▲ワインディングを快走するデリカD:5アーバンギア。トルクフルなディーゼルターボエンジンと小気味よくシフトチェンジする8速ATの組み合わせで、悪路だけでなくオンロードでもその性能を強烈に見せつけてくれた。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏による公道試乗の模様をレポートする▲ワインディングを快走するデリカD:5アーバンギア。トルクフルなディーゼルターボエンジンと小気味よくシフトチェンジする8速ATの組み合わせで、悪路だけでなくオンロードでもその性能を強烈に見せつけてくれた。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏による公道試乗の模様をレポートする

全高の高いミニバンだからこそ、あえてワインディングでテストする意味がある!

▲2019年2月にマイナーチェンジした三菱 デリカD:5はクローズドコースとオフロード、走破性を求められる雪上ラフロードと試乗をしている。凹凸激しいオフロードでは本格クロカン並みの高い走破性能を誇るモデルだ(写真は標準車) ▲2019年2月にマイナーチェンジした三菱 デリカD:5はクローズドコースとオフロード、走破性を求められる雪上ラフロードと試乗をしている。凹凸激しいオフロードでは本格クロカン並みの高い走破性能を誇るモデルだ(写真は標準車)

ミニバンとしては、類い希な性能であることはすでにご承知のとおりだが、公道ではどうだろう。

今回は一般道でもタイトなコーナーが連続する、箱根のワインディングで試乗することができた。

平坦な一般道でのパフォーマンスも十分大切ではあるが、ミニバンで大事なことのひとつに、スタビリティの高さがある。

全高があるミニバンは重心が高く不安定になりやすいため、スタビリティの高さを試すには勾配に加え、常に車体が左右に振られるようなタイトなコーナーが続く山間部は、ある意味絶好のテスト場所といえるのだ。
 

▲今回試乗車に選んだのは「アーバンギア」(写真右)という都会派仕様といえるエアロパーツが装着されたグレード。標準グレードとの違いはエアロパーツの装着により最低地上高が若干低い程度。パワートレインは2267ccのディーゼルターボに8速ATを組み合わせた4WD ▲今回試乗車に選んだのは「アーバンギア」(写真右)という都会派仕様といえるエアロパーツが装着されたグレード。標準グレードとの違いはエアロパーツの装着により最低地上高が若干低い程度。パワートレインは2267ccのディーゼルターボに8速ATを組み合わせた4WD

峠を駆け上っていくスピードと安定感が半端ない

御殿場インターから箱根方面に進むと、2kmくらいの緩やかな上り坂が続く。

編集者を含む大人3名を乗せているが、上りといえども小気味よくシフトアップしながらストレスなくグイグイと前へ進む。

タイトなコーナーが続くポイントに差しかかると、次第に勾配がキツくなっていく。

デリカD:5のディーゼルターボは、最大トルクを2000回転で、最高出力145psを3500回転という低回転で発生する、ディーゼル特有の低回転でも力強く引っ張る特性だ。

その特性に合わせた8速ATは、ギアのセレクトをきめ細かく制御しており、急な上り坂が続く山間部に突入し、アクセルを踏み込んでも下手なシフトダウンをすることなく、爽快な加速をする。

基本プラットフォームはランエボやアウトランダーと共通であることに加え、最新の技術を使ったリファインがされているため、ボディの剛性感はとても高い。

その剛性の高さによって、タイトなコーナーでもタイヤと路面の接地性が抜群に良いのだ。リアタイヤの接地感もドタバタせずしっかり残っている。

そのおかげで、運転席はもちろん後方席もしっとりと落ち着いた乗り心地になっている。

また、揺り返しの起こるコーナーも絶妙に車体がロールしてくれるので、アプローチがしやすく、ドライバーに不安が少ないのである。

おまけに静粛性もアップさせているのだから、ミニバンでこの安定感は驚愕と言っていいだろう。

これだけ乗り心地を良くし、サスペンションストロークを取っているにも関わらず、ボディがフラットライドになるセッティングを実現した三菱の技術者にただただ感銘する。
 

▲Rのキツいコーナーもスパンと抜けていく強靭な足回りと、四輪の高い接地性がオンロードの走行性能の高さを示している。勾配でエンジンが苦しそうに唸るようなことはなく、小気味よい8速ATが適切なパワーバンドを選択しグイグイと加速していく ▲Rのキツいコーナーもスパンと抜けていく強靭な足回りと、四輪の高い接地性がオンロードの走行性能の高さを示している。勾配でエンジンが苦しそうに唸るようなことはなく、小気味よい8速ATが適切なパワーバンドを選択しグイグイと加速していく

不安なくアクセルを踏んでいける理由は4WD技術の高さ

走行モードを4WDにしているせいか、アクセルを開けてトラクションをかけている状態のロードホールディングとハンドリングの感覚が頼もしく気持ちいい。

一方、走行モードを2WDにすると、このようなワインディングではステアリングフィールが落ち、接地感に不安を覚えるが、ドライの高速道路ならば2WDでも全く問題ないというレベル。

ただ、雨天など路面状態が良くない場合は、やはり4WDのAUTOモードで三菱お得意の4WD制御技術に身を任せたくなる。それくらい4WDの安心度が高いモデルということだ。

下りではややエンジンブレーキが利きにくいので、シフトダウンとブレーキを併用するがスピードと車両のコントロールフィールは良好だ。

やはり安全性を優先するなら、走行モードは4WDを選択しておいた方が安定感は増す。

パワーステアリングにもう少しねっとりとした重みが加われば、一層高級感が伴う素晴らしいミニバンになるに違いない。

このタイトで勾配のキツい箱根のワインディングで見せてくれたエンジンパワーといい、足回りを含めたパフォーマンスはミニバンでなくても十分すぎる。

何にしても悪路走破性の高さがウリのひとつであったミニバンであるにも関わらず、最速の峠モデルでもあることは間違いない。

現在、最も成熟した最強の4WDミニバンと言えるのではないだろうか。
 

文/松本英雄、写真/篠原晃一、尾形和美
 

【試乗車 諸元・スペック表】
●アーバンギア 2.2 G パワーパッケージ ディーゼルターボ 4WD

型式 3DA-CV1W 最小回転半径 5.6m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 4.8m×1.8m×1.88m
ドア数 5 ホイールベース 2.85m
ミッション 8AT 前トレッド/後トレッド 1.54m/1.54m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 2.98m×1.51m×1.31m
4WS - 車両重量 1950kg
シート列数 3 最大積載量 -kg
乗車定員 7名 車両総重量 -kg
ミッション位置 インパネ 最低地上高 0.19m
マニュアルモード
標準色

ブラックマイカ、アイガーグレーメタリック

オプション色

ウォームホワイトパール

掲載コメント

-

型式 3DA-CV1W
駆動方式 4WD
ドア数 5
ミッション 8AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ブラックマイカ、アイガーグレーメタリック
オプション色 ウォームホワイトパール
シート列数 3
乗車定員 7名
ミッション
位置
インパネ
マニュアル
モード
最小回転半径 5.6m
全長×全幅×
全高
4.8m×1.8m×1.88m
ホイール
ベース
2.85m
前トレッド/
後トレッド
1.54m/1.54m
室内(全長×全幅×全高) 2.98m×1.51m×1.31m
車両重量 1950kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.19m
掲載用コメント -
エンジン型式 4N14 環境対策エンジン -
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 軽油
過給器 ターボ 燃料タンク容量 64リットル
可変気筒装置 - 燃費(JC08モード) 13.6km/L
総排気量 2267cc 燃費(WLTCモード) 12.6km/L
└市街地:9.9km/L
└郊外:12.7km/L
└高速:14.2km/L
燃費基準達成 H27年度燃費基準
+20%達成車
最高出力 145ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
380(38.7)/2000
エンジン型式 4N14
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 2267cc
最高出力 145ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
380(38.7)/2000
環境対策エンジン -
使用燃料 軽油
燃料タンク容量 64リットル
燃費(JC08モード) 13.6km/L
燃費(WLTCモード) 12.6km/L
└市街地:9.9km/L
└郊外: 12.7km/L
└高速: 14.2km/L
燃費基準達成 H27年度燃費基準 +20%達成車
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。