日産 ステージア(2代目)▲生産終了までに搭載されたエンジンは4種類。最も排気量の小さい2.5L V6は必要十分なパワーで、3L V6はゆとりがある。3.5L V6は最高出力280psとハイパワーで、同じく280psの2.5L V6ターボはスポーツワゴンとしては最も合っている

手頃な「V35型スカイラインワゴン」が2020年10月頃から値上がりした

スポーティセダンの代表格である日産 スカイライン。そのステーションワゴン版がステージアだ。

初めてV型6気筒を搭載したV35型スカイラインとプラットフォームを共有する2代目ステージアは、2001年10月~2007年6月の約6年間にわたって生産された。

中古車の平均価格は1、2年ほど前までは30万円台と手頃な価格で推移。価格の割には、ラゲージが大容量でしっかり荷物も積め、走りもいいため「格安狙い目モデル」として一定の人気を得ていた。

しかし、2020年10月あたりから平均価格がジワリと上昇を始め、一時は55.9万円をつけ、最近は50万円前後で推移するようになった。

なぜ2代目ステージアの中古車価格が上昇しているのか。まずは相場状況を詳しく見ていこう。

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スポーツワゴンゆえ、カスタムカーが平均価格を押し上げた

2代目ステージアの中古車平均価格は、2020年10月までの約2年間30万円台でほぼ横ばいに推移しており、安定のお手頃ワゴンだったのだ。

ところが、2020年10月に久しぶりに40万円台に突入すると、2021年の1年間は50万円前後を推移。2021年10月には最高値となる55.9万円をつけた。

日産 ステージアの平均価格推移グラフ▲2020年中頃から平均価格は上昇。現在も50万円台をキープしている

原稿執筆時点で掲載車両を詳しく見てみると、価格上位に並んでいるのはカスタムされた物件が多く、中には200万円以上のプライスが付いたカスタムカーもある。

FRレイアウトを採用し、最高出力が当時最高の280psというモデルもあり、前期型には6速MT搭載車まであるなど、スポーティなイメージの強いステージア。

初代にはR33型スカイラインGT-Rと同じエンジンを搭載したスペシャルモデルもあったほどだから、スポーティなイメージをステージアにもつ人も多い。

こうしたことからスポーツチューンやエアロパーツなどが施されたカスタムカーも多く、それらが中古車平均価格を押し上げているようだ。

一方で、カスタマイズされていないノーマルのステージアもあり、これらは支払総額約40万円から狙えるなど、従来どおりお手頃な価格で選べるのも特徴だ。

では、その中から何を選ぶべきか。2代目ステージアの変遷を読み解きながら探っていこう。

スポーツモデルからアウトドア志向まで、バリエーションが豊富

日産 ステージア(2代目)▲アルミ製のボンネットや樹脂製バックドアが採用されるなど軽量化によって、スムーズなコーナリングなど動力性能の向上が図られた

V35型スカイラインのプラットフォームを使い、ステーションワゴン用に専用開発されたリアサスペンションを搭載して2001年10月にデビューした2代目ステージア。

デビュー時に搭載されたエンジンはV35型スカイラインと同じ2.5Lと3LのV6、さらにスカイラインにはない2.5LのV6ターボエンジンも用意された。このターボエンジンの最高出力は280psで、V35型スカイラインセダンの3.5L V6の272psより高く、同クーペと同じ数値だ。

組み合わされるトランスミッションは最廉価グレードが4速AT、他は5速ATとなる。2WD(FR)と4WDがあり、4WDシステムはスカイライン由来のスノーシンクロモード付きアテーサE-TSが採用されている。

また、4WD車には最低地上高をベース車より40mm高い180mmとした、アウトドア志向のAR-X FOURというグレードも設定された。

AR-X FOUR以外のグレードはRX系とRS系に大別され、RX系はスエード調シート地など落ち着いたインテリアが、RS系はブラックを基調としたスポーティなインテリアが備わる。


日産 ステージア(2代目)▲当時のボルボのように垂直なリアエンドが特徴的。燃料タンクはリアシート下に設置され、ラゲージの拡大と前後重量配分の適正化に貢献。リアゲートは開閉可能なガラスハッチ付きなので、小物の出し入れに便利
日産 ステージア(2代目▲インパネデザインはV35型スカイラインと基本同じ。助手席グローブボックスは上下に開く2段式で、カーナビを装着すると上段はカーナビ用DVD装置とETCがセットで備わる
日産 ステージア(2代目▲写真は300RX。RX系はこのようなシックなインテリアとなる。300Rはサブウーファー付きのBOSEサウンドシステムを標準装備、他一部グレードにもオプションで用意された

2003年6月にはオーテックが手がけたアクシス350Sが追加された。この時点では唯一となる3.5LのV6エンジン(最高出力280ps)を搭載し、2WD(FR)で、しかも6速MTのみというスポーツワゴンだ。他にも、専用エグゾーストシステムや車高を20mmダウンさせた専用サスペンションなどが備えられた。

2004年8月にマイナーチェンジが行われた。グレード構成はRX系とAR-X FOURに集約され、搭載エンジンも2.5L V6と3.5L V6の2機種となった。

前期に追加されたスポーティモデルのアクシスもラインナップするが、前期型とは異なり、3.5L V6には5速ATが組み合わされ、併せて2.5L V6×4速ATも設定された。また、2.5Lと3.5L車どちらも専用サスペンションやスポーツマフラー、スポーツタイヤを備えるアクシスSも用意されている。いずれも駆動方式は2WDのみとなる。

同時に内外装デザインがリファインされた他、4WDシステムが改良された。

2005年11月には一部改良が行われ、運転席電動シートを全車標準にするなど装備の充実化が図られた。

生産終了は2007年6月。すでに世の中はミニバンやSUVブームの真っ只中で、後継モデルが登場することはなかった。以上を踏まえ、オススメのグレードなどを見ていこう。


日産 ステージア(2代目▲専用設計されたリアサスペンションによって、広くて凹凸の少ないラゲージに。床下にトノカバーも収納できるサブトランクがあり、レバーを引くと床面の出口側がせり上がって荷物の出し入れが行える
日産 ステージア(2代目▲悪路走破性の高いAR-X FOUR。デビュー時のタイヤサイズは225/55R18と最も幅広かつ大径のタイヤを履く。なお、前期型と後期型で搭載エンジンが異なり、前期型は2.5L V6ターボ、後期型は3.5L V6となる

カスタムされていない中古車がオススメ

先述のとおり、価格上位を占めるのはスポーティなチューンなどが施されたカスタムカーだ。カスタムカーの場合、前オーナーとカスタム志向が合うことが前提だし、ハードに乗られていた場合は機関系への影響も見極めが必要だ。

もちろん、好みにぴったりはまればお得になる可能性もあるのだが、広くオススメすることはできない。

そこで今回オススメするのは、「荷物をたっぷりと載せられる手頃なLクラスのステーションワゴン」としてのステージアだ。

中でも2.5L V6を搭載した250RXの2WDは、4速ATということもあり、カスタマイズの対象になりにくく、支払総額40万円で十分見つけられるのでお手頃感があってオススメだ。

原稿執筆時点で11台見つかったが、うち8台がノーマルのため選びやすい。

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日産 ステージア(2代目)×「250RX・2WD」×全国

また、また家族でキャンプに出掛かけるという人なら、2.5 V6ターボ(前期型)か3.5L V6(後期型)を搭載したAR-X FOURがオススメだ。

こちらは車高が高いため、カスタマイズの対象になりにくいため、ノーマル物件の割合が高い。

また、現在のSUV全盛の中、まず車高の高いステーションワゴンというのがキャンプ場で目立つし、同じようなレガシィアウトバックやボルボ XC70よりもレア度が高い点も魅力だ。

ただしレア度が高い分、台数が少ないのがネックだが、それでも支払総額70万円前後で見つけられた。

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日産ステージア(2代目)×「AR-X FOUR」×全国

いずれも台数が少ないので、根気強く探す必要はあるが、格安でLサイズステーションワゴンを見つけることができるのは魅力的だ。

ただし、原稿執筆時点で平均走行距離は約9.8万kmで、生産終了から約15年経っていることを考えたら、購入後のメンテナンス費用はある程度用意しておいた方がいいだろう。

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文/ぴえいる、写真/日産

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。