▲「この年になってホットハッチ?」と思うかもしれないが、まあ聞いていただきたい。実はこの現行スイフト スポーツという車、中高年にもけっこうハマるはずなのだ! ▲「この年になってホットハッチ?」と思うかもしれないが、まあ聞いていただきたい。実はこの現行スイフト スポーツという車、中高年にもけっこうハマるはずなのだ!

無駄に輸入車にこだわっていた自分を叱りつけたい

まだまだ元気ではあるものの、若い頃とまったく同じようにはいかなくなる50代、60代。

筆者を含むそんな中高年世代は車選びに関しても、昔とはまたちょっと違う「中高年ならではの指針」を持つべきだと考えている。

不肖筆者が考える「中高年ならではの指針」とは、とりあえず以下の4点だ。

1. つまらん車は買わない
(人生の残り時間を無駄使いしたくない)

2. 無駄に大きな車は買わない
(視力も衰えてきてるし、乗せる人の数も少なくなってきてるし)

3. ある程度「上質」な車を選ぶ
(ボロい車だと貧相に見えてしまうお年頃だし)

4. 先進安全装備の有無にこだわる
(加齢とともに凡ミスは必ず増えるので)


以上を踏まえ、この連載めいたシリーズの開始当初から筆者は数々の輸入車を同世代の各位に提案してきた。

だが過日、ふと思った。

わざわざ輸入車にこだわる意味ってあるのだろうか?

……10分ほど考えてみたが、そこにこだわる意味は特にない、という結論になった。

そして同時に「ならばこの車なんて、我ら中高年にはウルトラ最高の選択肢なのではないか?」とも思った。

「この車」とは、静岡県浜松市に本社を置くスズキ株式会社が作っている痛快極まりない小型ハッチバック、現行スイフトスポーツのことである。

▲こちらがその現行スズキ スイフトスポーツ。1.4Lの直噴ターボエンジンを積む3ドアハッチバックで、トランスミッションは6MTと6速ATの2種類が用意されている▲こちらがその現行スズキ スイフトスポーツ。1.4Lの直噴ターボエンジンを積む3ドアハッチバックで、トランスミッションは6MTと6速ATの2種類が用意されている

ホットハッチだが、中高年の身体と腰にも意外と優しい

有名な車ゆえ、過剰な解説は不要だろう。スイフトスポーツとは、その初代は2003年に登場したスズキの非常にスポーティな3ドアハッチバック。

その後フルモデルチェンジを重ね、現在は2017年9月に登場した第4世代が新車として販売されている。

現行スイフトスポーツ(以下、たまにスイスポとも略す)が搭載するエンジンは、最高出力140psの1.4Lダウンサイジングターボエンジン。

低回転域から力強いトルクを発揮し、そして高回転域まで一気に吹け上がることもいとわない素晴らしいエンジンだ。

そしてボディ各部はかなり強化されているにも関わらず、車重はわずか970kg(※AT仕様は990kg)。

そして足回りの出来も素晴らしく、スポーティな車だけに比較的硬めではあるのだが、中高年の身体と腰には厳しい突き上げ感のようなものはほとんどなく、むしろしなやかにも感じられる。

そんな素性の車だからして、現行スイフトスポーツの運転は非常に楽しい。

「ちょっとそこまで」みたいなシーンであっても非常に痛快であり、個人的には、近年試乗した車の中では(現在の筆者の自家用車である現行スバル XVと並んで)ベストな1台だと考えている。

「私的カー・オブ・ザ・イヤー2018」を勝手に授与させていただきたいほどだ。

そしてそんな現行スイスポは、基本的には比較的若い世代の男性をターゲットとして作られた車だと推測するわけだが、実は我ら中高年世代にとってもかなり最適なはずなのだ。

次章にて、そこについてご説明申し上げる。

▲現行スイフトスポーツはホットハッチであることは間違いないのだが、何というか、大人が乗るにふさわしい落ち着きというか「懐の深さ」「上質な乗り味」みたいなものも感じられる車なのだ▲現行スイフトスポーツはホットハッチであることは間違いないのだが、何というか、大人が乗るにふさわしい落ち着きというか「懐の深さ」「上質な乗り味」みたいなものも感じられる車なのだ

「中高年の車選び4ヵ条」を(ほぼ)完全にクリアしている

冒頭近くで挙げた「中高年の車選び4ヵ条」と現行スイフトスポーツを照らし合わせてみよう。

1. つまらん車は買わない
ここに関しては何も言うことはない。前章で申し上げたとおり、現行スイスポは現行販売車の中ではベストに近いほどの楽しさが感じられる車だ。

2. 無駄に大きな車は買わない
現行スイスポのスリーサイズは全長3890mm x 全幅1735mm x 全高1500mm。なかなかコンパクトである。だが大人4人が割と普通に座れもする。

3. ある程度「上質」な車を選ぶ
ここだけは少々微妙かもしれない。見方にもよるだろうが。

4. 先進安全装備の有無にこだわる
「セーフティパッケージ装着車」であれば完全に問題なし。中高年の若干衰えたモロモロを的確にサポートしてくれるはずだ。

要するに「3」以外はほぼノープロブレムというか、条件にバッチリ合致するということだ。

「小ぶりで若干若作りな3ドアハッチバックが、我ら渋い(?)中高年に似合うかどうか」という問題は各自で判断していただくほかないが、筆者個人としては「意外とマッチするのでは?」と経験上考えている。

もちろん諸説あるだろうが。

▲インテリアはいかにもホットハッチらしい「赤」が多用されているため、中高年のおっさん的には若干恥ずかしいと感じることも。だが赤といっても落ち着いたニュアンスのシブい赤なので、まあ大丈夫といえば大丈夫▲インテリアはいかにもホットハッチらしい「赤」が多用されているため、中高年のおっさん的には若干恥ずかしいと感じることも。だが赤といっても落ち着いたニュアンスのシブい赤なので、まあ大丈夫といえば大丈夫

新車との価格差がデカいわけではないが、それなりにお買い得

あとは「お値段」の問題である。現行スイフトスポーツをもしも新車で買うとなると、車両本体価格は以下のとおりだ。

●6MT仕様:183万6000円
●6速AT仕様:190万6200円


これに対して現在の中古車相場はおおむね下記のとおり。

●6MT仕様:総額約170万~約210万円
●6速AT仕様:総額約180万~約210万円


このように並べてみると「新車の方がいいじゃない!」と思うかもしれない。

しかし上記は「新車本体価格」と「中古車の支払総額」を比べているため、実は比較としてそもそも間違っている。

新車を買うとなると、軽く前述した「セーフティパッケージ」は中高年的に必須であり、もしかしたらさらに値が張る「全方位モニター用カメラパッケージ」も付けたくなるかもしれない。

加えてカーナビやフロアマット等々の必須オプションを付けたうえで諸費用も合わせ、さらにたぶんあるはずの値引きも考慮すると、新車の方の支払総額はおおむね下記あたりとなるはずだ。

●6MT仕様総額:220万~230万円ぐらい
●6速AT仕様総額:230万~240万円ぐらい


……どうだろうか?

これでもまだ少々微妙な差額かもしれないが、手持ちのお金は正直なるべくセーブしておきたい中高年としては、あえて中古車(もちろんかなり低走行なモノ)を選ぶ価値はそれなりにあるように思えてならない。

もちろん最終的なご判断は各位に委ねるほかないが、筆者としては強烈に推したい現行スイフトスポーツである。

そしてスイスポというと6MT仕様が流通の中心ではあり、また人気でもあるのだが、筆者の試乗経験から「6速ATでも十分以上にいい感じですよ!」とは、最後に申し上げておきたい。

▲こちらは定番の6MT仕様。マニュアルトランスミッションの操作をめんどくさいと思わないのであれば、6MTの方が基本的にはオススメとなる▲こちらは定番の6MT仕様。マニュアルトランスミッションの操作をめんどくさいと思わないのであれば、6MTの方が基本的にはオススメとなる
▲こちらは6速AT仕様。MTであることに特にこだわらないなら、こちらも十分オススメできる。最新世代の多段ステップATなので、ひと昔前のATと違ってかったるさはまったくない▲こちらは6速AT仕様。MTであることに特にこだわらないなら、こちらも十分オススメできる。最新世代の多段ステップATなので、ひと昔前のATと違ってかったるさはまったくない
text/伊達軍曹
photo/スズキ

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総額210万円以下×支払総額あり×修復歴なし