乗り心地に不満はナシ! でもゴルフ場では……【タントカスタム編・東京スマート軽ライフ】
2016/07/25
自動車ライター、塩見智さんが軽自動車に約1ヵ月間乗り、東京での軽ライフをリポートする「東京スマート軽ライフ」。高級車が溢れる東京での軽ライフを赤裸々につづっていく。今回はタントカスタム編の第2回。
軽とは思えない上質な乗り心地
ダイハツの屋台骨と言っても過言ではない売れ筋モデルのタントカスタムでの生活も2週目に入り、どういう車かいろいろとわかってきた。
まず乗り心地がよい。剛性を確保するには不利なはずのワンボックスボディにも関わらず、体感的な剛性感は十分。ひと昔まえの軽自動車特有の安普請さはまったく感じない。シートも適度な硬さで座り心地良好。フロントシートの座面長がもう少しあればうれしいが、これでも悪くない。フロントベンチシートは当然ながら前に3人乗れるわけではないが、ウォークスルーで助手席からも出られるので便利。
車重が940kgと軽自動車の中でも重い部類に入るが、なかなかどうしてよく走り、動力性能面での不満はさほど感じなかった。もちろん、車重670kgのアルトワークスと比べると遅いが、ワイドレンジのCVTが七難を隠してくれるのでパワー不足を感じることはない。
それはそうと、自身が乗り始めて意識するようになったからだと思うが、街中ではタントとしょっちゅうすれ違う。軽自動車率が異例に低い東京都心ではさすがにあまり見かけないものの、都内でも練馬区などの郊外ではしばしばすれ違う。
カスタムに限らずタント全体でいうと、2015年度(15年4月~16年3月)、15万5768台が売れた。この数は同じ期間のプリウスの販売台数とほぼ同じ。毎月約1万3000台が売れているのだからしょっちゅうすれ違うのも当たり前だ。それでも前年度の21万4867台に比べるとおよそ3割減ではあるのだが。
高級車とは何なのか
前回のアルトワークスの場合、軽自動車の中でも非常に趣味性が高いモデルだったので、なんとなく“好きであえて乗っているんです”という顔をして過ごすことができ(ている気がし)たが、売れ筋のタントだと、そういった理由づけをするのが難しい。
そのせいか、例によってゴルフ場のエントランスに車を寄せる際、アルトワークスのときよりもなんとなく気後れしたのは事実だ。念のために言っておくと、どこのゴルフ場も車によって扱いを変えるようなことはない。自分が思うほどに周囲は人がどんな車に乗っているか気にしていない。自分が勝手に気後れしているだけだ。自分の軽自動車に対する偏見とくだらない見栄が、この企画をやる前の予想よりも大きかったことに少々驚いている。
同時に、車両価格が何倍、十何倍もする高級車と(ほぼ)同じ人数を乗せることができ、同程度の荷物を載せることができ、同じ法律のもとで、同じような所要時間で目的地に到着することができることを日々経験することで、高級車ってなんだろう? とあらためて考えるようにもなった。このことについては、引き続きこの連載で考えていきたい。
【筆者プロフィール】
1972年、岡山県生まれ。自動車雑誌編集部を経て、フリーランスの自動車ライターへ。軽自動車好き。SUV好き。「カーセンサーnet」をはじめ、「GQ Japan」「GOETHE」「webCG」「carview!」「ゴルフダイジェストオンライン」などにて執筆中。
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