【試乗】新型シボレー コルベットコンバーチブル|ミッドシップになりスポーツカーからアメリカンスーパーカーに進化した伝統モデル
カテゴリー: シボレーの試乗レポート
タグ: シボレー / コルベット / コルベットコンバーチブル / 松本英雄 / c!
2022/01/24
ミッドシップレイアウトでもコルベットらしいデザインは健在
シボレー コルベットは、今も昔もアメリカを象徴するスポーツカーだ。誕生した背景のひとつに、「戦後における強国なアメリカ」という自負と、歴史的にヨーロッパに対し憧れをもっていた、という事実もあったに違いない。
それは、1950年代の様々な映画のワンシーンからうかがえる。そんな時代に生まれたのが、ヨーロッパのエッセンスにアメリカの大胆なフォルムを加えた「シボレー コルベット」である。
コルベットシリーズで最大のポイントは、1953年の登場以来、ずっと2シーターのスポーツカーであるということ。そして、2シーターと聞けば、コンバーチブルを頭に描く人もいることだろう。
コルベットとは小型船という意味でも使用する。シボレー コルベットは、まさに小型船のような俊敏な性能を目指した、と言える名前だ。そして、軽快さを表すにはオープンカーが最適だろう。コルベットも、登場した初代から今までずっとコンバーチブルを作り続けている。
今回試乗する最新のC8コルベットもコンバーチブルだ。特徴的な部分は、伝統的なFRからミッドシップレイアウトにしたことだ。この部分には時代の岐路がうかがえる。
そんな性能を向上させるための大変革であっても、コルベットにはコンバーチブルが必要で、クーペ以上にデザインに力を入れている。と、いま実車を目の当たりにして思うのだ。
その証拠に、ルーフありきのデザインではなく、ルーフを格納した姿が一番美しく見えるようにデザインされているのである。
ミッドシップになると、コルベットの歴史的なロングノーズ&ショートデッキのデザインがスポイルされてしまうと懸念していたが、そんなことは全くなく、コルベットらしさが光っている。
まるでスーパーカー! いい意味で期待を裏切られた新型コルベット
前置きが長くなってしまったが、コルベット初のミッドシップレイアウトモデルであるから、正直期待はしていない。
だが、これだけのモデルを初めて量産する、GMのマンパワーと組織の柔軟さには驚かされる。手探りでドアノブボタンを押し、シートに腰を沈めてコックピットを眺める。
ドライバーオリエンテッドなデザインと、細かく並べられたスイッチ類が、飛行機のパイロットになったような気にさせる。最近は、メカニカルなスイッチ類を少なくする方向であるが、これは逆に新鮮だ。
そして、インテリアの質感が驚くほどいい。手に触れる部分などの素材を、相当吟味しているのだろう。
エンジンを始動すると、爆発的な音とともにV型8気筒6.2Lのサウンドが奏でられる。センターコンソールにあるセレクターレバーを軽く持ち上げ、スロットルをゆっくしと開けながら発進だ。
大排気量のハイパフォーマンスユニットでありながら、ギクシャク感もなく非常に扱いやすい。MTだったらもっと楽しい! と思ったが、これがもしMTであったら、慣れていないと操作が難しくなるだろう。そんなことではドライバーを選ぶ車になってしまう。そういう意味でも、8速DCTのATを採用したシボレーの選択は正解である。
さらに踏み込み、パーシャル状態にすると、マナーよくシフトアップする。思った以上に制御がよく、街中でもジェントルに走らせられる。
しかし、ひとたびアクセルを踏み込むと、ぐっと一瞬ためて一気に加速する。その瞬発力は、高回高出力型というよりも実用回転領域での加速に富んだ印象だ。まるで巨人に背中から押されたかのようなトルク感だ。ミッドシップレイアウトだけに、トラクション性能は抜群だ。
フロントノーズが上がることもなく、姿勢制御がしっかりとしているため、加速中に起こる不安定な接地感は皆無である。
全幅は1940mmと恐ろしく広いわけではないが、数値以上に幅広く感じられるかもしれない。しかし、盛り上がったフェンダーアーチのおかげで、見切りも悪くはない。
路面のギャップも思った以上にしなやかに受けとめる。想像していたよりも、ずっと快適なミッドシップである。
屋根を開けた状態で走らせたときの風の回り方は今風で、髪が大きく乱れることものない。開放感、ミッドシップのスポーツサウンドに加え、軽快感を感じることができる。
先代までは、FRのヘビー級のスポーツカーであった。だが新型は、かつて初代に求めたヨーロピアンテイストなデザインと開放感あるスタイリング、アメリカンエンジンが組み合わさり、スーパーカーの「コルベット」に進化した。
今の時代に、この仕様で1600万円に届かない金額は、同仕様のヨーロッパモデルと考え合わせると、質感と走りも含めて値ごろ感があるように思えて仕方がないのであった。
【試乗車 諸元・スペック表】
●6.2
型式 | 不明 | 最小回転半径 | -m |
---|---|---|---|
駆動方式 | MR | 全長×全幅×全高 | 4.63m×1.94m×1.22m |
ドア数 | 2 | ホイールベース | 2.73m |
ミッション | 8AT | 前トレッド/後トレッド | 1.63m/1.57m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | - | 車両重量 | 1700kg |
シート列数 | 1 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 2名 | 車両総重量 | -kg |
ミッション位置 | コラム | 最低地上高 | -m |
マニュアルモード | ◯ | ||
標準色 |
トーチレッド、アークティックホワイト、ゼウスブロンズメタリック、シャドーグレーメタリック |
||
オプション色 |
セブリングオレンジティントコート、ラピッドブルー |
||
掲載コメント |
- |
エンジン型式 | LT2 | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | V型8気筒OHV | 使用燃料 | ハイオク |
過給器 | - | 燃料タンク容量 | 70リットル |
可変気筒装置 | ◯ | 燃費(10.15モード) | -km/L |
総排気量 | 6153cc | 燃費(WLTCモード) | - |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 502ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
637(65)/5150 |
型式 | 不明 |
---|---|
駆動方式 | MR |
ドア数 | 2 |
ミッション | 8AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | トーチレッド、アークティックホワイト、ゼウスブロンズメタリック、シャドーグレーメタリック |
オプション色 | セブリングオレンジティントコート、ラピッドブルー |
シート列数 | 1 |
乗車定員 | 2名 |
ミッション 位置 |
コラム |
マニュアル モード |
◯ |
最小回転半径 | -m |
全長×全幅× 全高 |
4.63m×1.94m×1.22m |
ホイール ベース |
2.73m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.63m/1.57m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 1700kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | -kg |
最低地上高 | -m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | LT2 |
---|---|
種類 | V型8気筒OHV |
過給器 | - |
可変気筒装置 | ◯ |
総排気量 | 6153cc |
最高出力 | 502ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
637(65)/5150 |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | ハイオク |
燃料タンク容量 | 70リットル |
燃費(10.15モード) | -km/L |
燃費(WLTCモード) | -km/L |
燃費基準達成 | - |
自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。