プジョー 308SW【試乗レポート】(南陽一浩)
カテゴリー: プジョーの試乗レポート
タグ: ハッチバック
2015/01/26
史上最強のベストバランス・オブ・フレンチ
本国で左ハンドルのMTで乗ったときはよかったのに、日本仕様ではあれ? と肩透かしを食う、そんなことが従来のフランス車では多々あったが、新しい308SWはうれしいサプライズだった。右ハンドルの6速パドル付きATになったに関わらず、フランスで乗ったときの感触が鮮烈によみがえってきた。
それほどi-コックピットのステアリングフィールが自然で楽であることを、体が思い出したのだ。
3気筒1.2Lターボ・ピュアテックは、1750rpmで最大トルク230Nmを発揮する「今ドキの仕事が速いパワーユニット」。第3世代に進化したアイシン製トランスミッションEAT6の滑らかなシフトマナーもあって、さほど回転数を上げずにさっさと車をスピードにのせてしまう。しかも鼻先が軽く、ワインディングでは切った分だけ素直にノーズがインに食い込んでいく。
ロード・ホールディングをフランス語では「テニュ・ド・ルート」と呼び、地面をつかむだけでなく、狙ったラインから外れないトレース性やコントロール性そのものをも含むが、大雨の試乗というのに、新世代プラットフォームEMP2に刷新された308SWはリア、フロントとも接地感が薄れず、お手本のようなテニュ・ド・ルートを見せつけた。
ボディの剛性感、内装の質感の高さはハッチバック同様だが、ホイールベースが長くて走りに少しタメがある分、Dセグ風の高級感すらある。ちなみにパノラミックルーフの面積は1.69平方メートルと、407SWの1.6平方メートルすら超えた。
惜しむらくは、ワインディングではパドルシフトにほんのわずかなラグが感じられたこと。日常なら無視できるレベルだが、アシが楽しいだけにもっと鋭さが欲しくなる、贅沢な悩みか。
【SPECIFICATIONS】
■グレード:Cielo ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直3DOHCターボ ■総排気量:1199cc
■最高出力:96(130)/5500[kW(ps)/rpm]
■最大トルク:230(23.5)/1750[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:6AT
■全長×全幅×全高:4585×1805×1475(mm) ■ホイールベース:2730mm
■車両重量:1360kg
■JC08モード燃費:16.1km/L
■車両本体価格:339万円(税込)