▲乗り心地は硬く荷物は積めず……という意味では、買うのは大人のワガママとしか言いようがないGT3RS。逆に言えば、コレを買うためには最上級のワガママを通せるぐらいの一流にならなければいけないということである。男としても、そしてもちろん走りの上でも…… ▲乗り心地は硬く荷物は積めず……という意味では、買うのは大人のワガママとしか言いようがないGT3RS。逆に言えば、コレを買うためには最上級のワガママを通せるぐらいの一流にならなければいけないということである。男としても、そしてもちろん走りの上でも……

あのGT3すら色褪せそうなほど走りを極めた911!

それ自体、過激なほどのパフォーマンスを誇る911GT3をベースに、狙いを完全にサーキットに絞り、さらに走りを磨き上げたのが911GT3 RSである。何しろ見た目からしてベース車とは大違い。前後異サイズのワイドタイヤを履くため1900mmの全幅が与えられたボディには、空力向上のためのフロントフェンダー上のスリット、エンジンに効率良く空気を導くリアフェンダーのインテーク、大型リアウイングなどが装着され、さらに過激に。外板パネルはルーフがマグネシウム、他の多くの部分をCFRP製とし軽量化されている。そこに排気量を4Lに拡大した、最高出力500psを発生するフラット6が載るのだから走りは期待通り。あのGT3すらかすむほどの速さと刺激を味わわせてくれる。

4L化でトルクアップしたエンジンは、低速域から明らかに力強さを増しており、しかもトップエンドまでギッチリ詰まったパワーを実感させながら吹け上がる。スムーズなGT3に対して荒々しさのあるそのフィーリングは、どことなく996前期型GT3を彷彿させる。

加速だけでなくコーナリングも凄まじく速いが、感動させられるのは限界を超えた先でのコントロール性が抜群なこと。4速全開のコーナーで重いリアが滑り出しても、車を安心して制御下に置いておけると言えば、ポルシェを操ったことのある人は、きっと理解してくれるだろう。ワイドなタイヤとトレッドに、GT3と共通のリアアクスルステア、PTV Plusといったデバイスが加わって、夢のような操縦性を実現しているのである。

GT3との価格差は618万円の、このGT3RS。レーシングカーのように本気にさせてくれるこの走りからすれば、高いとは言えないと思わされてしまったのだった。

▲軽量化とダウンフォースの向上が、そのままエクステリアの特徴に。0→100㎞/h加速は3.3秒 ▲軽量化とダウンフォースの向上が、そのままエクステリアの特徴に。0→100㎞/h加速は3.3秒
▲アルカンターラを用いたインテリア。918由来のフルバケットシートやステアリングを装着する ▲アルカンターラを用いたインテリア。918由来のフルバケットシートやステアリングを装着する
▲ボルト固定式リアロールゲージなどが備わる、クラブスポーツパッケージを標準化。消火器も用意される ▲ボルト固定式リアロールゲージなどが備わる、クラブスポーツパッケージを標準化。消火器も用意される

【SPECIFICATIONS】
■グレード:GT3 RS ■乗車定員:2名
■エンジン種類:水平対向6DOHC ■総排気量:3996cc
■最高出力:500/8250[ps/rpm]
■最大トルク:460/6250[n・m/rpm]
■駆動方式:RR ■トランスミッション:7DCT
■全長×全幅×全高:4545×1900×1290(mm) ■ホイールベース:2455mm
■車両重量:1420kg
■車両本体価格:2530万円(税込)

text/島下泰久 photo/ポルシェ ジャパン