ラシーン専門店で聞いた、長~く付き合える個体選びのコツ
2019/10/08
「車を見に行っても、どこをどう見たらいいのか……」
そんな方々の悩みを解消すべく、実際に販売店で実車を見ながらチェックポイントを解説。これを参考に、気になる車に会いに行こう!
カクカクしたフォルムが、今再び人気の小型SUV
ラシーンは、当時のサニー/パルサー系の4WDシャシーを使って制作した試作車を1993年の東京モーターショーに参考出品したところ、市販化の要望が多数寄せられて販売が決定したモデルだ。
パオやフィガロといった日産パイクカーシリーズのひとつで、独特なルックスは流線形が多い現代の車とは一線を画す。
レトロ感漂う四角いボディや、SUVながらコンパクトなサイズ感、そしてしっかり4WDである点などが、唯一無二の存在として自分らしさを打ち出したい高感度なオーナーを中心に長らく人気を博している。
そのスタイルはノーマルでも十分個性的だが、「塗装の塗り替えやタイヤホイールの変更など、見た目をカスタムした車両が人気」と言うのは、年間数十台のラシーンを販売するBLOOOM東戸塚の吉原さん。
20年近く前の車だが、アフターパーツは豊富で自分だけの1台を作り上げる楽しみもあるラシーンをチェックした。
今回見た車
日産 ラシーン
1993年に行われた東京モーターショーに参考出品され、大反響を受けて市販化された。車名は「羅針盤」から取られており、日産のサイトに使われていた「日産羅針盤」の名称も、当初ラシーンの情報を公開するために作られたことに由来している
●本体価格/119.8万円(税込)
●年式/2000年式
●走行距離/9.6万km
●修復歴/なし
●乗車人数/5人
●エンジン/1.5L ガソリン
CHECK POINT 1
屋根とボンネットの塗装が色あせていないか確認
最終型でも20年近くが経過しているため、塗装の劣化が進んでいる物件も少なくない。
特に熱や太陽光の影響を受けやすいボンネットやルーフは色あせしやすい部分だ。
塗装状態がいい物件を狙うのもアリだが、オプション品や走行距離などの条件でどうしてもその物件が良ければ丸ごと塗り替えてしまうというのも選択肢のひとつ。
その場合は完全なオリジナルカラーではなく、他車種の純正色にすればメンテナンスしやすい。
CHECK POINT 2
ホース類に水漏れの跡がないかをチェック
ラシーンに限らず年数が経過し走行距離がかさんだ車両に共通する事項ではあるが、ラジエターの水漏れは注意。
ラジエター本体は当然、ホース類も経年劣化している可能性があるので、冷却水が漏れた形跡がないか、ボンネットを開けて見ておきたい。
また、10万㎞オーバーの物件ではセルモーターの不良も見受けられるそうだ。
バッテリーが正常なのに、セルを回して1回でエンジンがかからない物件は注意が必要だ。
CHECK POINT 3
車内の開放感がアップするサンルーフ装着車は……
上級グレードのタイプ3に標準、タイプ2にはオプション設定されていたサンルーフ。
ルーフの前面がすべてガラスになる大型なもので、開放感は抜群。ただし年式も経過しているので、問題なく作動するか、雨漏りがした形跡がないかはチェックしたいところ。
トランク容量が少ないためルーフボックスで収納スペースを確保する人が多いが、そうすると開けた際の開放感が失われる。
購入前から何を優先すべきかを考えて選ぼう。
取材協力
タックス横浜 BLOOOM東戸塚 吉原 勉さん
全国的にも有名なラシーンの専門店。店長の吉原さんのもとには、日々オーナーや購入検討者からの相談が絶えない。
住所:神奈川県横浜市戸塚区名瀬町1091-1
電話:045-814-0510
販売店がよく受ける質問ベスト3
★第3位
燃費はどれくらいですか?
エンジンが3種類用意されるラシーンですが、どの排気量でも全車4WDなので街乗りだと7㎞/L程度とあまり良くはありません。ただ、高速道路だと10㎞/L以上は走ります。
★第2位
エアコンの効きはどうですか?
エアコンに不安を感じるお客さまも多いですが、故障はほぼ見たことがありません。効きも不満のないレベルです。ただ、壊れない保証はないので購入前にしっかり動作チェックをしてください。
★第1位
何万㎞まで走れそうですか?
ベースがサニー系なので構造はシンプル。しっかりとしたメンテナンスを行っていればかなり長く乗れるハズです。うちで使っている代車は26万㎞オーバーですがまだまだ元気ですよ!
また、ちょっとした個性をプラスしたい場合は、タイヤを替えてみるのが近道とのこと。
170 ㎜とサニーに比べて最低地上高が高いラシーンだが、よりSUVらしさを強調したいという人にはオールテレーンタイヤなど、ややゴツゴツしたルックスのオフロード系タイヤの装着がオススメだという。
リフトアップスプリングなども存在するが、工賃やアライメント調整などが必要になるため、少々ハードルが高い。
タイヤホイールも黒いシンプルなものにすれば、よりギア感が増す見た目になる。
今回取り上げたラシーンのように、車の雰囲気を変えて個性を出す車が、ひそかなブームになっている。
9月20日発売のカーセンサーでは、そんな“個性車”を紹介しているので、こちらも合わせてチェックしてみてほしい。
※※雑誌版カーセンサー 2019年11月号(2019年9月20日発売)の記事「気になるクルマに会いに行こう」をWEB用に再構成して掲載しています。
訪問した人
小鮒康一(フナタン)
スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。
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