▲同じトラックベースのキャンピングカーなのに値段はバラバラ。ハイエースベースや軽自動車ベースもあるし、どうやって自分にピッタリのものを選べばいいか、Boseさんはお手上げ状態です…… ▲同じトラックベースのキャンピングカーなのに値段はバラバラ。ハイエースベースや軽自動車ベースもあるし、どうやって自分にピッタリのものを選べばいいか、Boseさんはお手上げ状態です……

中古車でキャンピングカーを買うとき、どこを見ればいいの?

日本のヒップホップシーン最前線でフレッシュな名曲を作り続けているスチャダラパーのMC、Boseが中古車情報誌『カーセンサー』にてお届けする人気連載「Bosensor」。カーセンサー本誌で収録しきれなかったDEEPでUNDERGROUNDな話をお届けっ!!

今回はフジカーズジャパン厚木店にお邪魔した記事(関連リンク参照)の後編です。

編集部ペリー(以下、ペリー):いやあ、Boseさん。キャンピングカーと一口に言っても、いろんなタイプがあるんですねえ。実際に買おうと思っている人は大変だ……。自分だったら迷っちゃいますよ。

Bose:本当だよね。しかも中途半端に勉強して「自分はこれがいい!」と決めつけてお店に足を運ぶと、実は自分の使い方にマッチしていないものを選んでしまうということもありそう。

ペリー:よく「家は3回建てないと満足できない」と言いますが、キャンピングカーも同じかもしれないですよ……。

Bose:う~ん…。キャンピングカーってなんとなく憧れていたけれど、普通の中古車を選ぶ以上にディープな世界かもしれないな。今回は初めてキャンピングカーに乗る人のために「失敗しない中古キャンピングカーの選び方」を里鍋店長に教えてもらおうよ。

▲トラックよりもハイエースの方が運転しやすそうだけれど、小さい分、狭くなる。自分にピッタリのサイズ感がまったくわからないというBoseさん ▲トラックよりもハイエースの方が運転しやすそうだけれど、小さい分、狭くなる。自分にピッタリのサイズ感がまったくわからないというBoseさん

まずはどのくらいの人数でどんな場所に行きたいかを考えよう

Bose:店長、いろいろなタイプのキャンピングカーを見せてもらったけれど、奥が深すぎてわけがわからなくなってしまいました……(笑)。そこで僕にピッタリの車に出会う方法を教えてもらっていいですか?

里鍋店長:Boseさんが悩んでしまうのも無理ないです。みなさん、“キャンピングカー”という言葉でなんとなくひとくくりにしていますが、実は用途によって選ぶモデルはまったく変わってきます。

Bose:僕は基本的に小さな車が好きなので、乗るなら軽キャンパーがいいなって思ってたんだけど……。

里鍋店長:軽キャンピングカーは値段も手ごろですし置き場にも困らないのでキャンピングカーショーなどでも大人気です。一方で居住スペース、就寝スペースはミニマムサイズ。ほとんどの車は就寝人数が2人となっていますが、正直2人で寝ると寝返りを打つことも難しい。快適に過ごすなら1人用、あるいは1人+ペットと割り切った方がいいでしょう。

Bose:軽キャンパーの中を見せてもらって、僕もそう思いました。室内にベッドを作ると車内であぐらをかいてキッチンでインスタントラーメンをすするのが精いっぱいだったもん。

里鍋店長:実際に軽キャンピングカーに乗っている人は、旅の中で100%車内で寝るのではなく、今日は旅館、今日はテント、今日は車内という風に使い分けています。たまに車内で寝るなら2人でも十分なスペースがありますよ。ただし、布団で寝るのではなく寝袋になりますね。

▲軽キャンパーだとBoseさんが横になって頭のすぐ上が運転席になります。何日も2人で過ごすのはのは大変そう…… ▲軽キャンパーだとBoseさんが横になって頭のすぐ上が運転席になります。何日も2人で過ごすのはのは大変そう……

Bose:定年退職した後、好きな釣りをするために全国を旅する、みたいな使い方をする人にはピッタリだなって思いましたよ。「明日は朝早くから狙うので川原に車を止めて中で寝よう」って。軽キャンパー以外はどんな感じで選んでいくのがいいですか?

里鍋店長:キャンピングカーを大きく分けるとトラックをベースにしたキャブコンバージョン(キャブコン)とハイエースなどをベースにしたバンコンバージョン(バンコン)があります。

Bose:イメージだとバンコンは室内がそれほど広くないから近場で短期間の旅をする人、居住性に優れたキャブコンは日本中を旅するような使い方がいい気がするけど……。

里鍋店長:こういう質問をするとほとんどの方がBoseさんと同じように答えます。でも正解は、まったく逆なんですよ。

Bose:そうなの!?

里鍋店長:Boseさんは、居住スペースで暮らすことをベースに考えましたよね? でもキャンピングカーは移動するための“車”なので、走行性能を無視して選ぶことはできないんです。キャブコンはトラックベースだからおせじにも移動中の乗り心地がいいとはいえないし、架装でかなり背を高くしているので、高速道路などで横風の影響をモロに受けます。つまりロングドライブ向きとは言い難いんです。どちらかというと移動距離が少ない場所に長期滞在するのに向いていますね。一方でバンコンはもともと長距離ドライブもこなす1BOXカーです。キャブコンと比べれば室内は狭くなりますが、そこは車内にどんな装備を付けるかで解決できる問題。日本中を旅するなら私は迷わずバンコンをオススメします。

Bose:なるほど~。こういうことって実際に多くのキャンピングカーを扱ってたくさんのオーナーと話している専門店の人じゃないとわからないことだろうな。買う前はどんな風に使うかをしっかり考えてみる必要があるね。

▲広い居住スペースがあり、イスやテーブル、水まわりの設備などもしっかりしているキャブコンですが、横風の影響を受けやすいため、ロングドライブには向きません ▲広い居住スペースがあり、イスやテーブル、水まわりの設備などもしっかりしているキャブコンですが、横風の影響を受けやすいため、ロングドライブには向きません
▲キャブコンに比べると車内は狭いですが、乗り心地はこちらの方が上。長距離移動にはバンコンがオススメとのこと ▲キャブコンに比べると車内は狭いですが、乗り心地はこちらの方が上。長距離移動にはバンコンがオススメとのこと

里鍋店長:もうひとつの選択肢として、キャブコンとバンコンの中間的な存在である、1BOXベースのキャブコンがあります。例えばグランドハイエースベースだと、FRなので駆動輪に荷重がかかり、排気量が3.4Lあるのでパワー的に十分。それで乗り心地はトラックではなく乗用車。文句のつけようがないんですよ。ただ、今はベースになりうる車がないので、必然的に年式が低くて走行距離もかなり走ったものになってしまう。そこを納得できるかですね。

Bose:意外なところに適した車があるんだ。でもそれならアルファードとかじゃダメなんですか?

里鍋店長:ポップアップルーフ付きの車中泊仕様はありますが、キャブコンってなるとアルファードは構造上難しいのでしょうね。見かけたことはありません。

Bose:そうか。ベース車両がそれに適しているかという問題もあるんだね。ますます奥が深いぞ。

▲「リビングやベッドは大きいキャブコンだけれど、運転席はそのまんまトラックだもんね。たしかにこれで日本中を旅するのは大変かも」。里鍋店長の話を聞いて納得 ▲「リビングやベッドは大きいキャブコンだけれど、運転席はそのまんまトラックだもんね。たしかにこれで日本中を旅するのは大変かも」。里鍋店長の話を聞いて納得

Bose:次に実際に中古キャンピングカーを絞り込んでいくときのポイントを教えてもらっていいですか?

里鍋店長:ほとんどの方がキャンピングカーを選ぶうえで、どんな装備が付いているかを気にします。でも、キャンピングカーってたいていは後から自分の好きな装備を付けることができます。つまり極論を言えば、中古車で買うときはどんなものでも大丈夫と言えなくもありません。

Bose:知らなかった! 後付けできるならとりあえず車を買って後から考えればいいじゃん。

里鍋店長:でもねBoseさん。欲しい装備がないからとどんどん後付けすると、気づいたら新車より高くなってしまう可能性もあります。それじゃ中古車を買う意味がないですよね。

Bose:意味ない! 中古車は予算を抑えられるのが大きな魅力だもん。やっぱり自分が欲しい装備は最初に吟味してある程度揃っているものを探した方がいいんだね。

里鍋店長:おっしゃるとおりです。何が必要かを考えるときには、キャンピングカーの使い方を明確にすることが大切です。そのうえで足りないものがあれば付ける。そうすれば費用を抑えることができるはずですよ。

Bose:僕は今、小さい車で1人でぷらっと移動することと、京都の大学で先生をやるときの基地としての使い方を考えているんだよね。たしかにどっちにするかで必要なものがまったく異なるわ。まずは自分がキャンピングカーを使う姿をイメージすることが大事!

▲電子レンジや冷蔵庫など電化製品をたくさん使うなら、その分サブバッテリーを強力にしなくてはならない。するとその分改造費が必要に。最初から付いていれば安心だ! 「オーディオマニアでキャンピングカーの中に5.1chシステムを組んだ人もいますよ」(里鍋店長) ▲電子レンジや冷蔵庫など電化製品をたくさん使うなら、その分サブバッテリーを強力にしなくてはならない。するとその分改造費が必要に。最初から付いていれば安心だ! 「オーディオマニアでキャンピングカーの中に5.1chシステムを組んだ人もいますよ」(里鍋店長)

キャンピングカーの敵は雨漏り! 対策は知識を持った専門店に相談すること

里鍋店長:そしてキャンピングカーライフを始めるうえで一番注意してほしいのは、雨漏り問題です。キャンピングカーはどれもベース車両に穴を開けて窓を作ったり、ボディを切って居住スペースを載せたりしていますよね。つまりキャンピングカーはゴムの劣化や接合部の劣化が進むと雨漏りするんです。

Bose:雨漏り! 古いオープンカーや輸入車だと窓枠のゴムが劣化して雨漏りするという話はあるけれど……。

里鍋店長:家でも古くなると窓枠から雨漏りしたり、外壁のひび割れから雨漏りしますよね。それと同じです。中古キャンピングカーを買うときは雨漏りの確認が重要。雨漏りは購入時になくても乗っているうちにする可能性だって十分あります。室内のある場所から雨漏りしているときに、それがどこから入ってきているかを突き止めるのは至難の業なんですよ。

Bose:たしかに。マンションでも1階の雨漏りの原因がすごく離れた3階だったって話も聞くもんね。

里鍋店長:ですよね。とくに初心者の方はキャンピングカーの扱いに慣れた専門店に相談した方が楽だと思います。あとはタイヤ。車が大きくて重いので、タイヤの状態はしっかりチェックしてください。とくに大型のキャブコンは車両総重量が軽く3トンを超えてきます。

Bose:3トン! そんなに重いんだ!!

里鍋店長:しかも毎日動かす車ではないから、どうしてもタイヤと地面との接地面に負担がかかってしまうんです。

Bose:そういえば店長。僕、キャンピングカーで不思議なことが一つあるんですよ。キャンピングカーの内装ってなんで昔から変わらないデザインなんですかね。例えば、ファッションブランドとのコラボモデルなんかがあればおもしろいんじゃないかなって。

里鍋店長:キャンピングカーは一見あまり変わってないように見えるかもしれないですが、実はかなり進化しているんです。今はオーナーの好みに合わせていろいろなデザインが出ていますし、その気になればビルダーと一緒に作っていくことだってできます。

Bose:まさに自分の部屋、自分の家を作る感覚だね。少年時代に秘密基地に憧れたなら、いつかこういう車を作ってみるのも悪くないと思うな!

▲Boseさんは昔から変わらない雰囲気だと思っていましたが、実はインテリアデザインは時代とともに変化しているそう。言われてみれば、昔のキャンピングカーってシャンデリアみたいなライトだったような気が…… ▲Boseさんは昔から変わらない雰囲気だと思っていましたが、実はインテリアデザインは時代とともに変化しているそう。言われてみれば、昔のキャンピングカーってシャンデリアみたいなライトだったような気が……

イベントのお知らせ

『スチャダラ2016 ~LB春まつり~』
公演日時:2016年4月17日(日)
開場時間:15:30 /開演時間:16:30
会場:日比谷野外大音楽堂
※雨天決行・荒天中止
料金(税込):前売 \6,500(全席指定)
チケット発売中

<各プレイガイド>
チケットぴあ 0570-02-9999
ローソンチケット 0570-084-003
イープラス http://eplus.jp

主催:HOT STUFF PROMOTION
企画・制作:Melody fair/HOT STUFF PROMOTION
INFO:HOT STUFF 03-5720-9999
www.red-hot.ne.jp


text/高橋 満(BRIDGEMAN)
photo/篠原晃一