含めてレザーが多用するグレードも用意された。
 

デミオ(4代目)▲メーターパネル中央に1眼メーターが備わる。通常は速度計だが、オプションの「アクティブ・ドライビング・ディスプレイ」(下記)を選ぶとエンジン回転計になる。写真はデビュー時の最上級グレードの1.5 XD ツーリングLパッケージ
デミオ(4代目)▲オプションの「アクティブ・ドライビング・ディスプレイ」。メーターフード上に半透明パネルが備わり、ここに速度やカーナビのルート案内などを映し出す

デビュー時には、他に1.3Lガソリンエンジン搭載車(2018年8月に1.5L新エンジンに切り替えられた)もあったが、ディーゼル車には全グレードに衝突被害軽減ブレーキとAT誤発進抑制機能が標準装備された。

毎年のように着々と進化し続けるのがマツダ車の特徴のひとつだが、デミオもご多分に漏れず細かな改良が積み重ねられていった。

中でも、2016年11月の一部改良では、デミオの中古車を選ぶ際に留意しておきたいタイミングだ。スムーズなコーナリングを実現する「G-ベクタリングコントロール」が全車に標準装備され、ディーゼルエンジンの不快音の抑制化が図られた。
 

デミオ(4代目)▲「G-ベクタリングコントロール」が装備されたことで、より気持ちの良い走りを実現している

■MAZDA2(2019年9月~)

2019年9月のマイナーチェンジのタイミングで、車名が「MAZDA2」に改称された。併せて、全車速で先行車に自動で追従するアダプティブ・クルーズ・コントロール(マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール)が用意されたのがポイントだ。
 

MAZDA2(初代)▲フロント/リアバンパー、フロントグリル、ヘッドランプなど、エクステリアデザインが変更された
MAZDA2(初代)▲スマートフォンとの連携が簡単に行えるApple CarPlayやAndroid Autoに対応するようになったのもMAZDA2からだ

また、足回りも見直されて、走行性能や乗り心地が向上。さらに「G-ベクタリング コントロール プラス」が採用されたことで、コーナリングがよりスムーズになっている。その他、シートの構造や加速フィール、静粛性などあらゆる面で見直しが図られ、より一層商品力がアップしたのもこのタイミングだ。

デミオ時代のJC08モード燃費からWLTCモード燃費へと表記が変わったため、一概に比較することはできないが、この時点での1.5Lディーゼルターボ車の燃費は19.2~25.2km/L、i-ELOOP装着車(XD プロアクティブ Sパッケージ/XD Lパッケージ)は19.4~21.8km/L(どちらもWLTCモード)と引き続き良好。

2023年3月にはMAZDA2として初めてマイナーチェンジが行われた。エクステリアデザインが大きく変わった他、グレード体系が見直された。ディーゼル車ではスポーティな仕様を備えた「XD スポルトプラス」が追加されている。
 

MAZDA2(初代)▲2023年3月のマイナーチェンジで新設されたグレード「BD」。2トーンのフルホイールキャップや、3種類のインパネやルーフフィルムとドアミラーのカラーバリエーションがあり、全198通りのカラーコーディネーションから好みの1台に仕立てることができる

原稿執筆時点(2024年7月31日)でのデミオの掲載台数は約1330台、そのうちディーゼル車は約680台と半数を占める。デビューから10年近く経っていることもあり、車両平均価格が86.9万円(ガソリン、ディーゼル合算)と手頃な価格になっており狙いやすい。

一方で、MAZDA2の掲載台数は約570台、ディーゼル車は約100台とデミオより台数が少ないのが特徴。年式も新しいため、平均価格は150.5万円とやや高めだ。

これらを踏まえ、ケースごとにオススメの物件を紹介していこう。

 

オススメ中古車1:とにかく安く狙うなら「デミオの1.5 XD ツーリング」

前述のとおり、デミオとMAZDA2の中古車価格を比較すると、年式の違いによる差が大きい。そのため、とにかく安くディーゼル車を狙うなら必然的に低年式のデミオとなる。

その中でも、ベースグレードの「1.5 XD」なら走行距離5万km未満の初期型(2014~2015年)が支払総額約70万円で見つかる。

もちろん1.5 XDでも衝突被害軽減ブレーキ(スマート・シティ・ブレーキ・サポート)や15インチアルミホイール、7インチディスプレイをはじめ、必要十分な装備が標準で備えられているため十分にオススメできる。
 

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マツダ デミオ(4代目)×1.5 XD×全国

しかし、せっかくデミオのディーゼル車を狙うなら、少しだけ予算をプラスして装備充実の「1.5 XD ツーリング」を狙ってみるのはいかがだろう。

クルーズコントロールやLEDヘッドライト、オートライト機能、雨天感知式ワイパー、フルオートエアコンなどの快適装備が備わる。

クラスを超えた高い質感をもつ4代目デミオだが、やはり装備が充実している上位グレードの方が車のキャラクターに合っていると感じる。
 

デミオ(4代目)▲15インチアルミホイールの1.5 XDに対し、1.5 XD ツーリングは16インチと、よりスタイリッシュに

1.5 XD ツーリングの2015年式・走行距離5万km未満で探すと、支払総額約80万円から見つけることができる。また、300台以上と掲載台数が豊富なこともあり、いろいろな物件を比較検討できるのも嬉しい。

両車の新車時車両本体価格の差は約16万円だったから、それが若干縮まっているので、お買い得感もあるはずだ。
 

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マツダ デミオ(4代目)×1.5 XD ツーリング×全国
 

オススメ中古車2:MAZDA2を安く狙うなら「1.5 XD プロアクティブ」

MAZDA2(初代)▲ブラック基調のXDに対し、アクセントとして随所にシルバーがあしらわれているXD プロアクティブのインテリア

現行型であるMAZDA2は、前述のとおり商品力をアップして登場した。そのため、MAZDA2に絞って探したいという人もいるのでは?

そんなMAZDA2を安く手に入れたいなら、本来であればディーゼル車のエントリーグレードである「1.5 XD」だろう。

しかし、原稿執筆時点でXDの掲載台数は極めて少なく、これではいつ希望のコンディション&予算の中古車が見つかるかわからない。

そこで、その1つ上のグレードである「15 XD プロアクティブ」が、安く狙う際の現実的な選択肢となる。走行距離3万km未満で保証などが充実したメーカー系販売店の物件でも支払総額約140万円から探せる。

しかもデミオとの大きな違いである、全車速追従型のアダプティブ・クルーズ・コントロール(マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール)搭載車が、1.5 XD プロアクティブなら選べる。

そもそも1.5 XDはこの機能を選ぶことができないが、この1.5 XD プロアクティブならメーカーオプションで選ぶことができたのだ。探してみると、同機能を備えた1.5 XD プロアクティブは、走行距離3万km未満でメーカー系販売店でも支払総額約170万円で見つかる。
 

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マツダ MAZDA2(初代)×1.5 XD プロアクティブ×全国

ちなみに、ディーゼル車の最上級グレード「1.5 XD Lパッケージ」にはマツダ・レーダー・クルーズ・コントロールが標準装備なのだが、同条件の物件が支払総額約170万円と、同価格帯で見つかることも。この価格帯で見つかるのは希かもしれないが、同時検討してみてはいかがだろうか。
 

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マツダ MAZDA2(初代・現行型)×1.5 XD Lパッケージ×全国
 

オススメ中古車3:各種特別仕様車を狙ってみるのも◯

このクラスのディーゼル車というだけで、デミオ&MAZDA2のディーゼル車を買う価値はあるが、さらにもうひとつの特徴である「高品質な内装」をより実感できる「特別仕様車」を狙うのもオススメだ。

例えば、デミオなら2015年4月に販売された「ミッドセンチュリー」がある。XDの最上級グレードであるXD ツーリング Lパッケージをベースに、赤・白・黒を大胆に使用して、1950年代に始まったモダンファニチャーとスポーティさの融合を図った専用インテリアが特徴の特別仕様車だ。

メーカー系販売店でも走行距離5万km未満が支払総額約100万円から見つけることができる。
 

デミオ(4代目)▲イームズのチェアに代表されるミッドセンチュリーのファニチャーをモチーフにした特別仕様車「ミッドセンチュリー」

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マツダ デミオ(4代目)×1.5 XD ミッド センチュリー×全国

MAZDA2の特別仕様車も、まだ掲載台数が少ないものの中古で見つかる。例えば、2020年5月に登場した「ホワイト コンフォート」はいかがだろう。

ホワイト コンフォートは、その名のとおり白の本革とスエード調人工皮革、クロスのコンビシートを備えた特別仕様車。最上級グレードのXD Lパッケージがベースだから、全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロールなど装備も充実していてオススメだ。

掲載台数は1ケタという状況だが、メーカー系販売店でも走行距離3万km未満で約180万円から見つかるため、気になる人はこまめにチェックしてみよう!
 

MAZDA2(初代)▲シート以外にもホワイトがあしらわれる「ホワイト コンフォート」のインテリア

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マツダ MAZDA2(初代・現行型)×1.5 XD ホワイト コンフォート×全国

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マツダ デミオ(4代目)×ディーゼル×全国

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マツダ MAZDA2(初代・現行型)×ディーゼル×全国
文/ぴえいる、写真/マツダ、篠原晃一

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。先日、中古車のホンダeも加わった。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。