Q.一見安く見える残価設定ローンの表示は
    法律的に問題ないのでしょうか?

「400万円の新車が200万円で買える」とのことで、販売店に行ってみました。しかし、話をよく聞いてみると残価設定ローンの話。普通に買うとやはり400万円かかるとのこと。一見、安いように見せる手法は違法なのではないでしょうか?

A.残価設定ローン自体には問題がありませんが
    表示方法によっては問題が出てきます

まず最初に、残価設定ローン自体は違法ではありません。残価設定ローンとは、購入時に使用後の査定額を仮に設定します。そして、その査定額を新車購入価格から差し引いた額を基に組むローンのことです。

車の使用期間は3年、5年などに設定されることが多く、これが満了した時点で改めて査定を受けます。この際に出された査定額(相場や走行距離はもちろん、キズや凹みの有無も含めてはじき出される)と最初の査定額を照らし合わせて、その差額を支払うという流れです。

例えば、400万円の車を3年間使用した場合の下取り額(残価)を仮に200万円と設定します。残価設定ローンの場合は、仮に設定した残価200万円を新車価格から引いた金額でローンを組むことができるのです。

よって、3年後、価格の半分である200万円分のローンの支払いが終了した時点で①残りのローンを払い続ける②残金である金額を一括で支払い車を買い取る③車を返却する④改めて新しい車で残価設定ローンを組んで乗り替えるかを選ばなくてはなりません。ちなみに③と④の場合は、車の使用期間を経て改めて受ける査定で特に問題がなければ追加料金はかかりません。

一見するとややこしい話ですが、わかりやすく言うと、車を借りて乗った分だけ支払うといったところでしょうか。

このローンで問題になるケースは一つ。説明不足の場合です。3年後に、残りの金額を支払うことをしっかり伝えておかないと、不当表示の有利誤認に問われる可能性があります。たとえ広告に記載していたとしても、一見して読めないように目立たなく、わかりづらく説明していたら問題でしょう。最近、携帯電話料金の支払いがわかりづらく、説明も十分でなかったと公正取引委員会から是正勧告がなされたことがありましたが、これと同じ理由です。

残価設定ローンを利用する場合は、仕組みをしっかり理解して、不明な点は店員さんに納得がいくまで確認をしましょう。また、残価が固定されていないケースの場合は、車の使い方や市場価格などによって、査定額が仮の査定額を下回ってしまう場合もあります。そのようなケースも考えながら、慎重に利用をしてください。

第49回:安い物件を見つけたら残価設定ローンの金額だった!!|渋滞ができる法律相談所
illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

不当表示(ふとうひょうじ)
一般消費者に誤認されることによって不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示
有利誤認(ゆうりごにん)
実際よりも著しく有利な条件で、数量や景品、アフターサービス、保証期間、支払いなどが受けられると誤解させる表示