絶滅危惧車のS90ロイヤルにパワーはいらない……大事なのは快適性と安全性だ!
2018/09/09
土俵を絞って勝負したセダン
1990年から販売されていたボルボ 940/960の名称がS90となったのが、1997年のことだった。とはいえS90、1998年12月には生産をいったん終了し2016年まで“不在”となっていた。
そんなS90に設定されていたロングモデルが、今回紹介する全滅危惧車『S90ロイヤル』だ。
全長4870mmだったS90のホイールベースを150mm伸ばし、威風堂々の全長5m超えとなった。それでいて、値段はドイツ勢のフルサイズセダンよりは安い、580万~700万円という設定だった。
S90の動力性能をライバルと比較すると、最高出力は200psしかなかった。やみくもにライバルと同じ土俵に立つのではなく、快適性と安全性に絞ることで車両価格を抑えていたのかもしれない。
2代目S90も北欧デザインを強調しながら、4気筒よりも気筒数の多いエンジンは採用しない、というスタンスに独自の戦略が垣間見られる。
なお、S90ロイヤルのプロモーション動画は面白く、車がステイタスシンボルであることを強調しながら、世界の首脳陣の移動にS90ロイヤルが提供されたシーンを織り交ぜていた。
また、S90ロイヤルの優れた運動性能をイメージさせたかったのか、FRであることを強調したかったのか、暴漢に行く手を阻まれたあげくスピンターンをするシーンがある……。あまりのシュールさに苦笑してしまう。
S90ロイヤルには5シーター、2タイプの4シーターが設定されていた。
4シーターは純粋にリアシートが左右独立式で中央部分にシートをもたないものと、メーカーオプションで「コンフォートパッケージ」と呼ばれた完全独立型(センタートンネル上部に専用の各種コントロールやドリンクホルダーを配置)がラインナップされていた。
最も衝撃的だったのは、日本限定30台だったエルメス仕様だろう。
ベースは4シーターのコンフォートパッケージで、本革にはケリーバッグと同じ材質ものを採用していた。フロント・リアシート、フロント・リアコンソール、ドアパネル、ステアリングホイール、ハンドブレーキレバー、アシストグリップ、サンバイザー、専用キーホルダー、車検証入れまでがエルメスだった。
かつてボルボ“らしさ”といえば、角ばったデザインだった。S90は今となっては貴重なボルボのFR車であるし、ボルボ最後の角ばったデザインをまとっていた。
そして、ロイヤルはやたらリアドアが長く見えてユニーク。個人的にはアストンマーティン ラゴンダ、マセラティ ロイヤルに似た面白さすら感じる。
唯我独尊とまでとは言わないが、S90ロイヤルを振り返ってみればニッチ狙いだったし、個性派だったことに気づかされる。絶版になってから20年が経過し、そろそろネオクラシックとしてその価値が見いだされてもいい頃だろう。
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