【試乗】新型 日産 ノートオーラ NISMO|電光石火の加速に素晴らしいバランス……このモデルには悪いところが見当たらない!
2021/09/16
吟味されたパーツを装着したNISMOモデルに期待が高まる
日産 ノートオーラは、ノートに比べて上質な乗り味だったということは、すでに試乗レポートを通しお伝えしている。
今回は、そのスポーティバージョンであるノートオーラ NISMOに、神奈川県横須賀市の追浜にあるテストコース「GRANDRIVE」(グランドライブ)で試乗したので、その際のインプレッションをお伝えしたい。
今回のノートオーラ NISMOを含むNISMOモデルは、オーテックジャパンの手で品質管理およびチューニングをされる。
NISMO専用の加飾を受けたエクステリアに目が行きがちだが、走行性も大きく向上しているモデルが多い。
ノートオーラが高いポテンシャルをもっていることに加え、NISMOモデルではサスペンションなど、オーテックがさらに吟味して最適なパーツを装着し、セッティングを行っている。
だからこそ、今から試乗するノートオーラ NISMOは本当に楽しみだ。
オプションのレカロ製の専用スポーツシートは、スタイリングも良く、ペダルの位置が最適になるように調整でき、当然のことながら滑りにくくホールド性も高い。
赤いステッチと黒のコントラスがNISMOのアイデンティティのひとつらしい。人それぞれ好みはあるだろうが、個人的には落ち着いた色で良い思う。
300万円以下でこの性能……日産やるじゃない!
では出発だ。赤いスタートボタンを押し、システムを作動させる。
ノートオーラ NISMOには、エコ・ノーマル・NISMOの3つのモードがある。せっかくのクローズドコースでの試乗なので、最もパフォーマンスの高いNISIMOモードから試してみる。
これはレスポンスがとても良い! 電光石火のごとく、一気に50km/hまで加速する。専用チューンを施し、立ち上がりを速くしていることがわかる。
しかも、これほど強烈な立ち上がりとトルクにもかかわらず、トラクションはとてもいい。ハイパワーなFF車で起こりやすいトルクステアもなく、左右のトラクションのあんばいを心得ている制御だと言える。
ストレートの静粛性とスタビリティも、専用のエアロパーツによって良好だ。通常のノートオーラとの格の違いを感じられる。
続けて、中・高速コーナーへと進入するが、ここでも終始安定している。
専用サスペンション車を採用し、車高は20mm低くなっているが、欧州車のスポーツサスペンションをマイルドにしたような奥深さを感じられる。レカロのシートも相まって、乗り心地に不満ない。
むしろ、通常のノートオーラに比べても乗り心地の質感が向上しているので驚いた。チューニングによって、ここまで良くなっているとは思わなかった。
一方で、ハイパフォーマンスカーに慣れている人ならば楽しくドライブできるレスポンスだが、初めての方には少々扱いが難しいとも感じた。それほどレスポンシブな車体の動きなのだ。
次に、NISMOモードとは反対のエコモードで走らせる。
驚いたことに、これでも十分速い。しかも、ドライバビリティが高く、これがオールマイティのモードだと感じる。
そうなると、ノーマルモードの意味が薄れてしまう気もするが、エコモードでも走りを犠牲にせず十分キビキビ走れるのは良い。
ここまで試乗してきたが、はっきり言って悪いところが見当たらない。
良いところばかりで、この原稿を執筆しながら「PRっぽくなってしまったか……?」と、少し心配になってしまったほどだ。
それだけ素晴らしいバランスの取れたモデルだと言える。
そして、さらに驚くことに、このパフォーマンスで車両価格300万円以下だというではないか。
「日産、いいところあるなぁ……。」と感じずにはいられない、久しぶりに震えを感じた1台であった。
自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。