▲カーセンサー6月20日発売号の本誌の表紙の車は現行型のアルファード! 2つの絵の違いはわかりますか? ▲カーセンサー6月20日発売号の本誌の表紙の車は現行型のアルファード! 2つの絵の違いはわかりますか?

最近、国産車は「現行型」の賞味時期が長い

車を買うなら新車がいい! と思っている人も多そうですよね。

でも、近年は新車の価格が上がっているため、昔だったら新車で買えたはずのモデルに手が届きにくい……という人もさらに多いハズ。

そこで今回、カーセンサー本誌の特集では、見た目や機能は新型とほとんど変わらないけれど、購入価格を低く抑えられるEARLYモデルを取り上げました。

EARLYモデルとは「現行型だけど、マイナーチェンジ前の車」のこと。

以前の国産車は、多くの車種できっちり2年おきの小変更・一部改良(マイナーチェンジ)、4年おきの全面改良(フルモデルチェンジ)が行われ、数年で型落ちになってしまうということが多くありました。

しかし、最近はモデルチェンジのサイクルが長くなっているんです。
 

▲例えば人気の高いトヨタ アクア。現行型ながら今年ですでに登場から8年目を迎えています▲例えば人気の高いトヨタ アクア。現行型ながら今年ですでに登場から8年目を迎えています

つまり、デザインや機構が古くなっていない「現行型」を旬とするならば、「オイシイ時期が長くなった」といえるのです。
 

EARLYモデルがアツい、トヨタ アルファード

現行型の生産期間が長く、新車の販売台数が多い人気車種では、「現行型の中古車」がたくさん流通します。

古い車でも登録から4年程度なので状態の良いものが多い。

さらにマイナーチェンジ前のEARLYモデルであれば、新車や後期型のモデルに比べてとてもお買い得です。

その代表例が、華やかなエクステリアと大きな車体、広くて快適な室内で人気の高い「トヨタ アルファード」ではないでしょうか。

フルモデルチェンジで3代目となる現行型になったのは2015年。

2018年にはマイナーチェンジで顔つきや装備などに改良を受け、「後期型」となりました。

でも、その違いはオーナーや車に詳しい人以外だと「言われてみれば……」という感じなのではないか、と思います。

そこで、マイナーチェンジ前後の現行型アルファードを並べて、「間違い探し」風のイラストを描いてみました。

今回モチーフにしたのは、新車(右側)が「2.5 S Aパッケージ 2WD、ボディカラー:ブラック、Tコネクトナビ付き、メーカーオプション/オリジナルアクセサリーなし」で、中古車価格はおおむね422万円です。

一方、左側の「EARLYモデル(現行型の中古車)」は、3年落ちの2016年型「2.5 S Aパッケージ」で、同年式・同グレード2019年6月12日現在でカーセンサーに掲載されていたのは29台。

うち、大きくカスタムしていない中古車は24台で、その価格帯は330万~370万円台、中心価格帯は340万円。走行距離は最大でも5万km台でした。

つまり、中古といえども現行型、しかも数年落ちで低走行でも、新車価格に比べるとグッとお買い得になるということ!

例えば車両価格350万円前後なら、新車の「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」の上位グレードが購入できますが、中古ならば同じ予算で現行型のアルファードが買えるということになります。
 

国産高級ミニバン市場をけん引するアルファード/ヴェルファイア

アルファードは2002年に初代がデビューしました。

それまでも高級で装備が多く、豪華な多人数乗りができる車の需要はありました。
 

▲こちらが初代アルファードです▲こちらが初代アルファードです

かつては「ハイエース」のような商用バンをベースにしたワンボックスワゴンが主流でしたが、上級グレードになると内装や装備はクラウンに匹敵するほどでした。
 

▲1995年には、短いボンネットをもつ欧州向けハイエースをベースにした3ナンバーサイズの大型高級ミニバン「グランビア」が登場▲1995年には、短いボンネットをもつ欧州向けハイエースをベースにした3ナンバーサイズの大型高級ミニバン「グランビア」が登場
▲ライバルの日産が1997年に「エルグランド」を投入したことで、一気に高級ミニバンの市場が活性化しました▲ライバルの日産が1997年に「エルグランド」を投入したことで、一気に高級ミニバンの市場が活性化しました

FR(後輪駆動車)で3Lオーバーのエンジンを搭載していたエルグランドに対し、アルファードはFF(前輪駆動)で室内を広くし、税金の安い2.4Lエンジンを設定。

瞬く間に高級ミニバン市場をけん引していきました。

2008年には2代目にスイッチ。初代では販売店に合わせて「アルファードG」「アルファードV」としていたのですが、後者は「ヴェルファイア」として独立。現在の「アル/ヴェル」体制が確立されました。

内外装はブラッシュアップされ、アルファード/ヴェルファイアの人気を絶対的なものとすることに成功しています。
 

現行型のマイナーチェンジ前後の違いとは?

そして現行型アルファードは、前述のように2015年に登場、2018年にマイナーチェンジを受けています。

外観では、顔つきが最大の変更ポイント。グリルはより大きく、ヘッドライトも派手になりました。
 

▲テールランプも意匠が変えられて赤い部分の面積が増えていますが、これはまさに「言われないとわからない」レベルです▲テールランプも意匠が変えられて赤い部分の面積が増えていますが、これはまさに「言われないとわからない」レベルです

内装もメーター、シートなどに細かな変更が行われています。

フロントマスクは、イラストでぜひ違いを探してみてください。なお「間違い探し」の答えは、車以外にもありますよ!
 

文・絵/遠藤イヅル、写真/カーセンサー、トヨタ、日産

遠藤イヅル(えんどういづる)

イラストレーター/ライター

遠藤イヅル

1971年生まれ。大学卒業後カーデザイン専門学校を経て、メーカー系レース部門のデザイナーとして勤務。その後転職して交通系デザイナーとして働いたのち独立、各種自動車メディアにイラストレーター/ライターとしてコンテンツを寄稿中。特にトラックやバス、商用車、実用的な車を好む。愛車はプジョー 309とサーブ 900。