Q.チューンナップされていて
お買い得だと言われたのに…


 走り屋系の車が好きな僕は、趣味でサーキットを走行するほど。先日、あるショップで、「前オーナーがバリバリにチューンして、パーツも付いてお買い得な車」という売り文句の車を見つけて思わず購入しました。

 しかし、その車でサーキット走行会に参加したところ、パーツは粗悪品であることが判明。しかも、車に試乗してくれたプロドライバー曰く「チューニングも素人レベルで、150km/h以上の伸びはノーマルより悪くなっているかも」とのこと。

これって、販売店に騙されたのでは?

A.重要事項の告知義務違反に
当たる可能性があります


 「お買い得です」と言っている以上、値段に見合うメリットがない場合は、店側に非があると言えるでしょう。このケースでは、パーツが付いていることが購入を左右する条件でもあるので、そのパーツが粗悪品であることを伝えなかったのは重要事項の告知義務違反になります。あまりに程度が悪く、お買い得ということが全く言えないのであれば、契約解除の申し立てができると思われます。

 お買い得という言葉は、20万円相当のナビを無料で付けているなどの客観的な根拠が必要です。「仕入れ値が高くて利益度外視で売っている」というような店側の都合を、お買い得の根拠にするのは難しいでしょう。

 また、チューニングの性能についてですが、公道を安全に走ることができる基本的な性能が備わっていることは当然のこととして、「150km/h」など法律に違反するようなスピードでの議論は、公序良俗に触れるので、その特定の性能が満たされないことだけで、契約解除の要件にするのは難しいかもしれません。

 ただし、今回の場合はサーキットで使用する旨を伝えているのに、その用途に耐えられない場合には、販売店にはそれを告知する義務があり、これも同じく、重要事項の告知義務違反になる可能性があります。

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illustration/もりいくすお





■ワンポイント法律用語■

公序良俗(こうじょりょうぞく)
公の秩序と善良な風俗の略。国や社会の秩序、一般的利益と世の中の一般的道徳観を指す。社会的な妥当性や人々が持つ健全な良識といった社会通念と照らし合わせて、これに反する行為は民法90条で「公序良俗に反する契約は無効である」と規定されている

重要事項(じゅうようじこう)
商品の購入契約を結ぶかどうかを決めるときに、その意思に影響を及ぼす事項。程度や用途、価格、取引条件などが一般的な要件