▲かなりエココンシャスでありながら、その気になれば豪快な走りも楽しめる「フォルクスワーゲン ゴルフGTE」は、酸いも甘いもかみ分けた中高年世代に結構ハマる車かも? ▲かなりエココンシャスでありながら、その気になれば豪快な走りも楽しめる「フォルクスワーゲン ゴルフGTE」は、酸いも甘いもかみ分けた中高年世代に結構ハマる車かも?

落ち着いた雰囲気でありながら、実は時おりスポーティ

近頃なんとなく思うのは、10代、20代ぐらいの若者と筆者のような中高年(50代)では、その肉体も言語も文化も、もう何もかもが違っているよなぁ……ということだ。

そして、もしもそうであるならば、「車の選び方」というかそれに対する考え方も、若衆と中高年では大いに違ってしかるべきだろう。

ということで筆者がこのところ考えているのが、「中高年の車選び4ヵ条」。それは、さしあたり以下のとおりだ。

1. つまらん車は買わない
(人生の残り時間も正直少ないですから、ムダな時間は過ごしたくない)

2. あまり大きな車は買わない
(若い頃と比べれば同乗者も少ないでしょうし、空間認識能力も落ちてそうだし)

3. ある程度「上質」な車を選ぶ
(中高年があまりにも安いモノを身につけると、みすぼらしい感じに見えてしまう危険が)

4. 先進安全装備の有無にこだわる
(加齢とともにヒヤリ・ハットは必ず増える)

以上を踏まえ、過日は旧型アウディ TTというちょっとハンサムなドイツ製2+2クーペを推奨させていただいた。



が、よくよく考えると旧型TTはあまりにもハンサムすぎ、中高年的にはもうちょい落ち着いた感じの車種の方が好ましいのではないか? とも思うに至った。

例えば、フォルクスワーゲン ゴルフGTEである。

ゴルフGTEとはどんな車なのか? そしてなぜ、中高年にはゴルフGTEがいいのか? 次章以降、順を追って理由をご説明しよう。

▲こちらがそのフォルクスワーゲン ゴルフGTE。1.4Lの直噴ターボエンジンと電気モーターを組み合わせた、フォルクスワーゲンとしては初のプラグインハイブリッド車▲こちらがそのフォルクスワーゲン ゴルフGTE。1.4Lの直噴ターボエンジンと電気モーターを組み合わせた、フォルクスワーゲンとしては初のプラグインハイブリッド車

近所を走る際はほとんどEV。しかし豪快な走行モードも用意

まずはフォルクスワーゲン ゴルフGTEという車に関する簡単なおさらいから。

ゴルフGTEは、現行フォルクスワーゲン ゴルフ(通称ゴルフ7)に2015年9月に追加された「ゴルフのプラグインハイブリッド」。そのシステムは、最高出力150psの1.4L直噴ターボエンジンと、109psの電気モーターを内蔵する6速DSG(DCT)、そして容量8.7kWhの走行用リチウムイオンバッテリーで構成されている。

走行モードは、電気モーターだけで走る「Eモード」と、エンジンとモーターを効率よく使い分けながら走る「ハイブリッドモード」、そしてエンジンとモーターの両方を使って力強く走る「GTEモード」の計3種類。

純EVとして走る「Eモード」での航続距離は最長53.1kmで、速度的には130km/hで走行することも可能(まぁ、ここは日本なんで、そんなに出せませんが)。バランスの良い「ハイブリッドモード」でのカタログ燃費(JC08モード)は23.8km/Lだ。そして強力な「GTEモード」にすれば、0-100km/h加速7.6秒、最高速度215km/hというかなりの韋駄天ぶりを発揮する。

走行用バッテリーの充電は、フロントグリル中央にある「VWエンブレム」の背後にある充電ソケットを介して行う。満充電までにかかる時間は、200Vの家庭用電源で約3時間だ。

新車時価格は499万円となかなかお高いレベルだったが、現在の中古車相場は2016年式の低走行物件でも総額260万円~というイメージである。

▲EVとして走る「Eモード」での航続距離は最長で53.1km。図版は、バッテリーの充電、量を優先して回復させる「バッテリーチャージモード」と「バッテリーホールドモード」の模式図▲EVとして走る「Eモード」での航続距離は最長で53.1km。図版は、バッテリーの充電、量を優先して回復させる「バッテリーチャージモード」と「バッテリーホールドモード」の模式図
▲外部電源による走行用バッテリーの充電はココから行います▲外部電源による走行用バッテリーの充電はココから行います

3種類の走行モードを駆使すれば楽しみ方は自由自在

それではこのフォルクスワーゲン ゴルフGTEという車を、冒頭で挙げた「中高年の車選び4ヵ条」と照らし合わせてみようではないか。

まずは「1. つまらん車は買わない」だが、ゴルフGTEは、なんというか非常に「つまる車」である……というのも日本語として少々おかしいが、とにかく「つまらない」なんてことは一切ない車だ。

プラグインハイブリッドシステムの関係で車重は1580kgと少々重めだが、ハンドリングはかなり洗練されている。これについては、アンダーステアを抑え込む電子制御ディファレンシャルである「XDS」の働きもかなり有効なようだ。つまり、ちょっと重めではあるが、いわゆるゴルフらしいビッとした走りを日常的なシーンでも味わうことができる。

で、ゴルフGTEの制御は「なるべくモーターだけで走ろうとする」ようになっているため、近所を走る際はおそらく純EVっぽい走り方になるはず。

その場合は通常のガソリンターボ車と比べてややまったりとした走りっぷりになるわけだが、近所の道路をぶっ飛ばしても下品で危険なだけだ。ここはひとつ未来的なEVっぽさに身を任せ、まったりとゆっくりめに(ほぼ無音で)走るのが「新しい時代のドライビングプレジャー」というものだろう。

そしていざというときには、いざという場所で「GTEモード」に入れれば良い。そうなれば、ホットハッチであるゴルフGTIとほぼ同等のシステム出力を発揮するゴルフGTEは、矢のような勢いで安定感あふれる疾走を開始する。中高年のドライビング魂も思わず久々に燃え上がることは間違いない。

それに飽きたら(あるいは疲れたら)、また「Eモード」か「ハイブリッドモード」に戻して、まったりとおとなしく安全に走ろうではないか。

▲EVとして近所をまったり走るのも良し。また気分と状況によっては「GTEモード」を駆使して、写真上のような豪快な走りを堪能するのもまた良し▲EVとして近所をまったり走るのも良し。また気分と状況によっては「GTEモード」を駆使して、写真上のような豪快な走りを堪能するのもまた良し

何かと素晴らしい選択肢だが、問題は「充電設備」

そして「2. あまり大きな車は買わない」に関しては、見てのとおりである。もちろん往年のゴルフと比べればずいぶんとサイズアップしているが、全長4265mm×全幅1800mm×全高1480mmというのは、やや幅広な全幅にさえ気をつければ「扱いやすいボディサイズ」の範疇に入るだろう。

続いて「3. ある程度上質な車を選ぶ」についても、いちいち言うまでもないはず。

4世代目ぐらいまでのゴルフは実用車然としていたというか「まさに実用車!」という感じであったが、5世代目以降、いや6世代目以降のゴルフは「小さな高級車」と呼びたくなるほどの雰囲気がある。それが良いことなのか悪いことなのかは別として、「ある程度上質」という条件に合っていることだけは間違いない。

そして最後の「4. 先進安全装備の有無にこだわる」だが、これについてもほぼ完璧である。

新世代の車ゆえ、渋滞時追従支援システム「Traffic Assist」とアダプティブクルーズコントロール(全車速追従機能付)、レーンキープアシストシステムは標準装備。多少なまってしまった我々中高年の注意センサーを、うまい具合にアシストしてくれる車なのだ。

以上のとおりなかなか完璧な車でありながら、前述のとおり高年式・低走行物件の中古車相場は総額260万円~といったところ。決して安くはないが、かといって手が出ないわけでもない、品質を考えれば「まずまずお安い」と評せる相場だ。

▲こちらがフォルクスワーゲン ゴルフGTEのインパネまわり。GTE専用のレザーマルチファンクションステアリングホイールが採用されている▲こちらがフォルクスワーゲン ゴルフGTEのインパネまわり。GTE専用のレザーマルチファンクションステアリングホイールが採用されている
▲プリクラッシュブレーキシステム「Front Assist(歩行者検知対応シティエマージェンシーブレーキ機能付)」のイメージ図。中高年的にはこういった装備がけっこう大事!▲プリクラッシュブレーキシステム「Front Assist(歩行者検知対応シティエマージェンシーブレーキ機能付)」のイメージ図。中高年的にはこういった装備がけっこう大事!

唯一の大きな問題点は、充電設備が設置できない集合住宅にお住まいの方々は事実上買えない……という部分だ。すべての充電を自宅以外の充電施設でやるという手もなくはないが、まぁあまり現実的ではない。

しかし戸建てにお住まいのご同輩ならび先輩方には、ぜひぜひご注目いただきたい「フォルクスワーゲン ゴルフGTE」というプラグインハイブリッド車なのだ。

text/伊達軍曹
photo/フォルクスワーゲン

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