アルファ ロメオ アルファブレラ外観|伊達セレクション
写真上は巨匠ジョルジェット・ジウジアーロ先生による名作、アルファブレラ。セールス的にはパッとしなかったブレラだが、「このお尻を見てるだけでごはん3杯はイケる!」という人は筆者を含め数知れず。本文中でいろいろ言ったが、決して悪いエンジンではないどころか、同時代の他社製エンジンと比べれば十分痛快でもある。写真下は特別仕様車「ブレラ イタリア インディペンデント」の内装。
アルファ ロメオ アルファブレラ内装|伊達セレクション
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GM製ブロック+車台という呪い

86年にフィアットが買収する以前の、往年のFRアルファについての話はマニアの皆さんに譲るとして、FF化された近年のアルファロメオには、主に2つの黄金期があると思う。

ひとつは、シャーシはフィアットと統合されたものの、いわゆるアルファ純血のV6が残っていた155/156世代。紋切型な表現で恐縮だが、しかしやはり「ラテンの息吹! 血潮! 官能!」としか言いようのない世界を堪能することができたものだ。それは、フィアット系モジュラーブロック+アルファ製DOHCヘッドとなった4気筒でも十分感じ得た世界だ。そして第二の黄金期は今、この瞬間だ。MiToで再生の予感を感じさせたアルファロメオの魅力は、後に続いたジュリエッタで完全に再生したと言っていいだろう。

問題はその端境期、00年3月にGMがフィアットの株式の25%を取得したことで、あろうことかGMの車台とシリンダーブロックを流用して作られたアルファロメオが市販された06年から09年あたりだ。

GMとの提携解消後の発売であるが、しかし開発は提携期間中に行われた2つのモデル、「159」と「ブレラ」は、正直評判がよろしくない。両モデルともデザインは素晴らしいが、GM製の基本ブロックを用いたエンジンは、ヘッド部分こそアルファロメオ製とはいえ、往年の「あの快感」を知る者の心をとらえることはなかった。もちろん悪いエンジンではないのだが、アルフィスタというのは「悪くない」というだけで納得できる人種ではなかった、ということだ。そしてGM系の車台は、率直に言って重量も重すぎた。

しかし相場下落により「呪い」は解けた!

……と、ここまでは159/ブレラの新車時や、中古となっても高値相場が続いた時代の話だ。決して悪くはない車なのだが、400万円も500万円も出してあのエンジンというのはちょっと……というのが、イタリア車愛好家の多くに共通した環境認識であっただろう。わたしも、そうだ。「中古のブレラが300万円じゃなくて100万円台、せめて200万円ちょいぐらいなら、エンジンがちょっとアレだとしても絶対に“買い”なのだが」などと思っていたクチだ。

そして今、わたしの念願がかなって……というわけではないが、アルファ159とブレラの中古車相場がまさに「200万円ちょい」の世界まで降りてきている。なかには100万台後半の物件も確実にある。だからと言って「過走行の修復歴ありでメタメタなコンディション」というわけでは全然ないことは、下記の物件リンクを踏んでいただければすぐにわかるはずだ。

……こうなってくると、159/ブレラの欠点(とわたしが思う部分)は消え、デザイン性の高さという美点ばかりが浮かび上がってくるじゃないか。いや、欠点が「消える」ということはないので、正確には「気にならなくなる/目に入らなくなる」と言うべきか。しかし、いずれにせよ159とブレラは、単純に「GMブロックはアレだから」で片づけられないフェイズに入ったのだ。

個人的なことを言わせてもらえば、特にブレラだ。わたしはあのお尻を見ているだけでごはん3杯はイケる人間だが、これまではエンジンの魅力とプライスの関係を鑑みると、どうしても買う気にはならなかった。が、200万円ちょいなら話は別。冗談抜きでそろそろあの「お尻」を我が物とすべきタイミングなのかもしれない。

ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。
この値段ならアルファ159とブレラ、大いにアリでしょう!


文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE