▲詳しくない人からすると「けっこう高そう」にも見えるボルボ V60という車。実際、新車はそれなり以上のお値段ですが、中古車であれば好条件な物件であっても意外と安いのです! ▲詳しくない人からすると「けっこう高そう」にも見えるボルボ V60という車。実際、新車はそれなり以上のお値段ですが、中古車であれば好条件な物件であっても意外と安いのです!

「V60は300万円以上」という間違ったイメージ

筆者の場合は中古輸入車の専門記者をかれこれ20年以上もやっているため、街を行く輸入車を見れば1.7秒ほどで、そのおおむねの中古車相場が脳裏に浮かぶという特殊技能をもっている。

だが世の大半の人は当然だがそんな技能をもっていないため、しばしば輸入車の価格を見誤る。

例えばボルボである。

過日、知人とボルボ V60について話をしていたのだが、どうも会話がかみ合わない。

知人「ボルボのV60っていうステーションワゴンあるじゃない? あれ、カッコよくて好きなんだけど、まだまだ高いんだろうね」

わたし「うむ、そうだな。特にシュッとした細めのヘッドランプはかなり素敵だと思うが、もう少しだけ安価だと助かるのだがな」

知人「は? V60のヘッドランプって細めじゃないでしょ? まぁそれはさておき、中古車でも300万円以上はするんだろうなあ……」

わたし「は? V60の中古車なんてまだほとんど流通していないぞ」

知人「は? たくさんあるはずだけど?」

わたし「……は?」

その後判明したところによると、わたしは2018年9月に登場した現行型(2代目)の新車を念頭に話していたのに対し、知人は初代ボルボ V60の中古車について話していたのだった。

そして知人は、初代V60の中古車も「300万円以上はするはず」と思い込んでいるのだった。

会話の齟齬について軽く謝罪したのち、わたしは知人に「その認識は間違っている。旧型(初代)の中古車であれば、ボルボ V60は意外と安いのだ」ということをこんこんと説明したのだった。

▲クーペを思わせる流麗なデザインをもつボルボのミドルクラスステーションワゴン。ボルボ独自の衝突安全機構「HUMAN SAFETY(ヒューマン・セーフティ)」なども充実している。写真は2013年途中からの後期型▲クーペを思わせる流麗なデザインをもつボルボのミドルクラスステーションワゴン。ボルボ独自の衝突安全機構「HUMAN SAFETY(ヒューマン・セーフティ)」なども充実している。写真は2013年途中からの後期型
▲テールゲートへ流れるルーフラインや、シャープなリアウインドウなど、クーペ的なデザインではあるが、外観から想像するよりも荷室容量は多い。後席は4:2:4の分割可倒式▲テールゲートへ流れるルーフラインや、シャープなリアウインドウなど、クーペ的なデザインではあるが、外観から想像するよりも荷室容量は多い。後席は4:2:4の分割可倒式

狙い目は「総額200万円ちょい~」の後期型T4

いきなり大ざっぱな結論から申し上げると、旧型(初代)ボルボ V60の中古車は300万円どころか総額60万円ぐらいから探すことができる。

ほとんど軽自動車レベルである。

ただしこの「総額60万円ぐらい」というのは2011年から2013年途中まで販売された前期型の、なおかつ過走行車や多走行車である場合がほとんどだ。

前期型が悪いわけでは決してないが、2代目も登場したこのタイミングで旧型V60を買うのであれば、前期型のデザインはさすがに少々古く見えてしまう。

また先進安全装備の充実っぷりから考えても、2013年8月以降の後期型を探す方がベターだと考えられる。

▲こちらは2011年から2013年途中までの前期型。個性的で、悪くないビジュアルではあるが▲こちらは2011年から2013年途中までの前期型。個性的で、悪くないビジュアルではあるが
▲こちらが2013年途中からの後期型。ビジュアルもさることながら、「シティ・セーフティ」などの安全装備がこのタイミングから強化されたという点もデカい▲こちらが2013年途中からの後期型。ビジュアルもさることながら、「シティ・セーフティ」などの安全装備がこのタイミングから強化されたという点もデカい

その場合に想定される予算と、その予算で狙える年式およびグレードはおおむね以下のとおりだ。

【総額200万円ちょいコース】
● 14年式 V60 T4系各種
この時期のT4というのは1.6L直噴ターボエンジンを積む、V60の中では最もベーシックなカテゴリーだ。そして同じT4の中でもいくつかのグレードに細分化される。

・T4:ベースグレード
・T4 SE:17インチホイールなどが付く上級グレード
・T4 Rデザイン:専用の内外装などを備えたスポーティグレード
・ラグジュアリーエディション:2014年5月発売の特別仕様車

※先進安全装備やレザーシートなどがあらかじめパッケージされている

主にはこれらのグレードの走行2万km台から4万km台までの物件を、「総額200万円ちょいから」といったニュアンスで探すことができるはずだ。

その際、内外装コンディションの良し悪しを確認するのは当然として、「セーフティ・パッケージ」の有無も確認し、そして重視することを筆者としてはオススメしたい。

▲後期型のセーフティ・パッケージにはレーダー方式の「BLIS(ブラインド・スポット・インフォメーション・システム)」や、前向き駐車の駐車場から出る際に車両の後方を監視する「CTA(クロス・トラフィック・アラート)」、「LCMA(レーンチェンジ・マージ・エイド)」などが追加されている▲後期型のセーフティ・パッケージにはレーダー方式の「BLIS(ブラインド・スポット・インフォメーション・システム)」や、前向き駐車の駐車場から出る際に車両の後方を監視する「CTA(クロス・トラフィック・アラート)」、「LCMA(レーンチェンジ・マージ・エイド)」などが追加されている

クリーンディーゼルの「D4」は総額280万円ぐらいから

わたし「……ということで、旧型後期の中古車ならば総額200万円ちょいぐらいから、けっこういい感じのT4系が探せるはずだ。1.6Lだが、直噴ターボなので動力性能は十分であるぞ」

知人「……」

わたし「まだ何か問題でも?」

知人「僕はクリーンディーゼルってやつにちょっと興味があるのだが」

うむう、その場合はさすがに「総額200万円ちょい」だと少々難しくなる。

知人はおそらく2015年7月に追加された「D4ユニット」のことを指しているのだと思うが、確かにD4と名が付く旧型V60はなかなか素晴らしい。

大小2基のターボチャージャーで過給される2Lディーゼルエンジンを搭載し、最高出力は190psと強力で、そして最大トルクは40.8kg-mと猛烈に極太。そしてカタログ燃費も20km/L以上である。

▲極太トルクによる快適きわまりない巡航性能と燃料費の安さが魅力となるV60 D4。中古車相場がもう少しだけこなれていれば間違いなく「買い」ではあるのだが▲極太トルクによる快適きわまりない巡航性能と燃料費の安さが魅力となるV60 D4。中古車相場がもう少しだけこなれていれば間違いなく「買い」ではあるのだが

だが比較的新しめの人気グレードだけあって、さすがに「格安」ではない。

具体的には、走行4万km台までの個体を探すとすると、総額は安くても250万円から。

ボルボならではの先進安全装備が充実している個体だと総額280万円~というのが大まかな相場イメージだ。

それでも500万円級だった新車時価格を考えれば十分お安いわけだが、そこまでの金額を投入するのであればいっそ現行型を……という気がしないでもない。

わたし「……というあたりをどう判断するかは貴君に任せるほかない。
だがいずれにせよ旧型後期の中古車であれば、ボルボ V60は探し方次第では意外と安いのだ」

わたしはそのように会話を締め、以降の判断は知人の価値観とフトコロ具合に委ねることにした。

▲いかにも北欧の車らしいしゃれたインテリアもV60の魅力のひとつ。知人がT4とD4のどちらを選ぶかは不明だが、いずれにせよ「しゃれたワゴンがある生活」を楽しんでほしいとは思う▲いかにも北欧の車らしいしゃれたインテリアもV60の魅力のひとつ。知人がT4とD4のどちらを選ぶかは不明だが、いずれにせよ「しゃれたワゴンがある生活」を楽しんでほしいとは思う
text/伊達軍曹
photo/ボルボ・カーズ

▼検索条件

V60(初代後期型)T4系各種×修復歴なし×総額260万円以下×走行距離4万㎞台まで

▼検索条件

V60(初代後期型)D4系ディーゼル×修復歴なし×支払総額あり×走行距離4万㎞台まで