日産 ノートオーラ▲2021年6月に発表され、今秋より発売が予定されている新型 日産 ノートオーラ。今回は一足早くテストコースにて試乗する機会を得た。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏による試乗の様子をお届けしよう

人気コンパクトカーの上位派生モデル

2020年末に登場した3代目の日産ノートベースの上位派生車種として、今年6月に登場したノートオーラ。

新世代の日産デザインを、エントリーモデルのノートよりもさらに強く出している印象だ。

全長は変わらないものの、全幅が45mmも増して3ナンバーサイズになったため、5ナンバーサイズのノートとは一線を画したディメンションである。

フロントヘッドライトや他のランプ類など、全体的にLEDを多用しシャープなデザインだ。ワイド化されたことに伴い、より空力を考えたデザインを投入したという。

日産 ノートオーラ▲左が3代目ノート、右が新型ノートオーラ。どちらも日産の新世代デザインを採用しているが、ノートオーラの方がよりシャープさを感じる
日産 ノートオーラ▲トレッドが広がり、ボディも1735mmにワイド化された

もちろん、ノートオーラは外観だけではなくパワートレインやインテリア面でもノートとは異なる。

モーター出力は20psアップの136ps、トルクも280N・mから300N・mとなった。

インテリアはファブリックがうまく組み合わせられ、とても落ち着いた大人仕様だ。新たなウレタンを採用したシートの座面は、張りがありながらもしっかりと包み込む。

実車を見てみると、走りの質も高められているのではという期待が高まる。

日産 ノートオーラ
日産 ノートオーラ
日産 ノートオーラ▲今回は、BOSE社と共同で開発したというサウンドシステム(オプション)も体感した。臨場感があるひとクラス上のサウンドはとても良い。写真はヘッドレスト一体型スピーカー

高いスタビリティと静粛性……これはただの派生モデルではない!

今回の試乗コースは、追浜にあるGRANDRIVEという1周4kmのテストコースで、ストレートからワインディングまで、様々なシチュエーション下でテストすることが可能だ。

ノートオーラには、エコ・ノーマル・スポーツの3つのモードがあるが、今回は最も良く使うであろう、ノーマルモードを中心に走らせてみよう。

ガソリン車で言うところの、「排気量が増した」ようなゆとりある加速が印象的だ。

同時に、ノートよりも明らかに静粛性が高いことがわかる。

ノートではリアの静粛性とバイブレーションが気になったが、ノートオーラではそのあたりもクラスを一つ上げたようだ。

中速コーナーでは、ロールはするがタイヤの接地感がしっかりとしていて、速度レンジが高くてもスタビリティが高い印象だ。

ステアリングを一定にして抜ける高速コーナーでも、よろめきは皆無で、安定感もすこぶるいい。

高速ストレートでもスタビリティの高さがよくわかる。特に時速90km以上を出すと、まるでボディの剛性感が向上したかのようで、フロントからの風切り音も少なく質にこだわったことがよく理解できる。

特に、高速巡行のような大きな負荷がかからない状態では、e-POWERはとても静粛性が高い。

日産 ノートオーラ
日産 ノートオーラ

続けて、速めの速度でスラロームを走る。タイヤのスキール音が最小限にとどめられ、接地性の良さもうかがえた。

ノートの単なる派生モデルかと思っていたら、全く別物のスタビリティと静粛性だ。

出力が増したことで得られるスムーズさと、インテリアの上質な雰囲気が相まって、「大人の走り」を楽しめる車だといえる。

質感を高めたノートオーラは、小さな空間の中でも2クラス上の快適性を目指したモデルという印象だ。

乗り心地、静粛性、安定感……どれをとっても小型ハッチバックの枠を超えた質感を目指していることがわかる。

日産 ノートオーラ
文/松本英雄、写真/阿部昌也
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。