日産 ラルゴ

12月3日(日)神奈川県横須賀市「長井海の手公園ソレイユの丘」の駐車場で、カーイベント「三浦半島に集まる名車たち@ソレイユの丘 Presented by RevivalCAFE」が開催された。

主催したのは2018年のオープン以来、様々なジャンルの車好きの憩いの場となっている「リバイバルカフェ」だ。

会場にはランボルギーニ― ミウラやカウンタック、フェラーリ 365BB、BMW M1、トヨタ 2000GTなど、博物館級の貴重なスーパーカー・クラシックスポーツカーの他、200台以上の一般オーナー車が展示され、多くの車好きでにぎわった。
 

日産 ラルゴ

特定のカテゴリーや年代といった制約を設けず、じつに多種多様な車が展示されているのがこのイベントの面白いところ。誰もが認める名車はもちろん、あくまでオーナーが個人的に思い入れのある車種も堂々と展示されている。

ここではそんな展示車の中から編集部の独断と偏見によって5台をピックアップしてご紹介しよう。

 

①シトロエン 2CV

日産 ラルゴ

独断と偏見と言った割にはのっけから王道的な車種だが、素晴らしいコンディションに敬意を表して取り上げる。オーナーの戸倉さんは勤めていた自動車メーカーを定年退職後、シンプルでエコな車に乗りたいと1年半前にこの2CVを購入したそう。

「フィアットのチンクなんかに比べると動力性能が高く、長距離の移動もこなせるところが2CVにした決め手です。その気になれば高速道路を100km/hで巡航できますよ」

この2CVは何とクーラー付き! 戸倉さんいわく、かつてはディーラーでクーラー付き仕様も販売していたが、エンジンパワーが小さく、ボディの気密性や断熱性の低い2CVではほとんど役に立たず、いまでは外されてしまった個体が多いそう。

戸倉さんはアイドリング状態でもクーラーが効くようアイドルアップ機構を独自に製作し、窓に紫外線や赤外線をカットするフィルムを貼るなどして実用化したという。夏場の2CVといえば、屋根にすだれを張って少しでも風通しを良くするのが常とう手段として知られているが、戸倉さんの2CVはその必要はなく、窓を締め切って走ることができるという。
 

▼検索条件

シトロエン × 2CV × 全国

②シェルビー F-150スーパースネーク

日産 ラルゴ

世界各国の車が集う会場だが、アメ車は少なめ。ただし、目立ち度でいえばこちらのモデルは断トツだった。

フォードのフルサイズピックアップトラック、F-150をシェルビーアメリカンがチューンしたハイパフォーマンストラックである。レーシングストライプをまとったボディのデカさ、迫力もさることながら、その心臓がすごい。5リッターのV8にスーパーチャージャーを組み合わせ、何と770hp(!)を発揮するという。

オーナーの深澤さんはこの前にもキャデラック エスカレードに乗っていたというアメ車好きだ。

「ラフに扱うとまっすぐ走らない車です(笑)。トランスミッションは10速ATなんですが、MTモードにすると5速まではケツを振りますね」

すべてにおいて豪快極まりない車だが、愛犬とともにSUPを楽しんだりするのに使っており、もちろん荷台も飾りではなくしっかり実用しているそう。

▼検索条件

フォード × F-150 × 全国

③トヨタ カリーナサーフ

日産 ラルゴ

完全に私の個人的志向によってチョイスしたのがこちら。日頃からカーセンサーを穴が空くほどチェックしている賢明な読者諸兄ならお気づきのことと思うが、この5代目カリーナ サーフは今では中古車がほとんど流通していない希少モデルである。

この手のごく普通の乗用車は旧車として注目を集めることなく、いつの間にか絶滅危惧種となっていることが多い。

車内には同型のカリーナのカタログやノベルティなどが所狭しと並べられており、オーナーのただならぬ入れ込みようが見て取れる。これは面白いオーナーに違いないとお話しを聞いてみることにした。30代半ばのオーナー丸尾さんは、このサーフの他にも同年代のカリーナ、カローラを複数台所有する真性のヘンタ……いや、車好きだった。どこがそんなに魅力的なのだろうか。

「祖父や父がこの型のカリーナに乗っていて、小さい頃から車=カリーナという刷りみがあったんです。自分でも乗るようになったきっかけは、中学2年生の頃、あるホテルの駐車場に同型のカリーナ(セダン)が止まっているのを発見したことです。当時、すでにこのカリーナの個体数は激減していたので『これを逃したら次はない』と思ってオーナーさんに譲ってほしいと直談判したんです!」

ええ~!?

「そのホテルを経営している方の所有車だったんですけど、来年に廃車するつもりだったからと快く譲ってくれました。この車は免許取得後にしばらく乗って今でも所有しています」

一見、何の変哲もないカリーナのオーナーからこんな情熱的なエピソードを聞くことになろうとは。素晴らしすぎる。

サーフを入手したのは約2年前。静岡の中古車屋の軒先に置いてあるのを発見し、店主を6年にわたって口説いて手に入れたという。売り物ではなく、店主の所有車だったそうな。平べったいボディスタイルはいかにも平成初期の日本車という感じだ。

「魅力ですか? うーん個人的なノスタルジーを抜きにすれば、ごく普通の車です(笑)。毎日、往復150kmの通勤で使用していますよ」

レトロなデザインのルーフレールに目がいくが、これは「SXリミテッド」というグレードに標準装備されていたそう。

▼検索条件

トヨタ × カリーナサーフ × 全国
※流通状況により物件が表示されない場合があります。

④スバル アルシオーネ

日産 ラルゴ

自動車雑誌の世界では昔っから「カルトカー」なる概念がある。商品としての大ヒットしなかったものの、一部に熱狂的なファンのいる車種のことだ。このスバル アルシオーネはそのカルトカーの象徴的な1台である。

オーナーの河邊さんは2年ほど前にいすゞ 117クーペから乗り替えたそう。一見しただけでも抜群のコンディションなのが分かる。リトラクタブルヘッドライトを採用するくさび型のボディスタイルはいまでも目を引く。

「私はいま51歳なんですけど、若い頃は欲しくても買えない憧れの車だったんです。前のオーナーさんの手入れが良かったこともあって、まったく普通に実用しています。エンジンが2.7リッターなのでパワーに不足はないですし、高速道路を長時間走っても疲れにくい。とくに悪天候での安定感ある走りは現代の車と比べても遜色ないと思います」

気に入っているポイントはやはり個性的なボディスタイルだとか。
 

▼検索条件

スバル × アルシオーネ × 全国

⑤マツダ ロードスター

日産 ラルゴ

カーセンサーのイメージカラーと同じオレンジ色ということで思わずお声がけしてしまったこちらのロードスター。2019年にロードスター誕生30周年を記念して限定販売されたモデルである。鮮やかなボディカラーは「レーシングオレンジ」という専用色。

他にも、シートやブレーキキャリパー、ドアトリムなど、至るところにオレンジがアクセントとして使われている。オーナーの今野さんはこれまで計4台のロードスターを所有する生粋のロードスターフリークである。

「もともと赤のNDロードスターを所有していたのですが、ファンなら買わないわけにはいかないなと。販売は抽選で19倍という超高倍率を勝ち抜いてゲットしました」

今野さんによると、ソフトトップモデルの30周年記念車は日本だけに設定され、その販売数は限定110台にすぎないという。

「どうせなら生産第1号車を手に入れたいと思って、契約開始日は開店時間と同時にディーラーを訪れ、すぐにオーダーしてもらったんです。ここのシリアルナンバーを見ると生産1号車だって分かりますよ」

このボディカラーは曇天の日でも鮮やかに発色するのがとても気に入っていると今野さん。ちなみに他にも「M2 1002」というロードスターの少数限定モデルも所有しているという。
 

▼検索条件

マツダ× ロードスター(ND・現行型)× 全国

以上、集まった名車の中から厳選5台を紹介させてもらいました。

車種も年代も、購入理由もみんなバラバラ。だけど、全員に共通していたのは「車が好き」ということ。インタビューを通してそれがひしひしと伝わってきました。また皆さんリバイバルカフェのお客さんという共通項があるからか、オーナーさん同士での話が大いに盛り上がっていました。

楽しそうなオーナーさんを見ていると、車から広がる出会いやコミュニティがカーライフを深く豊かなものにしてくれると再確認!

そんな素敵なイベントを主催したリバイバルカフェは、2018年のオープンからたった5年で200台以上の車が集まるイベントをやっちゃうなんてすごい……。

イベントだけでなく、普段から車好きが集まるリバイバルカフェに行くと車好きの知り合いが増えてカーライフが楽しくなること間違いなしかも!? 関東圏はもちろん全国の車好きはぜひ足を運んでみてください。

【イベントを主催した施設の紹介】リバイバルカフェ
築100年の蔵をリノベーションして2018年にオープン。現在は、車好きだけでなくバイク好きも集まり、週末にはオーナーミーティングなどの会場になることも。アクセスは、横浜横須賀道路 衣笠経由 三浦縦貫道「初声町高円坊」出口より車で約5分。もちろん駐車場も完備しています。
住所:神奈川県三浦市初声町和田2650-3
営業時間:月・火・水 11:00~18:30 土・日・祝 10:00~18:30
※営業時間は季節により変更あり。詳しくはHP及びSNSをご確認下さい(instagram:@revalmiura/Facebook:@revivalmiura)



【イベント会場となった施設の紹介】ソレイユの丘
季節の花々やどうぶつ・農との触れ合いに、充実の遊具・飲食・キャンプスタイルなど、多様な楽しみ方に出会える複合型エンターテインメントパーク。相模湾・伊豆大島・富士山などと空が大きく広がる絶景のロケーションです。都心からのアクセスは、車で約70分! また、1700台収容の大型有料駐車場も完備しています。(駐車場営業時間8:00~21:30)
住所:神奈川県横須賀市長井4丁目
開園時間:3月~11月:9:00~18:00 / 12月~2月:9:30~17:00

日産 ラルゴ
文/佐藤旅宇、写真/篠原晃一

佐藤旅宇

ライター

佐藤旅宇

オートバイ専門誌や自転車専門誌の編集記者を経て2010年よりフリーライターとして独立。様々なジャンルの広告&メディアで節操なく活動中。現在の愛車はボルボ C30と日産ラルゴ・ハイウェイスターの他、バイク2台とたくさんの自転車。この2年で5台の車を購入する中古車マニア。