「最高のエンジン」という一芸があれば欠点は気にならず、軽い風邪だって治ってしまう?
カテゴリー: クルマ
タグ: アルファ ロメオ / アルファ147 / アルファ156 / アルファGTV / アルファスパイダー / インテリア / エンジン / EDGEが効いている / EDGE SELECTION
2016/12/10
微妙に古いマンションも「日当たり」という一芸に秀でていればすべて善し
いきなり私事で恐縮だが、ネコの飼育を開始する関係で自宅を転居した。それまで住んでいた長屋は新築で非常に快適だったのだが、残念ながら「ペット飼育不可」であったのだ。
で、めでたくペット可の長屋を近隣に見つけたわけだが、それがなんとも築年数が古い。や、極端に古ければ「これぞビンテージマンションってやつだよね~」とかなんとかいって悦に入れるのだが、中途半端に古いのだ。それゆえ水回りや各所の造作などは正直ビミョーである。しかし筆者としては、実は今回の長屋に大満足している。 なぜならば、日当たりがウルトラ良好だからだ。
遺憾ながら筆者の長屋は上のイメージ写真ほどゴージャスではないが、日当たりと窓のサイズだけはおおむね同じだ。そんなお茶の間で日中、陽光を浴びながらテキトーに寝っ転がったりソファに座っていたりすると、こんな筆者でもそれなりに抱えている悩みや不安などがどんどん雲散霧消していき、やたらと幸せな気分になる。「ま、なんとかなるか。人間、生きてるだけで儲けモノだしな!」というようなポジティブマインドが体内に醸成されていくのだ。
そしてその結果、築年数が中途半端に古いゆえの細かな欠点はまったく気にならなくなる。本当だ。古めの物件しか借りられなかったことに対する負け惜しみではなく、「まったく」気にならないのだ。引っ越し以来、心なしか性格も明るくなったかもしれない。よう知りませんが。
同じイタリア人でも、天候がイマイチな日が多い北イタリアの人と、太陽さんさんの地に住む南イタリア人では気質もずいぶん異なると聞く。筆者にはイタリア人の友人はいないためその真偽は不明だが、今回の転居を通じて「まぁそうかもな」とは思うようになった。日当り良好という「一芸」には、想像以上のパワーがあるのだ。
車にとって最重要な一芸は「エンジンの気持ち良さ」(とデザインの良さ)
そして車も、何かしらの「一芸」にやたらと秀でてさえいれば、仮にその他の部分に細かな欠点や不満(古いとか不便だとか)があっても、総体としてはさほど気にならないというか、むしろ大満足し、生活全体がハッピーになるのかもしれないな……と思うに至った。
車に求める一芸は人それぞれだろう。ある者は「広さ(積載性)」を求め、またある者は「燃費性能の良さ」を求めるのかもしれない。「スピード命!」という人だっているはずだ。
それらすべてがその人にとっての正解だが、筆者が思うのは「やっぱ車はエンジンが気持ちよければ最終的にはオールOKなんじゃないか?」ということだ。見解は人それぞれだろうが、筆者としては「車におけるエンジンの良し悪し」とは、「住宅における日当たりの良し悪し」のようなものかと思う。そこさえかなり秀でていれば、他に多少の欠点があったとしても、運転中は常にニコニコと痛快ウキウキ通り♪なマインドでいられるものなのだ。
……あと内外装のデザインもか。ここがイマイチだと、いくらエンジンが最高でもすべてが台無しになるので、デザインの良し悪しもぜひ重視したいところではある。結論としては「エンジンとデザインさえステキなら、その他のプチ欠点はほぼ気にならなくなりますよ!」ということだ。
以上はもちろん個人的な嗜好に基づく見解にすぎないため、「わたしはそうは思わない」という方もいらっしゃるだろう。しかし同時に「ま、そうかもね」と思う方もそれなりにいらっしゃるとは思う。そんな後者の方へ向けてオススメしたいのが、「ちょっと古いアルファロメオ」各車だ。
旧世代アルファに乗ればちょっとした風邪も治ってしまう?
「エンジンとデザインがステキな車」といって真っ先に思い浮かぶのはフェラーリだが、さすがにあれは趣味というか工芸品の世界なので、普段づかいには完全に不向き。日常的に使えて、なおかつやたらとエンジンが気持ちよく、そしてデザインが内外装ともステキな車となると、筆頭候補はちょっと古いアルファロメオ以外は考えにくい。もちろんそれ以外にもエンジンとデザインがステキな車は多数あるわけだが、「群を抜いてる」のはちょい古アルファロメオだということだ。
00年代途中頃まで採用されていたアルファロメオ謹製V6エンジンであれば最高だが、ほぼ同時期までの直噴ではない4気筒、つまり「ツインスパークエンジン」でもかなり最高である。その回転感覚とエンジン音、吸排気音には人間の何らかの本能を刺激する妖艶さがあり、高回転域でガツンとくるパワー感にもシビれるほかない。筆者の馬鹿は死ぬまで治らないが、ちょっとした風邪であれば、古めのアルファに乗れば治ってしまいそうな気もする。気のせいかもしれないが。
そして内外装にわたるデザインも最高だ。もちろんこの「最高」というのは筆者や筆者に近い感覚をお持ちの人のみが思うことかもしれないが、ドライバーの眼前に広がるパネル類などの有機的な造形は、極力客観的に評したとしても「素晴らしい」と言えるのではないかと確信している。これまた、眺めているだけで風邪が治りそうだ。気のせいだろうが。
多少の欠点はあるが、乗ればまったく気にならなくなるはず!
そのように素晴らしい「ちょっと古いアルファロメオ」ではあるが、光があれば影もあるように、当然いくつかの欠点は存在している。
まずエンジンの設計が古いため、燃費はイマイチである。極悪というほどではなく、運転の仕方次第でそれなりの数値を叩き出すこともできるが、お世辞にも「好燃費」とは言えない。またちょっと古いイタリア車のお約束としてエンジンオイルの消費量がそれなりに多く、各所につまらん小トラブルが発生する可能性も、国産新車と比べるなら断然多い。筆者が乗っていた98年式アルファロメオ GTV 3.0 V6 24Vは、3000kmに一度はエンジンオイル交換をしないと不穏なムードが漂いはじめたものだ。そのGTVは「つまらん小トラブル」はほぼ発生しなかったが、それはたまたまだろう。
しかしそんな欠点の類も、素晴らしすぎるエンジンとデザインの前では完全に無力である。というか、旧世代アルファを運転していると脳内に快楽物質のようなものが湧き出てくるのか、燃費とかマイナートラブルとかはほぼどうでもいいという気分になるものだ。そしてなぜか知らねど、やや大げさに言うなら「生の歓び」のような感慨がお腹のあたりからふつふつと湧いてきて、誰もがだらしなくニヤけた顔で「……よし。今日も明日も、頑張って楽しく生きていこう! ナハハ~!」などというよう独り言をブツブツつぶやくことになる。
多少大げさな表現を用いた部分もあったかもしれないが、これらはすべて本当のことだ。それゆえ、ただ健康に生きている(生かされている)ことの歓びを日々増幅させたいすべての自動車愛好家に、「ちょっと古いアルファロメオ」を熱烈真剣に推奨する不肖筆者なのである。
【関連リンク】
日刊カーセンサーの厳選情報をSNSで受け取る
あわせて読みたい
- 西川淳の「SUV嫌いに効くクスリをください」 ランボルギーニ ウルスの巻
- EVハイパーカーメーカー「リマック」が今熱い!従来のスーパーカーを猛追するクロアチアの新星【INDUSTRY EDGE】
- 【功労車のボヤき】「オペルとは思えないほどイカしてる!」というトホホな褒め言葉に涙した日もあったけど……。オペル一族の逆襲!?
- 【試乗】メルセデス・ベンツ 新型Sクラス│”新時代の車”を堪能できるラグジュアリーセダンの最高峰!
- ドア開閉音からも分かる卓越したビルドクオリティ、空冷時代だからこそ生きたポルシェの技術力
- 【試乗】新型 フォルクスワーゲン T-Cross│「TさいSUV」はハッチバックよりもどこが欲張りか? 実際に乗って考えた
- 今はもう中古車でしか味わえない高純度FR、国産を代表するミドルセダンのレクサス GS【Back to Sedan】
- 世界で3社しか市販していないレアなFCVの1台、トヨタ MIRAIのドライブフィールに注目! 【EDGE’S Attention】
- 【試乗】新型 アウディ A4 アバント│実用性の高いアバントボディがクアトロらしい俊敏な走りとマッチし、絶妙にバランスがとれた逸品
- アルピナ B8 4.6リムジン。それはある意味「永遠の命」をもつ希少名車だった。【NEXT EDGE CAR】