ホンダ N-BOX(初代)▲1700mmを超える全高で、両側スライドドアを備えたスーパーハイト系ワゴン。当時の王者ダイハツタントを抜いて、ホンダN-BOXは同クラスだけでなく最も売れる軽自動車になった

軽自動車ベストセラーの人気車も、経年相応にお買い得感が出てきた

2011年12月に登場すると、いきなり2012年度の軽自動車販売台数で1位を獲得した初代ホンダ N-BOX。以降も毎年のようにナンバー1に輝き続けた、軽自動車のベストセラーだ。

2017年9月に2代目・現行型へと切り替わったが、中古車の人気は依然として高く、その値落ち傾向はかなり緩やかだ。

しかし、さすがに生産終了から約5年が経ち、だいぶお手頃感が出てきた。

このような状況下ではどんな物件を狙うべきか? まずは現在の相場状況から確認していこう。
 

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ホンダ N-BOX(初代)×全国

平均価格は80万円台に突入、それに応じて走行距離も増えている

下記グラフをみてもわかるとおり、中古車平均価格は緩やかだが確実に下落を続けている。2019年には平均価格は100万円台をキープしていたが、2020年にようやく100万円を切り、そして2021年にはついに80万円台に突入してきた。
 

ホンダ N-BOXの中古車平均価格推移グラフ▲非常に穏やかなスピードだが、それでも確実に平均価格は下落している

一方、新車の販売台数で度々軽自動車ナンバー1に輝いた人気車ゆえ、中古車の台数も豊富。直近12月の延べ掲載台数も1万台以上と、大量&安定の供給量といえる。

では、どの年式の中古車が多いのか。一般的に新車購入が多い初期型が売れる=中古車としての台数が多いのだが、毎年のように軽自動車ナンバー1の販売台数をたたき出したN-BOXの場合は、2012~2013年の初期型がやや多いものの、それでも各年式ともほぼまんべんなく流通している。

また、平均走行距離は約6万2000kmで、今の平均価格である80万円台の走行距離も5万~7万km。一方で、1万km未満や10万km超、中には20万km超なんてものもあり、この点でもかなり選択肢は広い。

中古車の価格は一般的に需要と供給のバランスで決まる。例えば、欲しい人の数に対して台数が少ないほど高くなり、逆に台数が多ければ安くなる。

N-BOXの場合、原稿執筆時点で支払総額約30万~約200万円と価格の幅も大きい。つまり条件、特に走行距離の差が大きく価格に影響しているようだ。10万km超なら支払総額30万円程度から狙えるが、1万km未満なら150万円前後は必要になる。

当然、人気の装備を備えている中古車ならさらに価格は高くなりがちだ。

では続いて、初代N-BOXはどんなモデルだったのか。以下簡単に振り返ってみよう。
 

軽乗用車最大級の室内空間と多彩なシートアレンジで一気に人気車へ

ホンダ N-BOX(初代)▲スライドドアの開口部は640mmとミニバン並みの広さがある。ステップ高も2WD車で380mmと低く、子供やお年寄りが乗り降りしやすい。室内高は1400mmあり、小学生が立ったまま着替えることができる。写真はベースモデルのN-BOX
ホンダ N-BOX(初代)▲N-BOXカスタム(写真)は押し出し感のあるフロントグリルが備わる

「軽乗用車最大級の広さ」をうたい、2011年12月に登場した初代N-BOX。

多彩なシートアレンジやJC08モード燃費22.2km/L(ノンターボの2WD)という低燃費、VSA(車両挙動安定化制御システム)やHSA(ヒルスタートアシスト)を全車に標準装備するなど機能面でも魅力があり、先述のとおり大ヒットした。

ボディバリエーションはノーマルのN-BOXと、スポーティな内外装のN-BOXカスタムがあり、N-BOXはノンターボ、N-BOXカスタムはノンターボとターボエンジン搭載グレードが設定された。

約6年にわたって生産されたが、その中でパワートレインや装備の改良を含むマイナーチェンジが4回行われ、商品力を維持し続けたのも人気が続いた理由だろう。

特に、2回目となる2013年12月のマイナーチェンジでは、衝突被害軽減ブレーキ(シティブレーキアクティブシステム)と前席サイドエアバッグ+サイドカーテンエアバッグをセットにした「あんしんパッケージ」がグレードにより標準装備またはオプションで用意された。

昨今、先進安全装備付きが当たり前となっているため、中古車を選ぶうえで一つのポイントになるだろう。

デビュー時の車両本体価格はノンターボが124万~167万円、ターボ車が166万~178万円だった。
 

ホンダ N-BOX(初代)▲助手席前にトレーが備わったり、ティッシュ箱がちょうど収まるグローブボックスなど収納も豊富
ホンダ N-BOX(初代)▲カスタムモデルはクリアレンズのリアコンビネーションランプやテールゲートスポイラーが備わるなど、見た目はスポーティなミニバンだ
ホンダ N-BOX(初代)▲後席の座面を跳ね上げるとベビーカーを折り畳まずとも載せることができる

前述のとおり、だいぶお手頃感が出てきた初代N-BOXの中古車。原稿執筆時点での中古車平均価格は86.4万円だが、以下予算別にオススメの探し方を紹介しよう。
 

平均価格より安い80万円以下なら
「ノーマルタイプのノンターボ・G Lパッケージ」

平均価格より安い車両本体価格80万円以下で絞っても、全体の約半数となる2700台以上がヒット。2011年式~2017年式と全年式から選べて、走行距離も1万km未満から20万km超と幅広い。

しかしよく見ると、ノーマルタイプ/カスタム問わずノンターボ車が圧倒的に多い。また、ノーマルタイプ7:カスタム3くらいの割合でベースモデルの方が多く、走行距離5万km以上が約8割を占めるといった状況だ。

そこでオススメは、ノーマルタイプのノンターボである「G Lパッケージ」だ。中でも良コンディションが期待できる走行距離5万km以下の修復歴なし車を狙いたい。

同条件で絞ると、2700台以上あった中古車が、あっという間に150台ちょっとに減る。それでも150台あるから、希望のボディカラーを見つけられるのではないだろうか。

そして、Gに対してG Lパッケージになると、助手席側スライドドアが手動式から電動式に、エアコンがオートになるなど仕様が向上する。

普段使いに便利で、良コンディションのN-BOXが車両本体価格80万円以下で探すことができるのだ。

なお、この条件でも「あんしんパッケージ」が設定された2013年12月以降生産モデルが見つかるため、積極的に狙ってほしい。
 

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ホンダN-BOX(初代)×車両価格80万円以下×G Lパッケージ×走行距離5万km以下×修復歴なし×全国

少し予算を上げて100万円以下なら
「ノーマルタイプのノンターボ・G SSパッケージ」

ホンダ N-BOX(初代)▲特別仕様のG SSパッケージ。こちらはエクステリアデザインが変わった2015年7月登場モデル。安心パッケージをはじめ、パワースライドドア(リア右側)などの人気装備が追加されている

上記よりも少し予算を上げ車両本体価格80万~100万円にしても、引き続きノンターボ車の台数の方が多く、ターボ車は約2割しかない。

この価格帯では引き続きノーマルタイプのノンターボに絞り、その中でも特別仕様車である「G SSパッケージ」がイチオシだ。

特別仕様車だが2014年5月から度々設定されており、掲載台数も豊富。車両本体価格80万~100万円でも200台以上見つかり、さらに走行距離5万km以下&修復歴なしで絞っても150台ほど見つかる。

SSパッケージのSSは「スズカ・スペシャル」の意味で、G Lパッケージをベースに衝突被害軽減ブレーキのシティブレーキアクティブが備わり、運転席側のリアドアも電動式となる。

安全性や利便性が高く、予算を上乗せしてでも狙う価値が大いにあるモデルと言える。

なお、初代N-BOXは2015年2月にエクステリアデザインの変更を伴うマイナーチェンジを行っているが、このマイナーチェンジ以降の物件も100万円以内で十分見つかる。バリューも高くなるため、積極的に狙ってみてほしい。
 

▼検索条件

ホンダN-BOX(初代)×車両価格80万~100万円以下×G SSパッケージ×走行距離5万km以下×修復歴なし×全国

余裕ある150万円以下なら
「カスタム Gターボ Lパッケージ(後期型はAパッケージ)」

ホンダ N-BOX(初代)▲「カスタム GターボLパッケージ」のインテリアは上級グレードらしく高級感あるものになっている

車両本体価格100万~150万円まで予算をあげれば、ほぼどれでも選べるようになる。こだわりのグレードなどがあるなら、あとは走行距離や装備の有無、ボディカラーなどで絞りながら探してみよう。

相変わらずターボ車は車両本体価格100万~150万円の価格帯でも3割ほどだが、3割といっても台数でいえば300台以上もあるから十分見つけやすい。

一方でこの価格帯になると、ノーマルタイプ3:カスタムモデル7とカスタムモデルの方が多くなるのが特徴だ。

そこでこの価格帯でオススメなのが、カスタムモデルのターボ車である「カスタム GターボLパッケージ(後期型はAパッケージ)」だ。

同グレードの「2トーンカラースタイル」に次ぐ上級グレードで、クルーズコントロールが備わり、スライドドアは左右とも電動式で、本革巻きステアリングやパドルシフト、15インチアルミホイールが装備されるなど、装備が充実している。

また、2014年式以降の衝突被害軽減ブレーキ装備車も、この価格帯で見つけることができる。

車両本体価格100万~150万円の価格帯で約150台見つかり、走行距離5万km以下&修復歴なしで絞っても、120台以上見つかった。
 

▼検索条件

ホンダ N-BOX(初代)×車両価格100万~150万円以下×カスタム Gターボ Lパッケージ/カスタム Gターボ Aパッケージ×走行距離5万km以下×修復歴なし×全国

▼検索条件

ホンダ N-BOX(初代)×全国
文/ぴえいる、写真/ホンダ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。