▲ノーマル然とした外観で、使い勝手も、ボルボらしい“良いヒト感”も犠牲にすることなく、きわめて上質で刺激に満ちた走りを実現しているのだから、こんな我儘な車はない。言わばBMWに対するアルピナのような芳醇な味わいの1台。ホレました ▲ノーマル然とした外観で、使い勝手も、ボルボらしい“良いヒト感”も犠牲にすることなく、きわめて上質で刺激に満ちた走りを実現しているのだから、こんな我儘な車はない。言わばBMWに対するアルピナのような芳醇な味わいの1台。ホレました

匠が本気で仕上げた珠玉のコンプリート・ボルボ

ECUチューニングの“パフォーマンス・パッケージ”でお馴染みのポールスターの本来の姿は、実はレーシングチームだ。そんな彼らが送り出す「S60/V60ポールスター」は、モータースポーツで培ったノウハウをフルに投入した世界限定750台の稀少なコンプリートモデルである。

ただし、その走りはサーキットだけを念頭に置いたようなものではなく、上質なスポーティさが薫る。

▲専用の前後スポイラーやディフューザーにより空力性能が向上。スプリングレートもベース比で80%高められている ▲専用の前後スポイラーやディフューザーにより空力性能が向上。スプリングレートもベース比で80%高められている

将来、コレクターズアイテム間違いなし

象徴的なのは直列6気筒3Lターボエンジンで、大径タービンの採用による回すほどパワーが高まる特性に、ストレート6らしい滑らかで艶めいた感触が伴うものだから、全域でとろけるような快感を堪能できる。

▲エンジンには専用プログラムに加え、新しいツインスクロールターボとインタークーラーを装着 ▲エンジンには専用プログラムに加え、新しいツインスクロールターボとインタークーラーを装着

フットワークもまさに絶品だ。20インチタイヤを履き、スプリングは倍近くまで固められているのにオーリンズ製ダンパーとの巧みなマッチングにより乗り心地は上々。姿勢はフラットに保たれ、荒れた路面でもタイヤを決して路面から離さない。しかも4WDシステムは攻めた時に積極的に後輪に駆動力を配分するよう手が入れられているから、どんどん踏んでいける。ここまでできるのは、メーカーとの強い結びつきあってこそである。

その内容からすれば、S60で799万円、V60で819万円という価格はまさにボーナスだ。しかしながら日本への割り当てはS60が30台、V60が60台の合計90台だけとなっている。この3L直6 ターボエンジンが使われるのも最後だろうと考えればなおのこと、将来はきっと850T-5Rのようなコレクターズアイテムになるに違いない。

▲専用ステアリングやスポーツペダル、アルミパネルなどでスポーティさを強調。レザースポーツシートも備わる ▲専用ステアリングやスポーツペダル、アルミパネルなどでスポーティさを強調。レザースポーツシートも備わる

【SPECIFICATIONS】
■グレード:V60 POLESTAR ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直6DOHCターボ ■総排気量:2953cc
■最高出力:350/5700[ps/rpm] ■最大トルク:500/2800-4750[N・m/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:6AT
■全長×全幅×全高:4635×1865×1480(mm) ■ホイールベース:2775mm ■車両重量:1822kg
■車両本体価格:819万円

Tester/島下泰久 Photo/ボルボ・カー・ジャパン