ジャガー Eペイス(初代)▲Eペイスは高級スポーツセダンなどで知られるジャガーが作ったクロスオーバーSUV。デビューから6年たって中古車がオトクな価格になってきた

憧れの高級SUVがリーズナブルな価格帯に

今やラインナップにSUVをもたないブランドは数えるほどしか存在しない。イギリスの高級車ブランド、ジャガーも後発ながらクロスオーバーSUV市場に参入し、3モデルを揃える。

その中でも、Eペイス(初代)は日本でも乗りやすいボディサイズと比較的求めやすい価格帯で人気に。デビューから6年たち、中古車市場も充実してきた。

そんなEペイス(初代)、実は中古車平均価格がここ1年で約40万円ほどダウン。300万円台前半にまで下がり、求めやすくなっている。

ジャガー Eペイス(初代) ▲Eペイスの中古車平均価格の推移

そんなはEペイス(初代)について解説するとともに、オススメの選び方を紹介。

憧れの高級ブランドSUVをいつか手に入れたいと思っていた人、ラグジュアリーかつスポーティなSUVが欲しい人はご一読を。

ジャガー Eペイス(初代) ▲流れるような美しいルーフラインはSUVでも健在

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モデル概要:キビキビとした運動性能が魅力

Eペイス(初代)はジャガーのクロスオーバーSUV第2弾として、2018年2月にデビューした。

先に登場したFペイス(初代)がラージサイズなのに対して、Eペイス(初代)は「コンパクトパフォーマンスSUV」という位置づけ。しかし、そのボディサイズは全長4410mm×全幅1900mm×全高1650mmと、全長が短めなだけで全幅はワイド。国産SUVならラージクラスにカテゴライズされても不思議ではない大きさだ。

切れ上がったヘッドライトや大きなフロントグリルといった造形は、同ブランドのスポーツサルーンと共通性を見いだすことができる。いかにもジャガーらしい顔つき、クーペライクなフォルムはプレミアムかつスポーティな雰囲気を感じさせる。

ジャガー Eペイス(初代) ▲フロントマスクのデザインは同社のFRセダン「XF」を思わせるもの
ジャガー Eペイス(初代) ▲全長は国産ミドル級SUV並みだが、全幅はワイド

ジャガーといえばエンジン縦置きのFR駆動が十八番ではあるが、Eペイスは現代のクロスオーバーSUVらしくエンジンを横置きし、FF駆動をベースとした4WDとしているのが特徴のひとつ。

これはEペイスが同じグループであるランドローバーのレンジローバーイヴォーク(初代)とプラットフォームの多くを共有、サスペンションなども近い形式となっているためだ。比較的短い全長の中で、車内空間を最大化するための工夫だ。

乗り味は見た目にたがわずスポーツカー的で、SUVらしさは希薄。引き締められたサスペンション、吹け上がりの良いエンジン、 “その気”にさせるコックピットによって街中でもワインディングでも爽快なドライビングを楽しめる。このスポーツ性こそ、世界中に数多あるクロスオーバーSUVの中でジャガーを選ぶ最大の理由となるだろう。

ジャガー Eペイス(初代) ▲インテリアはスポーツカーであるFタイプと似通っている
ジャガー Eペイス(初代) ▲荷室容量は5人乗車時で577L。後席は6:4分割可倒式となる

バリエーションが豊富であることもEペイス(初代)における特徴のひとつだ。外観は通常スタイルと、純正エアロカスタム的な「Rダイナミック」の2種類。それぞれに動力性能の異なる2種類の2L 直4ガソリンターボエンジン(P250、P300)と、2L 直4ディーゼルターボエンジン(D180)が設定された。

アルファベットの次に来る数字は最高出力を表す。さらに下記のグレードが設定された。

・スタンダード
17インチホイール採用の通常グレード。P250、D180のみに設定。

・「S」
スタンダードの装備に加え、18インチホイール、シグネチャーLEDヘッドライトなどを備える準上級グレード。

・「SE」
「S」の装備に加え、19インチホイール、オートハイビームアシスト、パワーテールゲートなどを備える上級グレード。

・「HSE」
「SE」の装備に加え、20インチホイール、キーレスエントリーなどを備える最上級グレード。

ボディ形状の違いで2種類×エンジンが3種類×グレードが4種類の掛け合わせで、計22種類(デビュー時)もの膨大なラインナップとなった。

ジャガー Eペイス(初代) ▲Rダイナミックはいわゆる純正カスタム仕様だが、通常スタイルとの差異は控えめだ

デビューから現在までに実施された主なマイナーチェンジ、年次改良は下記のとおり。

・2018年12月
エントリーモデルとなる2L 直4ガソリンターボエンジン・最高出力200psの「P200」を追加。

・2021年2月
フロントグリルやバンパーのデザイン変更。新アーキテクチャーを採用し、ボディ剛性や静粛性、乗り心地が向上。2L 直4ディーゼルターボエンジンの最高出力を204psに引き上げて「D180」から「D200」に変更するとともに、「P300」を廃止。

・2021年9月
プラグインハイブリッドの「P300e」を追加。

ジャガー Eペイス(初代)G ▲外部からの給電が可能なPHEVモデルの「P300e」

2021年2月の変更は外観のリニューアルにとどまらず、シャシーを一新するフルモデルチェンジに近いものだった。それまでスポーツ性能一辺倒だった乗り味が、上品なしなやかさも兼ね備えたものにレベルアップされている。

この期を境に2018年2月~2021年1月までのモデルを前期型、2021年2月以降のモデルを後期型と分けるのが一般的だ。

ジャガー Eペイス(初代) ▲全長が短いだけに後席居住空間はFペイスなどに比べてタイト
 

価格状況&考察:平均価格ダウンはデビュー直後の物件供給量が増えたため?

Eペイス(初代)の中古車平均価格がここ1年で約40万円も下がった理由を考えてみよう。

前述したように、Eペイスは、今年デビューから7年目となる現行モデル。2代目についてはまだ何も発表されていないが、モデルライフとしては終盤に差し掛かっていると考えて良いだろう。

中古車市場には130台前後が流通しているが、その6割以上がデビュー年である2018年式および翌年の2019年式だ。

この1年で中古車流通量が増えたのも、この年式。つまり初度登録から5年、2度目の車検を迎えるにあたって車を手放した人が多く、供給量が増えたと推測できる。

需要は同じまま、供給量が増えれば相場は下がるもの。つまり単純に2018~2019年式 Eペイス(初代)の流通量が増えたために、中古車相場が下がったと考えられる。

コスパが高く、これからも長く乗れる物件が充実しているうれしい状況だ。

 

選び方1:価格重視ならデビュー直後のディーゼル車が狙い目

新車時価格は443万~854.8万円という高級車であるEペイスだが、中古車では意外なほどリーズナブルな価格帯から狙える。

中古車市場での価格帯は約200万~700万円。リーズナブルな価格帯で狙い目なのは、ずばりデビュー直後のディーゼル「D180」スタンダード仕様だ。

ジャガー Eペイス(初代)G ▲Eペイス(初代)に搭載されるエンジンはいずれも2L 直4。中古車市場におけるガソリンとディーゼルの割合はおよそ半々というところ

このディーゼル、すこぶる評判が良い。車両重量1920kgと決して軽くはないボディとディーゼルの相性は抜群。最高出力は180psとマイナーチェンジ後の「D200」に比べると控えめだが、トルクが430N・m(43.8kg・m)もあり、さらに9速ATとの組み合わせで全く不足感がない。

中古車市場には、ディーゼルのEペイス(初代)だけで約60台の物件が流通。前期型の「D180」に的を絞れば、総額100万円台から狙える物件もある。例えば、2018年式・走行距離5.3万kmのスタンダードで総額250万円と、全般的にお買い得な状況だ。

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選び方2:ガソリン車なら「P250」が物件数でもコスパでもオススメ

高級車らしい静粛性とスムースな吹け上がり、加速感を味わいたいなら、やはりガソリン車に軍配が上がる。

中古車市場全体に約60台のEペイス(初代)ガソリン車があり、「P200」「P250」「P300」と3種類のラインナップがある中で、最もハイパワーな「P300」の物件数は少なめ。

ジャガー Eペイス(初代)G ▲静粛性の高さはさすがジャガーというところ

物件数が最も充実しているのは「P250」だ。こちらはコスパの高さでもオススメできるモデルとなっている。

価格の一例を挙げると、2018年式・走行距離4万kmの「S P250 ブラックパック」で総額288.9万円。認定中古車かつ装備内容が充実しているパッケージ車で、車検が来年8月まで残っている物件だ。新車時価格は543万円だから、半額近い価格で手に入る。

ちなみに、プラグインハイブリッドの「P300e」についてはデビューから約3年たつが、中古車市場にはほとんど流通していない。

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選び方3:後期型でも総額300万円台から狙える

同じEペイス(初代)でも、前期型(2018年2月~2021年1月)と後期型(2021年2月~)ではまるで乗り味が違う。とがった乗り味だった前期型に対して、後期型はよく調教された名馬といった印象。中古車でも、せっかくなら成熟度が進んだ後期型を、と望む人は少なくないだろう。

中古車市場における後期型Eペイス(初代)の価格帯ボリュームゾーンは430万円以上。前期型のそれが250万~350万円であることを考えると、年式以上の差があるのは明白だ。
 

ジャガー Eペイス(初代)G ▲外観ではあまり変わっていないように見えるが、中身は大きく進化した後期型

ただ、後期型でも総額300万円台で狙える物件はある。例えば、2021年式・走行距離1万kmの「SE P200」は総額379.7万円。ディーゼルの「D200」も総額400万円から狙える状況だ。

一般に高級車は上位グレードに人気が集まり、中古車市場にも反映される傾向にあるが、Eペイス(初代)の場合はその常識があまり当てはまらない様子。上位エンジンである「P300」、最上級グレードの「HSE」は意外にも中古車市場に少ない。その代わり、オプション装備でパーソナライズされている印象だ。

多くの物件の中から、自分好みの仕様を見つけるのも楽しいプロセスだろう。

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ジャガー Eペイス(初代)× 後期型×全国

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※記事内の情報は2024年7月30日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/尾形和美、ジャガー
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。