LS ▲モノとブランドイメージが良い分だけ、車両価格も鬼のように高いレクサス車全般ですが、中古車の一部には総額100万円以下で狙えるレクサス車も存在しています。そんな総額100万円以下系レクサスの中ではどんなモデルが真のオススメなのか? 考えてみることにしましょう!

どんな中古車なら「総額100万円以下のレクサス」でも比較的安心できるのか?

レクサスとは、「いい車」であると同時に「富の象徴」的な存在でもある。それゆえ、レクサスの車は基本的に高額だ。グローバル基準ではコンパクトなSUVであるNX 350hバージョンLでも新車価格は637万6000円であり、より大柄なRX 500h Fスポーツパフォーマンスだと900万円を超える。

しかしそんなレクサスも、中古車であれば「総額100万円以内」という超現実的な予算で手に入れることは十分可能である。

2024年3月下旬現在、カーセンサーnetに掲載されているレクサスの最安値物件は、なんと総額39.8万円。まぁここまで安い物件はさすがにいろいろと極端かもしれないが、「総額100万円近く」の価格帯であれば、割と普通に使えて、なおかつまあまあのプレステージ性を感じさせてくれる物件も多いものなのだ。

そして実際にはどんな車種のどんな中古車であれば、「総額100万円以下」でも比較的安心して購入できるのだろうか? 次章以降、具体的に挙げていくことにしよう。
 

 

総額100万円以下で狙ってみたいレクサスその1
レクサス CT(初代)

レクサス CTは、2011年から2022年まで販売されたハイブリッド専用の5ドアハッチバック。ボディサイズは全長4320mm×全幅1765mm×全高1460mmで、パワーユニットは最高出力99psの1.8Lエンジンに同82psのモーターを組み合わせている。

インテリアは「プレミアムコンパクト」を名乗るにふさわしい高級感ただよう仕上がりで、メーターナセルにレザーを張り込むなど、クラスを超えた作りとなっている。適度な囲まれ感を与えることでスポーティな雰囲気を演出したコックピット全体の雰囲気も、なかなかシブい。
 

LS▲こちらが初代レクサス CT。写真は2017年8月以降の後期型
LS▲シャープな造形であると同時に、5ドアハッチバックならではの若々しさも強調されているレクサス CTのリアビュー。こちらも写真は2017年8月以降の後期型
LS▲適度な囲まれ感がある水平基調の運転席まわり。いわゆる高級感も十分以上に備えている(写真は2017年8月以降の後期型)
 

新車時価格は400万円を超えていたレクサス CTだが、今や中古車の平均価格は約147万円。もちろんモデル末期の中古車は今でも総額300万円を軽く超えるが、2011~2013年頃の初期モデルであれば、レザーシートを装着した「バージョンL」やスポーティな「Fスポーツ」でも、総額80万~100万円付近のゾーンで普通に狙えてしまう。

当然ながら最新の高額レクサス車のような「問答無用のプレステージ性」みたいなものは、初代CTの総額100万円以下級中古車には存在していない。だが「程よいラグジュアリー感」は、今なお内外装や走りの質感から感じ取ることができる。また消耗部品は普通のトヨタ車と共通なモノも多いため、耐久性は高く、メンテナンス費用が莫大にかかってしまうということもない。

「良質なハッチバックを手頃な予算で購入し、そして堅実に維持していきたい」と考える人には悪くない選択肢である。
 

▼検索条件

レクサス CT(初代)×総額100万円以下×全国
 

総額100万円以下で狙ってみたいレクサスその2
レクサス HS(初代)

2009年から2018年まで販売された「レクサス HS」も、総額100万円以下で普通にイケてしまうレクサス車のひとつだ。

レクサス HSは、FFレイアウトを採用したハイブリッド専用セダン。既存の中型用を組み合わせた独自のプラットフォームで仕立て上げたボディのサイズは、全長4700mm×全幅1785mm×全高1505mm。当時のレクサス車の中では最もコンパクトだった初代ISに比べて115mm長く、75mm背が高いという寸法である。

パワーユニットはエスティマ ハイブリッドと同様のもので、最高出力150psの2.4Lエンジンに同143psのモーターという組み合わせ。車体の挙動を安定させる「S-VSC」やヒルスタートアシスト、バックガイドモニターなどのサポート機構は全車標準。新車時はオプション装備であったミリ波レーダーによるプリクラッシュセーフティシステムが付いている中古車も、当然ながら普通に流通している。
 

レクサス HS(初代)▲レクサス初のハイブリッド専用モデルであるHS。JC08モード燃費は19.8km/L
レクサス HS(初代)▲ラゲージ容量は415Lあり、ゴルフバッグを4つ収納できる

モデル末期の年式だと中古車価格は総額200万円を超えるが、「走行距離10万km以下であれば、スピンドルグリルではない2009~2012年式ぐらいでも良し」と考えるなら、総額60万~100万円のゾーンにてまずまず悪くない物件が見つかる。

CTはもともと「上質との調和」「人との調和」「地球との調和」という3つのハーモニーが開発コンセプトであったため、決して威張りが利くタイプのセダンではない。だが威張りやらオラオラ系の感性などには何の興味もないユーザーが「上質な乗り味を静かに楽しむための車」として見るならば、総額100万円以下のレクサス HSはけっこう素敵な選択肢だ。もともと地味めな車なので、年式的に古くなっても、その古さがあまり強調されないのだ。

またCTと同じくトヨタ車と共通の消耗部品も多いため、レクサス専用のエクステリア系パーツなど以外は部品代も高くはない。
 

▼検索条件

レクサス HS(初代)×総額100万円以下×全国
 

総額100万円以下で狙ってみたいレクサスその3
レクサス IS(初代)

初代レクサス ISは、2005年にレクサスが日本市場でのビジネスをスタートさせた際に用意された3モデルのうちのひとつ。「プレミアムスポーティセダン」を標榜した全長4575mm×全幅1795mm×全高1430mmのFRセダンである(※4WDもあり)。

搭載されたパワーユニットは「250」が最高出力215psの2.5L V6 DOHCで、「350」は同318psの3.5L V6 DOHC。トランスミッションはいずれも6速ATとなる。

タイヤを極力ボディの四隅に配置したことによるオーバーハングの短さと張り出したフェンダーからは美しさと迫力を同時に感じ、オーソドックスではあるが、高級感は十分に感じられるインテリアの雰囲気も上々。キレイに使われてきたノーマル系の中古車であれば、今でも程よいラグジュアリー感が全体に漂っている。
 

IS(初代)▲世界に通じるスポーティなコンパクトセダンを目指したこともあり、足回りは固め。特にスポーティなグレードとして設定された「バージョンS」は専用の足回りが与えられた
IS(初代)▲ベースはクラウンだが、全長で265mm、ホイールベースが120mmもコンパクトにリファインされている

2024年3月下旬現在、初代レクサス ISの中古車平均価格は約77万円。それを裏付けるかのように、総額50万~98万円付近のゾーンでまずまずの数の中古車が流通中。中にはメンテ不足で荒れてしまった個体や、派手なカスタマイズが施された物件もあるが、定期的に正規ディーラーでの点検と整備を受けてきたノーマル系の個体であれば、まだまだ普通に稼働させることができ、いわゆるプレステージ感もそれなりに発している。

そしてこちらもレクサス専用品であるヘッドライトユニットなどは比較的高額だが、消耗部品は普通のトヨタ車と共通である部分も多い。そのため、良質車を選んだうえで車両をぶつけないように気をつけていれば、メンテナンス代で多大な苦労をすることもないだろう。
 

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レクサス IS(初代)×総額100万円以下×全国
 

総額100万円以下で狙ってみたいレクサスその4
レクサス GS(初代)

こちらも、2005年の日本におけるレクサス開業時にラインナップされた車種のひとつ。ボディサイズはISよりひと回り大きい全長4830mm×全幅1820mm×全高1425mmで、デビュー当初用意されたパワーユニットは2種類。「350」には最高出力315psの3.5L V6が搭載され、「430」はセルシオ譲りの4.3L V8(最高出力280ps)を搭載。トランスミッションはいずれも「シーケンシャルシフトマチック」を備えた6速ATを採用した。

2006年3月には、350と同型の3.5L V6にモーターを組み合わせ、4.5L車並みの動力性能と2L車並みの燃費性能を両立させたハイブリッド車「450h」が追加され、2013年10月には2.5Lエンジン+モーターの「300h」も登場している。
 

レクサス GS(初代)▲日本では初代、海外では3代目となるGS
レクサス GS(初代)▲高速のワインディングを走るときなどに、シャープかつ安定感のあるステアリングフィールが得られるVGRSを430系と460系に標準装備。さらに、走行中の車両が安定して快適な乗り心地が得られる電動アクティブスタビライザーが430系と460系にオプションで用意された

直近の中古車平均価格は約61万円という格安状態な初代GSだが、比較的大規模なカスタマイズが施されている物件は150万円以上の値付けとなっている場合も多い。しかしアルミホイールを交換した程度のノーマルに近い物件であれば、総額50万~100万円のゾーンにて豊富な数が流通している。

流通のメインとなっているのは最高出力315psの3.5L V6を搭載する350系。ハイパワーな車であるため、車の各部にかかる負荷は比較的大きい。そのため、ろくにメンテナンスされてこなかった個体をつかんでしまうとドツボにはまるリスクもある。

しかし正規ディーラーにて2年に一度の車検整備を受けてきたことが整備記録簿によって確認でき、なおかつ内外装の状態に「荒れた雰囲気」がない個体であれば、怒涛のパワーがもたらす豪快でラグジュアリーな走りを、今なお堪能できるはずだ。
 

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レクサス GS(初代)×総額100万円以下×全国
 

総額100万円以下で狙ってみたいレクサスその5
レクサス LS(初代)

初代レクサス LSは、2006年9月に発売された堂々たるフラッグシップセダン。

ボディサイズは、ベースとなったトヨタ セルシオよりひと回り拡大された全長5030mm×全幅1875mm×全高1465mmで、新開発プラットフォームに、電子制御式エアサスペンションを組み合わせた前後マルチリンク式サスペンション、ギア比可変ステアリング(VGRS)などを盛り込んでいる。
 

レクサス LS(初代)▲海外では4代目。それまでの3代はいずれも国内ではセルシオとして販売されていた
レクサス LS(初代)▲8速ATは当時、世界初。低速域では小回りが利き、構想区域では操縦安定性能を向上させるため車速に応じてステアリングのギア比を変更するギア比可変ステアリング(VGRS)や、電子制御式エアサスペンションは全車に標準装備

発売当初のグレードである「460」に搭載されたエンジンは4.6L V8 DOHCの「1UR-FSE」型。シリンダー内噴射とポート噴射を併用した「D4-S」など、当時の最新技術を投入したそれは385psの最高出力を発生。2t前後の重量級ボディを豪快に、しかしきわめて上質で静粛なニュアンスにて引っ張った。トランスミッションはシーケンシャルシフトを備えた8速ATの「8 Super ECT」だ。

2007年5月には5L V8エンジンに強力なモーターを組み合わせたハイブリッド車「600h」が追加され、2008年8月にはLS460にもロングボディ版である「460L」を追加。そして2012年7月にはマイナーチェンジが実施され、逆台形と台形を組み合わせた「スピンドルグリル」を採用するとともに、インテリアと安全装備も大幅にアップデートされた。

2024年3月下旬現在、初代レクサス LSの中古車平均価格は約125万円で、マイナーチェンジを経た後期型は総額140万円以上が中心。そして総額300万円以上のプライスタグが付いている後期型初代LSも少なくない。

しかし前期型でも良しとするならば、総額60万~100万円あたりの価格帯にてまずまず悪くない1台を見つけ出すことが可能。もちろん、いわゆるオラオラなニュアンスの扱われ方をされたことで荒れてしまった中古車も多いが、年配のオーナーなどが完全ディーラー任せのメンテナンスを行ってきたような物件を見つけることができたなら、思いのほか上質な乗り味と世界観を、総額90万~100万円ぐらいの予算感で堪能できてしまう可能性は高い。

もちろんこのあたりは人それぞれの価値観次第だが、初代レクサス LSはカスタマイズが施された物件よりもフルノーマル系の方が、LSが本来もっていたラグジュアリー感とアッパークラス感は強く感じられるはずだ。

消耗部品はさておき、初代LS専用の外板パーツやインテリア部品は高額なので、なるべく内外装が荒れておらず、なおかつ正規ディーラーでの整備履歴が充実している個体を入手するべきだろう。
 

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レクサス LS(初代)×総額100万円以下×全国
文/伊達軍曹 写真/尾形和美、レクサス
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。

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