トヨタ GR86の中古車価格が1年で約30万円下落! 新車よりお得な「買いの条件」とは? 人気国産スポーツカーのオススメを解説
2024/04/04
流通台数は350台を超え、平均価格はこの1年で約30万円ダウン
2021年10月に発売されたトヨタ GR86。言わずと知れた「トヨタ 86」の後継モデルとして登場した大人気のFRスポーツですが、大人気だけあって、直近の新車納車待ち期間は約4ヵ月となっています。(トヨタ公式サイトによる)
しかし中古車の流通量は順調に増加しており、直近では約400台の中古車が流通中。そして平均価格もある程度下降中で、2023年2月時点で372万円だったGR86の中古車平均価格は、2024年1月には342万円までダウンしているのです。
となれば、新車と違ってほぼ即納となる「トヨタ GR86の中古車」は、今こそが最初の買い時なのかも! ということで、そのモデル概要などを紹介するとともに、「今現在のオススメグレード」をケース別に考えてみることにしましょう。
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トヨタ GR86(初代) × 全国モデル概要:「走る楽しさ」をより感じられる作りとなったFRスポーツ
トヨタ GR86は、先代にあたるトヨタ 86と同様にスバルとトヨタが共同で開発したFRスポーツカー。
ボディサイズは全長4265mm×全幅1775mm×全高1310mm(ルーフアンテナ含む)で、GRブランド専用の「ファンクショナルマトリクスグリル」や、モータースポーツ参戦車両からフィードバックしたという空力アイテムを装備しています。
プラットフォームは従来型を改良したものですが、上屋にはスバルの最新技術「インナーフレーム構造」を採用して高剛性化と軽量化を両立。ボディ剛性が先代以上に高まったことで(横曲げ剛性は約60%、ねじり剛性は約50%アップ)、街乗りからサーキット走行まで、どんな速度域でも「走る楽しさ」が感じられる車体に仕上がっています。
搭載エンジンは従来型の2Lから2.4Lに拡大された水平対向4気筒自然吸気「FA24」で、アウトプットは最高出力235ps/最大トルク250N・m。
トランスミッションは6速MTと6速ATの2種類がありますが、変速機の違いによるエンジン出力の違いはありません。ただ6速AT車はドライブモードを「スポーツ」にすると、「上級ドライバー並みの自動変速」を実現するという変速プログラムに切り替わります。
また心地よいエンジン音を楽しむため、スピーカーで加音する「アクティブサウンドコントロール」が新採用されたことも、第2世代となったGR86の特徴といえるでしょう。
GR86では安全性能にも配慮がなされ、従来型では採用されていなかったスバルの予防安全・運転支援システム「アイサイト」を6速ATに採用(※2023年9月以降は6速MT車にも採用)。スポーツカーであっても安全・安心なカーライフを送ることができる結果につながっています。
グレード間の違い:パワーユニットは同一。装備の違いでグレードが決まる
トヨタ GR86のグレードは大きく分けて3種類。トランスミッションの違いまで入れて考えると計5種類に分かれています。
●RZ(6速AT)|新車価格357万4000円
●RZ(6速MT)|新車価格347万4600円
●SZ(6速AT)|新車価格325万1000円
●SZ(6速MT)|新車価格315万3000円
●RC(6速MT)|新車価格291万6000円
前章で述べたとおり各グレードが搭載するエンジンやその出力は同一ですが、装備内容などによって「上級のRZ」「中間グレードであるSZ」「モータースポーツ向けのベース車両であるRC」に分かれているわけです。
それぞれのグレードの主な特徴は下記のとおりです。
【RZ】
・ホイール径は18インチ
・コントロール性が高い「フロントスポーツブレーキパッド」採用
・シート表皮はウルトラスエード×本革
・後側方警戒支援システムは標準装備
・ステアリング連動ヘッドランプを標準装備
・スピーカーは8スピーカー
【SZ】
・ホイール径は17インチ
・シート表皮はファブリック
・後側方警戒支援システムはメーカーオプション
・ステアリング連動ヘッドランプは非装備
・UVカット機能付きグリーンガラスは非装備
・スピーカーは6スピーカー
【RC】
・ホイールは16インチのスチールホイール
・シート表皮はファブリック
・フロアサイレンサー(フロアに仕込まれる消音材)は非装備
・エンジンルームカバーなし
・マフラーカッターなし
・シフトレバーはウレタン製
・スピーカーは2スピーカー
以上の前提情報をもとに、次章から「ケース別のオススメグレード」を具体的に考えてみることにしましょう。
中古車のオススメ1:価格重視で選ぶなら総額200万円台後半のSZまたはRC
価格重視で、つまりなるべくお安い予算でGR86の中古車を狙いたいとなった場合、現在の相場状況から考えると、予算目安は「総額250万~299万円」ということになりそうです。そして現在、その価格帯で狙うことができるGR86の流通状況は下記のとおりです。
・RZ(6速AT)|2台
・RZ(6速MT)|0台
・SZ(6速AT)|3台
・SZ(6速MT)|7台
・RC(6速MT)|7台
上級グレードであるRZは、この価格帯ではトランスミッションの種別にかかわらず流通量が少なく、特に人気が高いMT車は、この価格帯では見つけることができません。
したがって「総額200万円台でGR86が欲しい!」となった場合は、中間グレードである「SZ」の6速AT車または6速MT車を探すか、もしくは競技用ベース車両である「RC」にするか――ということになりそうです。
前章でご紹介したとおり、中間グレードである「SZ」はシート表皮がファブリックとなり、スピーカーの数も8個ではなく6個になったりするのですが、GR86はスポーツカーですから、そのあたりは割とどうでもいいような気がいたします。つまり「総額270万円前後のSZであっても普通に満足できるはず」ということです。
ちなみに、そのあたりの価格帯の物件でも走行距離は数千kmからせいぜい2万km程度ですので、コンディション的にも問題ない場合がほとんどでしょう。
そしてまずまずの数が流通している競技用ベース車両「RC」も、なかなか悪くない選択であるように思えます。
先代にあたる86のRCはかなり簡素でスパルタンな仕様であったため、普段づかいするにはやや厳しいグレードでした。
しかしGR86のRCは普通に必要な装備類は普通に標準装備であり、エアコンも左右で独立した温度コントロールができるフルオート式。そして標準では黒いスチールホイールですが、多くのRCの中古車はアルミホイールに履き替えられているため、そこが気になってしまうケースも少ないはず。
フロアサイレンサーが省略されているため走行中の車内がややうるさいことと、装備類が(他の2グレードと比べれば)やや簡素であるという点がさほど気にならないのであれば、「総額290万円前後のRC」というのも悪くない話です。
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トヨタ GR86(初代) × 総額300万円未満 × 全国中古車のオススメ2:コンディション重視なら総額300万円台半ばのRZ
「コンディション重視でGR86を選びたい」ということは、考え方としては「走行距離1万km以下のRZを狙う」というのがベストであり、セカンドベストが「走行距離1万km以下のSZを狙う」ということになるでしょうか。
では、まずは走行距離1万km以下の上級グレード「RZ」から考えてみますと、直近の流通状況は下記のとおりとなっています。
・RZ(6速AT)|約40台|総額310万~410万円
・RZ(6速MT)|約90台|総額320万~420万円
スポーツカーであるGR86はMT車の方が人気であるため、流通量はMT車の方が格段に多く、価格もMT車の方がやや高めとなっています。
しかしAT車も「探すのが難しいほど少ない」というわけではないため、各自のトランスミッション的な好みに応じて、どちらでもお好きなモノを選べばよろしいでしょう。それぞれの全体的な価格帯は上記のとおりですが、「中心的な価格帯」は、どちらのトランスミッションも総額330万~380万円ぐらいです。
中間グレードである「SZ」についても、走行距離1万km以下の物件がどのように流通しているかを見てみましょう。
・SZ(6速AT)|約10台|総額270万~340万円
・SZ(6速MT)|約30台|総額290万~370万円
こちらも「MT車の方が多くて高い」という傾向はRZと同じですが、そもそもの流通量がRZの3分の1程度となっています。それでも決して探せないほど少ないというわけではないため、AT車の場合で総額300万~330万円ぐらい、MT車であれば総額300万~350万円ぐらいのゾーンで、走行距離1万km以下の素敵な物件が見つかるはずです。
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トヨタ GR86(初代) × 走行距離1万km以下 × 全国ところで「限定モデル」の中古車はいくらで買える?
トヨタ GR86は、これまでに2種類の特別仕様車が発売されています。
1つは2022年7月に発表された「GR86 RZ“10th Anniversary Limited”」。これはGR86の「RZ」をベースとする特別仕様車で、2012年の86誕生からの10周年を記念して設定されたものです。エクステリアカラーは初代86を思わせる「フレイムオレンジ」で、インテリアは専用のオレンジアクセントやキャストブラック加飾、10周年記念刺繍などでドレスアップされています。
もう1つの特別仕様車は、2023年9月に発売された「GR86 RZ“40th Anniversary Limited”」です。
こちらは先代のトヨタ 86ではなく、1983年に発売されたAE86の生誕40周年を記念した特別仕様車。上級グレードである「RZ」をベースに、エクステリアカラーは「スパークレッド」または「クリスタルホワイトパール」に限定。そのうえでAE86の赤×黒および白×黒の2トーンカラーを想起させる専用デカールを採用し、内装にはAE86のヒストリーをイメージした専用ロゴや加飾もあしらわれています。
2024年3月中旬現在、「GR86 RZ“40th Anniversary Limited”」は残念ながらまだ中古車としての流通はありませんが、最初の特別仕様車である「GR86 RZ“10th Anniversary Limited”」は合計35台ほどが、下記の価格帯にて流通しています。「ひと味違うGR86」をお探しの方は、“10th Anniversary Limited”にこだわって探してみるのも素敵なはずです。
・GR86 RZ“10th Anniversary Limited(6速AT)|2台|総額340万~440万円
・GR86 RZ“10th Anniversary Limited(6速MT)|33台|総額320万~480万円
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トヨタ GR86(初代) × 2.4 RZ 10th アニバーサリー リミテッド & 2.4 RZ 40th アニバーサリー リミテッド × 全国▼検索条件
トヨタ GR86(初代) × 全国自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。