スズキ ジムニーシエラ(2代目)▲魅力的かつ個性的なSUVを数多くラインナップしてきたスズキ。外観だけでなくメカニズムも独特だ

スズキのSUVは軽・コンパクトモデルが中心

SUVブームが来るずっと前から、スズキはジムニーをはじめとする個性的な四駆を作り続けてきた。

スズキといえば軽自動車のイメージが強いが、小型車にも魅力的なモデルがたくさん。今では本格四駆に加えてクロスオーバーSUVも増え、充実したラインナップとなっている。

どのモデルにも、“軽いこと”“コンパクトなこと”を最強の武器とするスズキの魂が息づいている。新車はもちろん、中古車市場でも大人気だ。

この記事では、中古車市場でも人気のスズキ製SUVを現行、最終型モデル中心に7モデル紹介。概要と、現在の中古車情報について解説する。
 

モデル 全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) 中古車価格帯
ジムニー
(4代目・JB64型)
3395 1475 1725 140万~420万円
ジムニーシエラ
(3代目・JB74型)
3550 1645 1730 170万~620万円
エスクード
(4代目)
4175 1775 1610 110万~350万円
SX4 S-CROSS
(初代)
4300 1765~1785 1575~1595 90万~240万円
イグニス
(初代)
3700 1660~1690 1595 50万~210万円
クロスビー
(初代)
3760 1670 1705 80万~330万円
ハスラー
(2代目)
3395 1475 1680 90万~310万円
モデル 全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) 中古車価格帯
ジムニー(4代目・JB64型) 3395 1475 1725 140万~420万円
ジムニーシエラ(3代目・JB74型) 3550 1645 1730 170万~620万円
エスクード(4代目) 4175 1775 1610 110万~350万円
SX4 S-CROSS(初代) 4300 1765~1785 1575~1595 90万~240万円
イグニス(初代) 3700 1660~1690 1595 50万~210万円
クロスビー(初代) 3760 1670 1705 80万~330万円
ハスラー(2代目) 3395 1475 1680 90万~310万円
スズキ エスクード(4代目) ▲スズキのSUVはほとんどがグローバル展開モデル。世界で鍛えられた実力と言える。写真はエスクード
 

ジムニー(4代目)

・生産期間:2018年7月~
・全長:3395mm
・全幅:1475mm
・全高:1725mm
 

スズキ ジムニー(4代目) ▲2024年4月の変更で、新車価格は約10万円アップ。ますます中古車の人気が高まるかも

スズキ製SUVの代表的存在といえば、ジムニーをおいて他にない。軽自動車にして、悪路走破性は間違いなく世界トップレベル。まさしく小さな巨人だ。

頑強なラダーフレーム構造のシャシー、前後駆動系を直結し、副変速機を備えるパートタイム式4WD、長いホイールストロークを誇る前後リジッド式サスペンションなど、本格四駆の伝統的構造を現在でもかたくなに守っているのは、世界中見渡してもジープ ラングラーと、このジムニーしかない。

2018年に登場した現行型4代目ではブレーキ制御によるトラクションデバイスなど先進的メカニズムも採り入れられたが、それでもオンロードでの乗り心地、ハンドリングは現代のクロスオーバーSUVとまるで異なる。オーナーになるには、それなりの覚悟もいるだろう。その代わり“オフロードで遊びたい”“普段のドライブでも冒険気分を味わいたい”人にとっては、唯一無二の価値をもたらしてくれる。
 

スズキ ジムニー(4代目) ▲4速ATに加え、5速MTを用意。中古車市場でのMT車比率は25%ほど

中古車市場での人気もズバ抜けて高い。中古車流通台数は1900台前後。デビュー直後から直近の年式まで比較的満遍なく分布しているが、平均価格は230万円前後と、新車価格を超えている状況だ。

ただ走行距離が多めでもOKなら、総額100万円台前半の物件も見つかる。タフな構造でメンテナンスさえ怠らなければ20万km、30万kmまで長く乗れるのも、ジムニーがもつ特長のひとつだ。
 

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スズキ ジムニー(4代目・JB64型)×全国
 

ジムニーシエラ(3代目・JB74型)

・生産期間:2018年7月~
・全長:3550mm
・全幅:1645mm
・全高:1730mm
 

スズキ ジムニーシエラ(3代目) ▲オーバーフェンダー装着によりジムニーより170mmワイド

ジムニーにオーバーフェンダーを付けて拡幅し、小型車としたのがジムニーシエラ。3代目は従来型よりも一層ワイドになり、たくましいスタイルとなった。

パワーユニットには1.5L自然吸気ガソリンエンジンを搭載。こちらもジムニー同様、4速ATと5速MTが用意される。

全長もジムニーより多少長くなっているがバンパー形状の違いによるもので、車内空間の広さはジムニーと全く変わらない。ワイドトレッドによる走りの安定感、自然吸気エンジンのスムーズさ、トルク感がジムニーシエラの利点だ。
 

スズキ ジムニーシエラ(3代目) ▲インテリアもジムニーと基本的に同じ。「スズキ セーフティ サポート」装着車も用意される

中古車市場には1100台前後が流通しているが、平均価格は270万円前後と、こちらも高水準。年式ではデビュー直後よりも、2023年式、2024年式といった直近の物件が多めとなっている。

価格帯は総額170万円~。走行距離1万km台で、新車価格+諸経費より若干安い価格で手に入る物件も見つかる。
 

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スズキ ジムニーシエラ(3代目・JB74型)×全国
 

エスクード(4代目)

・生産期間:2015年10月~2024年4月
・全長:4175mm
・全幅:1775mm
・全高:1610mm
 

スズキ エスクード(4代目) ▲ハイブリッド化されたタイミングでヘッドランプのハイビーム&フォグランプがLED化された

まだクロスオーバーという言葉がなかった頃、“シティランナバウト”をキーワードにオフロード四駆と乗用車の良いとこ取りを目指したパイオニアが初代エスクードだった。そのエスクードも4代目となり、従来までのモデルとは大きく様変わりしている。

基本設計はSX4 S-CROSS(初代)と共通。モノコック構造のボディ、FFベースの駆動系となり、乗り味も乗用車に極めて近い感覚となった。オフロード四駆のスタイルでありながらオンロードでの快適性も備えた1台だ。

この4代目、実は複数回にわたってパワートレインが一新された。デビュー当初は1.6Lガソリンエンジンを搭載していたが、2017年7月に1.4L ガソリンターボエンジンへと一新。2021年9月にいったん、販売終了し、その後、2022年4月に復活したモデルは、なんと1.5 Lガソリンエンジンとモーターを組み合わせたストロングハイブリッドだった。こちらはエンジン駆動を主体とするパラレル式ハイブリッドで、回生ブレーキとフットブレーキの協調制御も採用した先進的なもの。トランスミッションには6速AGSが選ばれた。
 

スズキ エスクード(4代目) ▲インパネのアナログ時計がユニーク。駆動方式は4WDのみで、走行モードを任意に選べる「ALLGRIP」を採用

中古車市場には100台前後が流通。その6割が後期型のハイブリッドとなっており、2022年式に多くの物件が集中している。ハイブリッド車の価格帯ボリュームゾーンは250万円台だ。

個人的なオススメは2017年7月~2021年9月まで生産された1.4Lエンジン搭載車。低速からモリモリ利くターボが小気味よい仕様だ。こちらの価格帯は総額170万~290万円となっている。
 

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SX4 S-CROSS(初代)

・生産期間:2015年2月~2020年12月
・全長:4300mm
・全幅:1765~1785mm
・全高:1575~1595mm
 

スズキ SX4 S-CROSS(初代) ▲2017年7月の変更ではエスクードなどに近いイメージの外観に

SX4 S-CROSSはスズキがこれまでに生産してきたSUVの中でも、なかなかの変わり種。生産もマジャールスズキ(ハンガリー)で行われ、もともと欧州などグローバルで先行発売された経緯をもつ。日本でも販売されたコンパクトクロスオーバー「SX4」の後継車種だが、大幅にサイズアップし、日本ではミドルクラスと呼べる車格にまで成長した。

クーペライクな外観にもかかわらず、4WD仕様に「SNOW」や「LOCK」などの走行モードを任意に選べる本格的な4WDシステム「ALLGRIP」を設定しているのが、いかにもスズキらしいところだ。搭載されるガソリンエンジンの排気量も1.6Lと、十分に余裕がある。
 

スズキ SX4 S-CROSS(初代) ▲運転席からの景色は乗用車に近いものだが、頭上高には余裕がある

中古車市場に流通している物件数は30台前後と少なめ。クロスオーバーSUVでありながら7割近くもの物件が、FFでなく4WDとなっているのが面白い。ちなみ、にSX4 S-CROSS(初代)はモノグレードで、FFもしくは4WDを選べるだけだった。

生産終了から3年半以上経過していることで価格帯もリーズナブル。例えば、2017年式・走行距離2.5万kmの4WDでは総額164.1万円となっている。
 

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イグニス(初代)

・生産期間:2016年2月~2024年4月
・全長:3700mm
・全幅:1660~1690mm
・全高:1595mm
 

スズキ イグニス(初代) ▲2020年2月以降の後期型は、よりSUVらしい外観となった

コンパクトハッチ+SUVという斬新な発想でクロスオーバーの新機軸に挑んだのが、スズキが2016年に投入したイグニスだ。外観はセルボやフロンテクーペ、エスクードなどスズキの名車からモチーフを採り入れてデザインされた。

乗り味は乗用車的だが、高めのアイポイントで運転が楽、乗降性にも寄与している。最小回転半径は4.7mと軽自動車並み! なんとスイフトよりも小さい。

搭載されるパワーユニットは1.2Lガソリンエンジンのマイルドハイブリッド仕様。WLTCモード19~19.8km/Lという優秀な燃費性能を実現した。経済的で車内の使い勝手が良く、多少のオフロードも走れる利便性がイグニスのアピールポイントだ。

2020年2月の変更はフロントグリルでのデザインを一新し、バンパーにスキッドプレート風処理を採り入れるなど、大規模なものとなった。
 

スズキ イグニス(初代) ▲インテリアは意外にも(?)スポーティな印象。トランスミッションはCVTとなる

新車販売は2024年4月で終了し、現在手に入れられるのは中古車のみ。しかし、中古車市場には300台以上が流通しており、平均価格も100万円前後と手に入れやすい。

年識別分布ではデビュー直後が圧倒的に多く、新しい年式は少なめ。とはいえ、走行距離3万km以下の物件も100件以上流通している。走行距離少なめの物件でも総額90万円以下で狙えるのは嬉しいところだ。
 

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クロスビー(初代)

・生産期間:2017年12月~
・全長:3760mm
・全幅:1670mm
・全高:1705mm
 

スズキ クロスビー(初代) ▲2022年8月にはフロントグリルなどのデザイン変更が行われた

ハスラーをそのままサイズアップしたかのようなイメージのクロスビー。しかしシャシーをはじめ、メカニズムはハスラーと一切共有していない。ゼロから構築されたコンパクト・クロスオーバーSUVだ。

5ナンバー規格に収まるボディサイズだが、全長はヤリスクロスやロッキー/ライズなどの競合車種よりもかなり短い。胴短なフォルムが見た目のかわいらしさと取り回しの良さをもたらしている。都市をキビキビ走れて、アウトドアでも使えるSUVを探している人には良い選択肢となるだろう。

搭載されるパワーユニットは1L ガソリンターボのマイルドハイブリッド仕様。蓄電した電力で加速アシストするISGの採用により、1.5L自然吸気エンジン並みの加速とWLTCモード17~18.2km/Lの低燃費が両立された。
 

スズキ クロスビー(初代) ▲トランスミッションはCVTでなく、6速ATを採用

中古車市場にはデビュー直後の年式から未使用車まで幅広く分布。中古車流通台数は750台前後と豊富で、予算や好みに応じてチョイスしやすい状況だ。

例えば、走行距離5万km以下の物件に絞って検索すると、2018年式・走行距離5万kmの「ハイブリッド MZ」で総額139.78万円といった物件が見つかる。ちなみに、「ハイブリッド MX」ではデビューから2020年9月までの一部仕様にしか先進安全装備である「スズキセーフティサポート」が装備されていないので、安全性を重視する人は注意しよう。
 

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ハスラー(2代目)

・生産期間:2019年12月~
・全長:3395mm
・全幅:1475mm
・全高:1680mm

スズキ ハスラー(2代目) ▲2022年5月の変更では一部グレードのヘッドライトがLED化されるなど、装備内容も改良された

まん丸ヘッドライトやボクシーなフォルムなど、コミックから飛び出してきたような意匠で人気となった軽クロスオーバー。現行型は2代目で、2019年12月に登場した。

外観デザインはキープコンセプトだが、初代よりホイールベースを延長して車内空間を拡大。前後バンパー長を短くし、アプローチアングル、デパーチャーアングルを拡大することでオフロード走破性も高めている。

他にもピラー角度やテールゲートを立ち上げてキャビン上部の空間を拡大、クオーターウインドウを新設、後席シートスライドを荷室側からも操作できるようにするなど、初代に対して細かな部分の改良点は数多い。前車追従機能付きクルーズコントロール、レーンキープアシストなど先進安全装備も充実された。

エンジンは全車マイルドハイブリッド仕様で、ガソリン自然吸気とガソリンターボの2種類。デビュー当初、先進安全機能の一部はターボ車のみの装備だったが、2022年5月の変更で全車標準装備となった。
 

スズキ ハスラー(2代目) ▲後席居住空間の広さは特筆もの。シートを折りたためば足を伸ばして車中泊することも可能だ

中古車市場には3000台以上ものハスラー(2代目)が流通している。デビュー直後の年式より、2023年式、2024年式の物件が多いのはユニークなところだ。

高年式車が多いため、中古車平均価格も150万円台後半とやや高めの水準。ただ、流通量が多いために2021年式・走行距離1.9万kmの「ハイブリッド G」で総額100万円以下など、かなりお買い得な物件も見つかる。

かわいらしい外観で実用性もバッチリなクロスオーバーが欲しい人に、これほどピッタリな車はないだろう。
 

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スズキのSUV中古車人気ランキングTOP5

最後にカーセンサーnetにおけるスズキのSUV人気ランキング最新TOP5を紹介!
 

順位 メーカー 車種 世代
1位 スズキ ジムニー 4代目・JB64型
2位 スズキ ハスラー 初代
3位 スズキ ハスラー 2代目
4位 スズキ ジムニー 3代目・JB23型
5位 スズキ ジムニーシエラ 3代目・JB74型
順位 メーカー 車種 世代
1位 スズキ ジムニー 4代目・JB23型
2位 スズキ ハスラー 初代
3位 スズキ ハスラー 2代目
4位 スズキ ジムニー 3代目・JB23型
5位 スズキ ジムニーシエラ 3代目・JB74型
 スズキ ジムニー

※記事内の情報は2024年7月31日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/尾形和美、スズキ
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。

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