限界性をさらに向上、今も変わらず世界に誇れるスポーツカー

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コンセプト

初の本格的外観変更。より一層の軽量化を実現

1990年に発売された国産最高峰スーパースポーツの、初の本格的エクステリア変更だ。リトラクタブルヘッドランプをやめて固定式としたことで約10kgの軽量化を果たすと同時に、空力性能に磨きをかけて前後のリフトを減少させている。

世界で初めて採用したオールアルミモノコックボディへの拘りは今も生き続けており、これまで改良が繰り返されても重量は増えてない、という伝統は今回も守られた。バリエーションではS-ZEROが消滅したが、2002年春のタイプR復活が予告されている。
サーキットインプレッション

タイヤサイズの拡大でリアの粘り感が増した

走り面における最大の変化はタイヤサイズの変更だ。従来の前215/45ZR16、後245/40ZR17から215/40ZR17、後255/40ZR17へと変えられている。ちなみにサスペンションチューニングはタイプTだけが従来よりも少しハードになった以外はバネやダンパーも何も変えられていない。

試乗車はクーペもタイプSも6速MT仕様。エンジンは3.2LV6DOHC VTEC(AT仕様は3L)で280ps/7300rmpだ。エンジン自体やミッションは変わっていないので、加速フィールやサウンドにこれまでと変化はなかった。

この日の路面コンディションはウエットからセミウエットへと変わっていく状況で、ドライではなかったのが残念。ただそうした中でも操縦性の進化は体感できた。

クーペはソフトな足のためブレーキングでも姿勢の変化は大きくなりがちで、とくにリア側は流れ出すと大きく姿勢を変えるオーバーステアへと転じる傾向にある。でも新旧で比較すればその動きは穏やかに小さくなっている。より走り指向でハードサスのタイプSでは、ターンインの動きはより素直になっていながらも、リアの限界付近での粘り感が増した。このためブレーキングでヨーが残りながらコーナーに進入する場合や切り返しのS字などでもリアがイッキにでていってしまうようなことが少なくなったので安心感も高い。

とはいっても、4WDスポーツのように安楽とはいかず、繊細なステアリングワークで慎重に向きを変えることが必要となるし、またトラクションのコントロールもラフに行うことはできない。ここはやはりミッドシップならでは。

ウエット路面ではこうした緊張感も伴うNSXだが、タイヤのキャパシティに余裕ができたことでドライ路面での限界性と操縦ポテンシャルはさらに高まっている。今も世界に誇れるスポーツカーだ。
  • ホンダ NSX インパネ|ニューモデル試乗
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こんな人にオススメ
熟成が進んだ国産スーパースポーツ。自然吸気エンジンは加速力ではもはや突出したものではないが、その高回転域の気持ちよさは健在。軽量ボディならではのブレーキングの楽さや動きの軽さも実感できる。信頼性と日常での使い勝手をスーパースポーツに求めたい人に。サーキット派は春までまつべし。
SPECIFICATIONS
グレード タイプS
駆動方式 2WD(MR)
トランスミッション 6MT
全長×全幅×全高(mm) 4430 x 1810 x 1170
ホイールベース(mm) 2530
車両重量(kg) 1340
乗車定員 2人
エンジン種類 V6DOHC
総排気量(cc) 3179
最高出力 206kW(280ps)/7300rpm
最大トルク 304N・m(31.0kg-m)/5300rpm
車両本体価格 1035.7万円
写真:宮門秀行 文:斉藤慎輔