マツダ CX-8 ▲「6人以上乗ることも多い」という場合にいちばん便利なのはミニバンなんでしょうが、ミニバンをあまり好まない場合には「3列シートのSUV」が何かとちょうどいいかもしれませんよ!

「大勢乗れる車なのに、走りもビジュアルも悪くない」という選択肢

2020年1月20日発売のカーセンサー3月号では「特徴を分けてみれば選びやすい! 今年からSUVがいいじゃない」という特集を展開している。

SUVといえば屈強なクロカン四駆がその原点ではあったものの、その後は、他ジャンルと文字どおりクロスオーバー(融合)しながら独自の進化を続けている真っ最中だ。

その中でも最近特に注目されているのが「3列シートのSUV」。

3列シートで6~7人が乗れる乗用車というと、これまでは「基本的に箱型のミニバン」しかなかった。それはそれでもちろん悪くはないのだが、ミニバンは、ボディ形状の関係でどうしても「運転する楽しみ」みたいなものは味わいにくい傾向がある。そしてそもそも「毎回7人乗るわけでもないのに、こんなに広大な車内スペースって必要なのか?」という疑問にかられることも多い。

だが「3列シートのSUV」であればいわゆるドライビングプレジャーもそれなり以上に堪能することができ、ビジュアル的にも「所帯じみた感じがしない」という利点があるのだ。

ということで、今注目したい3列シートSUV 5モデルをピックアップし、その使い勝手と中古車相場を探ってみよう。

マツダ CX-8(初代)

2017年9月に登場した、3列シートを全グレードに採用したマツダの最上級SUV。搭載エンジンは2.2Lディーゼルターボでスタートしたが、2018年10月に2.5Lのガソリンターボと自然吸気エンジンを追加した。

シート配列は全グレードともに1列目と3列目は2座だが、2列目はベンチシートの3人掛けとキャプテンシートの2人掛け(ウォークスルー可)、キャプテンシート+センターコンソールボックスの2人掛け(ウオークスルー不可)という3パターンが用意されている。

サイズ大きめなSUVだけあって、CX-8の3列目シートは「わりと普通に使える」という感じで、170cm級の成人でも無理なく過ごすことができるスペースが確保されている。「多人数を乗せる機会が多いのだが、どうしてもミニバンは嫌だ」という人にはうってつけの選択肢だ。

CX-8全体としての中古車相場は260万~450万円といったところ。エンジン別に見ると2.2Lディーゼルターボが260万~450万円付近で、2.5Lターボが330万~410万円、2.5L自然吸気が300万~440万円前後となっている。

とはいえCX-8の全流通台数の7割以上はディーゼルターボなので、豊富に流通している2.2XD系の中から自分の好みや条件に合う1台を探すのが得策だろう。

マツダ CX-8▲こちらがマツダ CX-8。上質感たっぷりなデザインとたたずまいもこのSUVの魅力です
マツダ CX-8▲車内寸法には限りがあるため、CX-8の3列目も決して「広大!」というほどではありません。しかし「普通の車の2列目に近いニュアンスで普通に使える」という希有な3列シートSUVなのです

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マツダ CX-8(初代)×修復歴なし×支払総額あり

ホンダ CR-V(5代目)

FF車のプラットフォームを流用した小型SUVの元祖といえるホンダCR-Vの最新世代は、2018年8月の登場。ただし最新世代のCR-Vは、小型SUVというよりは「アッパーミドル」と呼ぶ方がしっくりくるサイズと風格に生まれ変わっている。

搭載されるパワーユニットは1.5Lガソリンターボまたはハイブリッドで、3列シートを選択できるのは1.5Lターボの「EX」または「EX・Masterpiece」。これらの3列目の快適性は「まあまあ」といったところ。さすがに広大ではないのだが、緊急用としてではなく「通常の使用」もできなくはないレベル。

5代目CR-V全体の相場は260万~520万円付近と上下に幅広く、流通量も多いが、3列シート採用グレードに絞ると、EXの7人乗りは全国でわずか2台(2020年1月下旬現在)。そのため現実的には上級版であるEX・Masterpieceの7人乗り使用から選ぶほかない。その場合の中古車相場は290万~390万円あたりが目安となる。

ホンダ CR-V▲1.5Lターボの「EX」または「EX・Masterpiece」であれば3列シートが選べる5代目ホンダ CR-V
ホンダ CR-V▲写真はEX・Masterpieceの車内。3列目はやや狭いが、座ってみると意外と普通に座れる

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ホンダ CR-V(5代目)×乗車定員7名×修復歴なし×支払総額あり

レクサス RX(450hL)(2代目)

2015年10月に登場した現行型の2代目レクサス RXは2列シートが基本となるプレミアムSUVだが、2017年12月の一部改良時に3列シートのロングモデル「RX450hL」が追加された。

こちらは電動格納式のサードシートを採用した3列7人乗り仕様で、パワーユニットには3.5L V6ガソリンエンジン+モーターのハイブリッドシステム。また後部座席の閉塞感をやわらげるため、1列目から3列目にかけて乗員の視点を高くしていくという「シアタースタイル」が採用されている。

さらには3列目には専用のエアコンも搭載されるなど、「さすがはレクサスのプレミアムSUV」といえる1台に仕上がっている。

3列目の足元空間は決して広いわけではないのだが、「SUVの3列目」としては快適な部類に入るはず。

ただしRX450hLは流通量が少なく、相場も610万~800万円となかなかお高い水準ゆえ、実際に入手するのはそう簡単ではないかも。

レクサス RX▲現行型レクサス RXのロング版であるRX450hL
レクサス RX▲3列目の足元スペースはやや狭いが、3列シートSUVの中では「まずまず快適」な部類に入ります

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レクサス RX450hL(2代目)×乗車定員7名×修復歴なし×支払総額あり

三菱 アウトランダー(2代目)

2012年登場の三菱製ミドルサイズSUVで、プラグインハイブリッドEVシステムを採用した「アウトランダーPHEV」は特にスマッシュヒットした。とはいえ3列シートとなるのは残念ながら(?)2Lまたは2.4Lのガソリンエンジン仕様の方。

こちらの3列目も「あくまで補助的」といったサイズ感でしかないのだが、本来の主旨どおり補助シートとしてならば十分用は足せる。「普段は1~4名乗車だが、たまにそれ以上の人数を乗せることもある」というユーザーには向いているだろう。

現行型の2代目アウトランダー全体の中古車相場は130万~300万円といったところで、マイナーチェンジを受ける前の初期年式は130万~190万円付近、2015年6月に行われたマイナーチェンジ以降の後期型は170万~300万円あたりとなる。

前期型は総額160万円前後、後期型であれば総額220万円前後のゾーンに好バランスな個体が集まっているようだ。

三菱 アウトランダー▲人気のPHEVは2列5人乗りだが、ガソリン車では3列7人乗りとなる三菱 アウトランダー
三菱 アウトランダー▲3列目は主たるシートではなく「補助シート」だと考えるなら、まあまあ使えるはず

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三菱 アウトランダー(2代目)×乗車定員7名×修復歴なし×支払総額あり

日産 エクストレイル(3代目)

日産 エクストレイルはアウトドアを楽しむユーザーから人気の中型SUVで、現行モデルはその第3世代として2013年10月に登場。独自の4WDシステムは路面状況を問わず常に車体を安定させ、メインとなる直噴2Lガソリンエンジンは燃費も良好。

3代目のエクストレイルでは「20S」を除く全ガソリン車に3列7人乗り仕様を設定。その他、2015年4月にはハイブリッドも途中追加されたが、こちらは2列5人乗り仕様のみとなる。

3列目シートはあくまで「プラス2」といったサイズ感で、大人が長時間座るにはやや不向き。とはいえ「エマージェンシー用」として割り切れるならば、決して悪くはない選択だ。

2020年1月下旬現在、3代目エクストレイルの流通台数は全国で2605台。そのうち3列7人乗り仕様は283台とやや少なく、その相場は120万~290万円というのがひとつの目安。中古車として好バランスで探しやすいのは、走行3万~4万km台で総額190万円前後の「20Xエマージェンシーブレーキパッケージ」だろう。
 

日産 エクストレイル▲20Sを除くガソリン車では3列7人乗りを選ぶことができる現行型日産 エクストレイル
日産 エクストレイル▲こちらも3列目は「あくまで緊急用」的にとらえるべきニュアンス

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日産 エクストレイル(3代目)×乗車定員7名×修復歴なし×支払総額あり
文/伊達軍曹、写真/マツダ、ホンダ、トヨタ、三菱自動車、日産
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。